2024年7月3日、お札が変わりました。
心がざわつくと、書棚から引っ張り出してくるのは
長田弘さんの詩集。
が、今日はなぜか、加島祥造の本を手にした。
いや、加島さんから誘われたのかも。
老子のことばは、迷える子羊に、いや、悩めるオババに、
こっち行ったらいいよと指南してくれる。
パラパラとページをめくった。
そこになんと、懐かしい五百円札が、
キレイに折り込まれていた。
500円札は、1951年(昭和26年)4月2日に発行が開始された。
そして43年後の1994年(平成6年)4月1日に発行停止に。
が、現在も、旧紙幣として額面どおりに使用可能だ。
新札が出る日に、偶然にも現れた五百円札。
眩しい
新一万円の渋沢栄一さん
新千円札の北里柴三郎さん
新五千円札の津田梅子さん
7月3日、新紙幣、本日発行。
旧紙幣、五百円札の岩倉具視さん。
なんか、文句言いたげな顔している。
気持ちわかる気がするけど・・・
タオの言葉を、岩倉さんへ。
五百円札は、まだ使えるのなら、
明日、コンビニで使ってみようか?
岩倉さん、喜ぶかな?
今年、「お母さん業界新聞」新年号の表紙に書いたコラム。
津田梅子さんのことを書いていた。
「変革を担う、母であること」
「何かを始めることはやさしいが、それを継続することは難しい。成功させることはなお難しい」。
今年、発行される新紙幣の顔となる、津田梅子の言葉。1871年に岩倉使節団の一員として渡米。わずか6歳で親に見送られ横浜港を出たという。
私の孫と同年齢。梅子さんもスゴイが、この歳で娘を手放す母もスゴイ。
未来の梅子を描けていたのだろうか。
帰国後、男女の教育格差に衝撃を受け、それをきっかけに、後に津田塾大学を創設。女性の社会進出に大きな功績を残した。同大学の理念は、「変革を担う、女性であること」とある。
並べるのはちょっと気が引けるが、
ここへきて、お母さん大学をカタチにしようという話がある。
理由は2つ。
お母さんになれない人が増えているから、お母さんになるための場が必要。なのでお母さん大学をつくり、お母さん教育を強化しては、ということ。
もう1つは、私がボケる前に、いや、これ以上ボケが進まないように、
成すべきことをやりましょう、ということ。
お母さん大学は、カタチのない大学として、17年前にスタートした。一人ひとりのお母さんの心の中にある、学びの場。わが子が先生であり、キャンパスは家庭と地域。宿題はペンを持つこと。そう言い続けてきた。
しかし、時代は変わった。
デジタルやAI社会が進む中、いまどきペンを持つなんて古い、目に見えない価値を伝えるお母さん大学なんてウケない。が、このスタイルにこだわり、今なお続けているのは、ここで学んでいるお母さんたちが書く「母ゴコロ」の記事が、とびきりいいからだ。
お母さんを学ぶ場は、半径3メートルの世界(家庭)でしかありえない。日常の中で、母となり、人間となる。そこには、母から子へ伝えるべきことが、たくさんあるはずだ。
冒頭の「成功させることはなお難しい」という言葉が気になった。すでに功績を残している偉大な人なのに、心残りだったこととは、一体何なのだろう。梅子さんが言う「変革を担う、女性であること」を私流に言うとすれば、「変革を担う、母であること」か。
新五千円紙幣となって登場したとき、津田梅子を知る人はどれだけいるのだろう。多くが財布を持たず、スマホで買物をするが、私は紙幣を使いますね、梅子さん。残された言葉の意味を、私なりに考えるためにも。
先日あるお母さんが「ペンを持つことをもっと広げていきたい」と、私のところへやって来た。私にできることは、夢に向かうお母さんに「やれるよ。やればいいんだよ」と言って、背中を押すことだ。
夢を描くお母さんの笑顔は最高だ。
そのお母さんを見て、子どもは育つ。そして私も、その笑顔に元気をもらうのである。
(お母さん業界新聞2024年1月号 編集長コラム「百万母力」より)
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