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私の乳ガン物語 1話 【癌は突然に】
2015年、
おろしたての新作ブーツでパリパリ落ち葉を鳴らす頃
私は、桜新町のクリニックにいた。
「検査の結果、右胸に癌が見つかりました。」
ー異変ー
いつも通り朝起きて鏡の前で歯を磨いていると
キャミソールの右胸に直径1センチほどの
茶色いシミがあることに気づいた。
当時、麦チョコにハマっていた私は
昨日食べてる時にこぼしちゃったのかな。
と思っただけで、気にも止めなかった。
それから三日ほどして同じシミをまた朝起きて
歯磨き中に見つけたのだが、
なんだーまたチョコついちゃってんじゃん
次チョコを食べる時には気をつけよー
と思ったくらいで、チョコのシミがまさか
自分の血だなんて考えもしなかった。
そんな脳天気な私が
シミの出どころが自分であると気づいたのは
それから数日後のことだ。
いつものように踊って
汗をかいたブラを変えようと思って外した時
カップの右内側にだけに茶色のシミがついていた。
ブラを当てるとちょうど右乳首と同じ位置だった。
まさか、、、
と思い右胸を絞るような感じて押してみると
乳頭からトロッとした透明がかった
茶色の液が少し出てきた。
その日からブラや寝巻きのキャミソールを
チェックするようにすると、
シミは毎日ついているわけではなく
3、4日に1回不定期に出ていた。
どうしたんだろう。と思いはしたが、
血が少し出るだけで痛みもなかったし、
なんか多すぎる女性ホルモンか何かを
乳が出そうとしてるんだなー
やっとけやっとけー
と意味不明の解釈で納得し、放っておいた。
2013年の初夏だった。
その夏の8月30日、
私はチームでダンスイベントに出演するため
イベント会場の楽屋にいた。
楽屋には私のチーム以外にも二組ほど他の
ゲストチームがいた。
みんな友達で仲がよかったのでショーの準備をしながら
他愛のない会話を楽しんでいた。
そこで
最近チョコだと思ってたシミが自分の血だった。
1ヶ月以上経つけど今も乳首から血が出るんだよねー
と軽いノリで私が話すと、
「え、それ、きっとやばいやつだよ」
「放っておかない方が良いんじゃない」
「私の友達は、乳首から血がでて調べたら乳ガンだったってよ」
「早く病院行きなよ」
「死んじゃうんじゃないの」
と、私の想像以上に皆驚いて心配していたので
治るまで放っておこうと思っていた私だったが
みんなの後押しもあり
病院に行ってみるか!と思ったのだった。
帰って、パソコンで調べてみる
”乳頭 分泌液”
意外にも、多くの検索結果が出てきた。
・この症状は乳がんの初期症状に多く見られる
・乳腺の炎症によるもの
などなど諸説あって、どれが自分に該当するものなのか
読んでいるだけじゃわからなかった。
ただ、
長年何かしらのスポーツをやって体を動かしてきたし
産まれてから親の愛情たっぷり手料理で育ったから
丈夫な体と健康には揺るぎない自信があった。
まず乳がんの可能性はないな。
何で炎症しちゃったのかなと考えていた。
桜新町のクリニックに行ったのは
それから二週間も経っていなかったと思う。
マンモグラフィーとエコー検査ができるとHPに載っていたし、
キレイで家からも近かったので行ってみることにした。
予約も取らず、飛び込みで行ったにも関わらず
朝一だったからか待ち時間もなく対応してくれた。
痛い痛いと聞いていた初めてのマンモグラフィーには
少しドキドキしたが、想像していたほど痛くなかった。
触診中、
先生にここ最近急に血が出るようになったことを話したが
エコーで見ても気になるところはないから
炎症していて乳頭から分泌液が
出ているだけじゃないだろうか。
と言われた。
今月中に詳しい結果が出るので聞きに来てください。
と言われたのだが、
秋から始まる山下智久さんの
ソロツアーリハーサルで休みが取れず
「炎症だと思うから大丈夫」
という先生の言葉に安心しきってしまい
最悪、何か良くない検査結果が出たら
クリニックから電話が来るだろうと思い
その後、結果を聞くために
私がクリニックへ戻ることはなかった。
クリニックからも電話はかかってこなかった。
つづく
#乳ガン #体験談 #闘病 #エッセイ