宇宙の仕組み
Serendipity, Synchronicity, Singularity
今や自分の時間がなくなってしまったから頭の片隅にすら浮かんでこなくなってしまったけれど、子どもの頃は宇宙の仕組みのことばかりを考えていた。
気づいたらこの世界に自分はいたように感じているけれど、なぜ自分はここにいるのだろうか。そんな思いがふとよぎるたびに、自分の手を見つめながら頭に詰め込んだ本の知識と想像力でこの宇宙の謎を解こうとしていた。
ここでいう宇宙とは、空の上にある空間のことではなくて、自分が生きる世界の過去と未来と、科学と霊など見えない存在と、人の生きる摂理や自分の存在を含む、すべての意味を探求していた。
自分がどこからきてどこへいくのか。日々生まれる世界の疑問を解きたくて考え続けていた。
神様はいるのだろうか、ナメクジは本当に川の対岸にワープするのだろうか、戦争を無くす方法はないのだろうか、ウイルスが進化を媒介するのではないか、虫は宇宙からきた存在なのではないか、眠りの中で見る夢は違う世界で生きる自分の現実なのではないか、魂は現世での能動に応じて大きさや強さが変質するのではないか。そして向こうの世界で混ざったりちぎれたり時空を超えたりするのではないか、銃と病原菌と鉄が蝕まなかったらインディアンはどんな文化を作っていただろうか、自分は将来どんな人間になれているだろうか、自分の伴侶となる、まだ見ぬ「あの子」は今どこで何をしているのだろうか、とか、そういう余計なことばかり考えていた。
でも、いま思えばその余計なことを考える時期があったから今があるのだと思う。もう一度、そういう余計な時間を手に入れたいと思う。自分と、子どもと、自分の伴侶となった「あの子」のために。
【地域情報誌フジマニvol.120(2016年9月)掲載の編集長コラムからの転載です】
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