フジマニは6割ハッピーです。

(地域情報誌フジマニ 2004年4月号 掲載の編集長コラムから転載)

Dear My Uncle

 2月末日。伯父が死んだ。69才だった。ウチは不思議な家で、祖父の残した土地を父と伯父で分けたので同じ敷地内に二つの家があり家庭がある。そんな同じ土地で過ごしていた伯父が死んだ。クモ膜下出血での急死。本当に、急なことだった。
 伯父は某自動車会社の重役だったという。確かにずっと忙しそうで、家にいることもほとんどなかった。そして定年が数年前。家にいるようになったから、それからの伯父の方が僕には印象深い。もともと技術畑で生来のエンジニアだった伯父。車が心底好きだったんだろう。定年後は韓国まで技術指導をしに行ったり、自らの会社を作って自動車強度の研究をしたり、各地で講演をしたりと大忙し。そして死の当日も、ある車関係の出版社から依頼された原稿を書き上げ、そのまま事切れていた。

 弔問客の絶えぬ、葬儀の席。「僕は会社で2割しか楽しい事がなかった。でも定年してから、毎日8割が楽しいことなんだよ」そんな事を言っていたなぁとか思うと、涙が止まらなかった。お葬式でこんなに泣いたのは初めてだった。

 過去にこだわるのは今を誇れないからだ。挑戦をしないのは今にしがみついているからだ。だから、過去をただの一つも鼻にかけず、今を、未来を見据えて走り続けていた伯父は僕の誇りだし、僕もそうありたいと思う。

 親愛なるおじさん。ありがとう。フジサワマニア、がんばります。

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