Quit Plankton,Become Nektonコワーキングスペースのフランチャイズ運営の可能性と、ブランドが果たす役目。

ごあいさつ

こんにちは。NEKTON coworkingオーナーの三浦です。

NEKTON FUJISAWAとNEKTON KITAGUCHIという二店舗のコワーキングスペースを神奈川県藤沢市の藤沢駅前で運営しております。昨年のアドベントカレンダー も参加させていただいて、『「増床」ではなく「2店舗」営業という選択肢の可能性。(しかも直線距離600mの場所に!)』というタイトルで、同一駅前に2店舗目をオープンしたドミナント的な展開の経緯と展望をお話させていただきました。

あれから一年。とりあえず運営的にはまずまずの状況で、毎日多くの方に出入りしていただいています。飲食提供アリでミーティングや雑談オールオーケーのにぎやかなNEKTON FUJISAWA(一号店)と、持ち込みアリで集中作業用途で個室完備のNEKTON KITAGUCHI(二号店)という性質の違う2店舗を横断的に使えますよーということで月額会員には使い分けできるという魅力を提供でき、さらに会員は二号店にぶら下げて一号店はオプション的に使えるという解釈に切り替えたので、スペースマーケットなどからの流入もあり、コワーキングの定期ユーザーの権利を侵害することなく、貸切予約も拾えている感じです。

(良かったらzoomで今現在の店舗の様子を見える化してますので見てみてください→https://www.facebook.com/nekton.life/

今後のテコ入れとしては、ドロップイン7:会員3の比率のNEKTON FUJISAWA(一号店)と、ドロップイン3:会員7の比率のNEKTON KITAGUCHI(二号店)ということで、二号店の無人営業日の設定を始めてもう少し人件費を削減して利益率を高めていこうかな、と考えております。

さて本題です。

今年の9月、手がけたコワーキングスペースとして3店舗目の「NEKTON OFUNA」をフランチャイズで立ち上げました。といっても、もともとフランチャイズを視野に入れていたというわけではなく、割と棚ぼた的にフランチャイズ店舗が立ち上がったので、その経緯を共有できればと思います。

店舗名はNEKTON OFUNA(ネクトンオオフナ)。

場所としては、JR東海道線大船駅から徒歩3分の場所です。

大船駅は東海道線以外に京浜東北線や横浜線や横須賀線が乗り入れ、JR以外では湘南モノレールという全国的にも珍しい懸垂型のモノレールが走る駅です。そんな大船駅の乗降客数は12万人。7F星野さんの「星野理論(参照:コワーキングスペースの運営を1年間それなりに本気でやってみて思ったこと色々。)」

  1. 1日の乗り入れ乗降者数が、周辺の駅の2倍以上ある駅から、徒歩5分圏内で、

  2. 周辺に大規模な競合がまだ無い地域で、

  3. 広さが最低でも60平米、出来れば100平米以上あり、

  4. できれば坪単価が1万円を切る、

という上記の4条件をベースに置いてコワーキングスペースが成り立つか否かをジャッジしてる自分としては、「ギリいける」というロケーションでした。

そして広さは100㎡! 2つの会議室を完備し、駅前の会議室需要も拾えるような場所としました。

さらに店舗の詳細も書こうかなと思いましたが、詳しくは公式WEBサイトをご覧ください!


フランチャイズってどういうこと?

FC展開とはご存知のように、オーナーを募り、オーナーはフランチャイズ本部からお店の看板やブランド、確立されたマニュアルやサービスや商品を使用する権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払うという仕組みです。コワーキングスペースの業界でいうと「co-ba」さんがその筆頭ではないでしょうか(詳しくお話したことなく、違っていたらすみません!)。

コワーキングスペースにおけるフランチャイズということはどんなメリットがあるでしょうか。

電源とインターネット回線という基本的なワーク要素の「サービス」の部分では、他のコワーキングスペースと差異がつけづらい商品になります。おそらくあとは、椅子が高級とか、ゆったり使えるとかの居心地要素や、仲間や相談相手ができるというコミュニティ要素などが価値を高めるプラス要素になるかと思います。

そういった意味でいって、今回フランチャイズに至る一番のウリになったのは「NEKTON(ネクトン)」というネーミングを含めたブランディングと、現状いる店舗のユーザーへの広報周知という部分でした。

現状いる店舗のユーザーへの広報周知はつまり、藤沢の2店舗に出入りしているユーザーへの情報発信というメリット。ブランディングの点では、主にネーミングと名前に込められた精神の部分でした。

藤沢は湘南と呼ばれる地域の中核を成す街です。海が近く、自由なフリーランサーが闊歩する街です。ただその街において、遊牧民を語源とする「ノマドワーカー」という呼び方はあまりに山っぽすぎて、この語感以外でコワーカーを呼称したかったというのが一つの発端でした。湘南においてワークしている人に刺さる、なるべく海っぽく、自由な生き方を表現する言葉はなにか。

そんな言葉探しをしていた中で見つけたのが、「NEKTON(ネクトン)」でした。

NEKTON(ネクトン)というブランドの価値

ネクトン(NEKTON)はそもそも、遊泳性生物という意味です。海洋生物の学術分類で、聞き馴染みのある言葉でいうと「プランクトン(PLANKTON)」でしょう。

プランクトンは浮遊性生物という意味で、潮や海流に流されて生きる、泳ぐ力のない・または泳ぐ力の弱い静的な生き物のこと。藻やクラゲなどが類します。対してネクトンは自らの力で泳ぎ、針路を決められる動的な生き物のこと。魚やタコやクジラが類します。この二者の対比を生き方になぞらえ、会社組織の大きな流れに沿うべき給与所得者の生き方を「プランクトン」。リスクを負いながら自分自身の道筋を切り開くフリーランスまたは事業主の生き方を「ネクトン」としました。

ちなみにデザインを含めた広告企画が本業ということもあり、ロゴデザイン含むブランディングを内製でおこなえたことが、こだわりを持って作ることができたひとつの理由です。なかなかネーミングにコストをかけるというところには覚悟がいりますが、プロの広告屋が案を出し、さらに研ぎ澄ますことができました。

2015年の立ち上げ段階で藤沢市で初の常設コワーキングスペースでしたし、そもそもコワーキングスペースという名称自体が浸透していなかったので、利用イメージそのものから構築できれば…と考えたことがプラスに働きました。「NEKTON」という名前で最初の店を立ち上げ、販促をおこなうなかでブランドが多くの方に知られるようになり、少なからず共感を生んだように思います。

というわけで、フランチャイズオーナーの方もこの「ネクトン」のネーミングにいたく感銘を受けていただき、このネーミングでいきたいということで今回のフランチャイズの展開に至りました。

FC店を立ち上げるまでの苦労と楽しかったこと

まず、フランチャイズ店舗を立ち上げる際に先方と取り決めたのは、提供するものと提供されるものの2軸。提供するものとしては、以下。

・ブランドビジュアルの提供(ネーミング、ロゴ、タイプグラフィなど)

・立ち上げ時支援(物件選定、家主交渉、試算表の作成、店舗設計・間取りの作成、クラウドファンディングの立ち上げと成功までの広報支援,拡散)

・立ち上げ後支援(ノウハウや、スタッフマニュアルなどの成果物の提供、導入備品選定、Facebookページ立ち上げ・管理補助)

提供されるものとしては、イニシャル時コストの受け取りと、ランニング時コストの受け取りです。

こちらはコワーキングスペース立ち上げ請負人なわけですから、なるべく利益が出るような家賃の安い物件選定をし、イニシャルを下げる工夫なども提案しました。しかし決裁権があるのは先方なので、結局試算表の想定の3倍という家賃の物件になってしまい、また施工業者も先方の指定業者になり、イニシャルコストも大きく下げることができませんでした。「思ったようにいかない」という部分が今回学んだ大きな経験でした。

ですが結果的な仕上がりには満足をいただき、そもそもフランチャイズとしての運営を想定していなかったところからのスタートなので運営補助そのものも手探りですが、頻繁に店舗を訪れて必要なことにはお応えをし、なるべく利益を最大化できるようにサポートをしている真っ最中です。

今後の展開について思うところ

大手企業のリモートワーク導入などで自由に使えるワークスペースの需要が増し、コワーキングスペースに追い風がある一方、NewWorkさんなどが企業向けの共用スペースを藤沢のような都市にまでオープンさせ、さらにはカフェやレストラン、駅や公営施設にまで電源とWi-Fiが完備され始めました。ただ「コワーキングスペース」というだけでユーザーから選ばれる時代は終わり、ユーザーがさまざまな用途に応じ、場を選べる時代になったように感じます。

「供給のないところにコワーキングスペースを作る」という、ブルーオーシャン開拓のようなこと以外に、今後コワーキングスペースが他スペースと差別化を図るための戦い方の一つとして、ブランドを持つということがあるかもしれません。

たとえばWeWorkのようにコワーキングスペース自身がブランドを持ち、ブランドによって選ばれるという場面があると感じます。そのブランドの裏付けとしては当然、上質なサービスを提供しているということや、複数のスペースを横断的に使える仕組みがあるなどの利便性は当然ですが、それ以外に「ここに出入りしている」というだけで気持ちがアガるような、志、精神のような象徴を持っているということが選ばれる理由なのではないかなと考えています

今回の大船の件は、まさにその精神に共感を得たところから生まれたプロジェクトでしたし、そしてまだ公にはできませんがもうひとつ、ブランドによって生まれた新たなプロジェクトが水面下で進行しています。

アメリカのNYに本拠地を置く広告会社「TBWAワールドワイド」の会長、ジャン=マリー・ドルー曰く、

「アップルは反抗し、IBMは答えを出し、ナイキは熱く語り、ヴァージンは啓発し、ソニーは夢を見て、ベネトンは抵抗する。つまり、ブランドとは名詞ではなく、動詞だ」

と語っています。

コワーキングスペースがこれから育ち、生まれ、選ばれるようになるために必要な要素。そこにはどんな動詞を持つか、ということがあるのではないでしょうか。

少なくともNEKTONは、そうありたいと思っています。

流されて生きるのではなく、自由に泳ぐように生きよう。

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