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“昨日の自分を超える” 小さな前進が、明日を変える ― 比較に疲れたあなたへ贈る“自己新”のすすめ

朝起きて、「今日こそ早起きしてゆっくりコーヒーを淹れよう」と思ったのに、昨日の残業の疲れが抜けず、つい布団のぬくもりに負けてしまう。そんなことはありませんか? あるいは、オフィスへ向かう通勤電車の中でスマートフォンを眺めていると、SNS上には華やかな投稿があふれていて、「みんな、こんなにキラキラしているのか……」と、気づけば自分の疲れ具合や生活とのギャップを感じてしまう。そんな瞬間も、きっと一度や二度ではないでしょう。

仕事に追われ、タスクに追われ、プライベートも大切にしたいと思いつつ、なぜかいつもバタバタしている。それでも必死にがんばり続け、気づけば心も体もヘトヘト……。それなのに、周りの同僚や同業の人たちはもっと成果を出しているように見えて、「自分だけが置いてきぼりになっているのではないか」と感じることもあるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。そこにはある大きな錯覚や思い込みが隠れているのです。それは「他人と自分を比較する」というクセのようなもの。そしてそのクセが、あなたの本来の輝きや、あなたらしさという一番大切なものを、見えづらくしてしまっているかもしれないのです。

そんなときに思い出していただきたいのが、「誰かと比べるのではなく、常に『自己新』を目指す」という考え方です。これは言い換えれば「自分史上、最高の自分を少しずつ更新していこう」という姿勢とも言えます。今回は、忙しい日々を送るあなたに、この「自己新」の概念がどう役に立つのか、そしてそれはどんな風に日常に取り入れていくと心が楽になるのかを、じっくりお伝えしていきたいと思います。


なぜ、私たちは他人と比べてしまうのか?

まず、人が他人と自分を比べてしまう背景には、生き残りのための本能的な要素があると言われています。人間は社会的な動物であり、周囲から評価されることは、かつては生存に直結していました。「周囲の人より劣っていたら生き残れないかもしれない」という感覚が、進化の過程で私たちの心に刷り込まれてきたわけです。

一方、現代社会は情報があふれていて、他人の“目に見える部分”ばかりが切り取られてSNSなどを通じて配信されます。すると、知らず知らずのうちに「他人の成功や幸せそうな姿」と「今の自分の至らなさ」を比較してしまい、「自分はダメなんだ」「もっとがんばらなくちゃ」という思いに駆られます。こうして、「他人と比較するクセ」が強化されていきがちなのです。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。それは「他人の長所や成果」は、一部分しか見えていない可能性が高いこと。実はその裏で、大変な努力や苦労をしているかもしれないし、偶然の幸運が重なっているだけかもしれません。あるいは、本人でさえ「本当はそこまで上手くいっていないんだけどな」と思っているかもしれない。それにもかかわらず、表面の一番キラキラした部分だけを見て、「自分はあんな風になれない」と思い込んでしまうのは、とてももったいないことなのです。


「他人と比べる人生」ではなく「自分を更新する人生」へ

では、どうすれば「他人との比較ゲーム」から抜け出し、自分らしく生きていけるのか。その鍵が「自己新」の考え方です。

「自己新」とは、簡単に言えば「今日の自分が、昨日の自分よりもほんの少しでも成長する」という姿勢のことです。ポイントは、「他人がどうかではなく、自分の過去や今の状態を軸に目標を立てる」という点です。もし今日、昨日より1ミリでも前に進めたとしたら、それは立派な新記録です。あの人と比べて全然ダメだ……ではなく、「自分の新記録を更新することができた。昨日の自分より成長できた。それだけで十分、価値がある」という発想にシフトするわけです。

こうした「自己新」を目指す生き方を実践すると、「まわりにいる誰か」に常に振り回されていた思考が少しずつ変化していきます。自分のペースで、自分の大切なものを大切にしながら進めばいいのだ、と気づけるようになる。すると、意外なほどに心が軽くなるのです。


「自己新」によるメリット1:モチベーションの安定

他人との比較は、どうしても波が激しいモチベーションを生みがちです。「あの人に勝った!」と思えたときは一時的にテンションが上がるかもしれませんが、少しでも追い抜かれると落ち込む。「自分はやっぱりダメだ」と極端にネガティブな気分になりやすいのです。

一方で、「自己新」を目指していると、自分の成長の感覚や達成感が直接モチベーションになるので、多少ゆっくりでも、着実にモチベーションを維持しやすくなります。たとえ昨日よりちょっとだけ早く書類を仕上げられたとか、先週よりも少しだけ資料の質が良くなったとか、ささやかな変化でも喜べるようになる。それが次のチャレンジへの意欲につながるのです。


「自己新」によるメリット2:自己肯定感の向上

他人と比較すると、「自分にはこれが足りない」「もっとがんばらないと」という欠乏感ばかりが気になってしまいがちです。ところが、「自己新」の観点では、多少不足している部分があっても、それを過去の自分と比べて少しでも改善できていたら、それで大きな進歩とみなせます。

この「昨日よりも成長できている自分」を認めてあげることが、自己肯定感(自分の存在や能力を肯定的に認める感覚)を高めるきっかけになります。そうすると、少しくらい上手くいかないことがあっても、「またチャレンジすればいい」「自分ならもう少しやれるはず」と前向きに捉えられるようになるのです。


「自己新」によるメリット3:本当の意味での自立や自由

他人との比較に翻弄されているとき、人は「こうあるべき」「こうならなくちゃ」という外部の基準に縛られてしまいがちです。ですが、「自己新」を意識することで、基準はあくまで自分の内側にあります。「自分はこれを達成したい」「今の自分より一歩前進するためには、何をすればいいだろう」と考えはじめると、自然と自分の人生の舵取りを自分でしている感覚が芽生えはじめます。

これこそが真の自由や自立といえます。誰かの評価やレールに従うのではなく、自分の価値観やゴール設定にもとづいて動いているわけですから、他人の基準に振り回されるストレスから解放されやすくなるのです。


どうやって「自己新」を実践する?

ここまで読んで、「なるほど、自己新っていいことはわかったけど、具体的に何をすればいいの?」と思われたかもしれません。そこで、いくつかヒントをお伝えします。

1. 小さな目標設定

自己新のカギは「小さな一歩」を積み重ねることです。たとえば、毎日5分でも英語学習の時間をとるとか、業務メールの返信を1つだけ昨日よりも早く処理してみるとか、本当に些細なことで構いません。今の自分が「無理なくできそうだな」と思えるレベルで目標を設定します。その小さな目標が達成できたら、次の日はまた少しだけハードルを上げたり、別の項目に挑戦してみたり。そうやって少しずつ自分の新記録を作っていくのです。

2. 「できた」ことを書き出す

日々の仕事の中で、「今日できたこと」「昨日より進歩できたこと」を書き出す習慣をつくりましょう。これは、日記のような形でもメモアプリでもOKです。ポイントは、「大きなこと」だけでなく、「小さなこと」にも目を向けること。「お客様への電話対応が少しスムーズになった」「同僚に対していつもより丁寧な言葉遣いができた」など、つい見逃してしまいがちな進歩が必ずどこかにあるはずです。

3. 自分なりの成功を定義する

「何をもって成功とするか」は人それぞれ違います。にもかかわらず、一般的な成功イメージや他人の価値観に引きずられると、無理に自分を当てはめようとして疲弊してしまうのです。そこで、「自分にとっての成功ってなんだろう?」とじっくり考えてみることが大切です。高級車や高層ビルのオフィスにこだわらなくても、安定した家庭生活や、ストレスの少ない働き方など、あなたが本当に求めるものが見えてくるはずです。その「自分なりの成功」に近づくために、少しずつ「自己新」を重ねていきましょう。

4. 失敗との付き合い方を変える

「自己新」を続けていくと、どうしても失敗や停滞(思うように進まない時期)が訪れることがあります。しかし、失敗は「自分を責める材料」ではなく「学びのチャンス」と捉えるべきもの。少し理屈っぽく言えば、成長を加速させる宝の山なのです。失敗したときは、「ここから何を学べるか?」と問いかけ、自分の次の一歩につなげましょう。そうして試行錯誤を続けながら、自分が昨日の自分よりどれくらい成長できているかを確かめ、時には立ち止まりながらも進んでいく。そんな姿勢こそ、「自分の人生を自分で創り上げる」ための大きな力となるのです。


疲れた心を癒やしながら、ゆっくりでいい

忙しく働くビジネスマン、ビジネスウーマンにとって、日常は常に時間との戦い。「自己新なんて言っても、そんな余裕はないよ」と思う方もいるかもしれません。確かに、目の前のタスクをこなすだけで精一杯の日もあるでしょう。ですが、「自己新」は何も大きな挑戦をしろと言っているわけではありません。

むしろ、忙しく疲れているときこそ、「ほんの少しでいいから、昨日よりも前に進むこと」を大切にしてほしいのです。疲れたときには自分をいたわる時間も必要です。休日にしっかり休む、睡眠をきちんと取る、好きな音楽を聴きながらおいしいご飯を食べる。そんな中で、ふとした瞬間に、「今日の自分は、昨日の自分よりもどんなところが良くなっているかな?」と、自分の小さな変化に気づいてあげる。その小さな気づきが、あなたの日々をぐっと楽に、そしてより豊かにしてくれるのです。


自分だけのペース、自分だけのゴールでいい

他人と比較することの大きな弊害は、「自分のペース」や「自分にとって大切なもの」を蔑ろ(なおざり)にしてしまうところにあります。でも、本来は、人生のペースは人それぞれ違って当然ですし、ゴールも人によって違う。周りがどんなに頑張っていようが、あなた自身が「少しでも前向きに進めたら」それで立派な成果なのです。

特に、仕事の成果やキャリアアップにおいては、まわりのスピードに圧倒されることも多いでしょう。しかし、それに合わせて自分を急かすと、かえって疲れやストレスでパフォーマンスが落ちることもあります。「自分のペースを大切にしながら、昨日よりも今日、少しだけ進歩できるか」を意識するほうが、長期的にはずっと大きな成長や幸せにつながるはずです。


「誰かより優れている」という安心感よりも、「昨日の自分より前に進めた」という確かな喜びを

他人に勝つと、一瞬は「やった!」と高揚感が得られるかもしれません。しかし、人は常に誰かと競争し続けるわけではありませんし、いつかは誰かに抜かれてしまう可能性もある。そうなると、自信はガタガタと揺らいでしまいます。

一方、「昨日の自分よりほんの少しでも前に進めた」という実感は、誰かに奪われるものではありません。自分の中で確かに積み上がっていくものだからです。その小さな積み重ねが、やがて大きな結果となり、振り返ったときに「あれ? こんな高いところまで歩んで来られたんだ」と驚くような景色を見せてくれることもあるのです。


まとめ:あなたの中の「自己新」を積み重ねる

ここまで「他人と比較するのではなく、常に『自己新』を目標にする」という考え方をお話ししてきました。もう一度、ポイントを振り返ってみましょう。

  1. 他人との比較は自分を疲弊させがち

    • SNSや周囲の華やかさに惑わされると、自分が劣っている気がして落ち込みやすい。

  2. 「自己新」とは、自分の過去よりも少しだけ前に進む考え方

    • 昨日より1ミリでも成長していたら、それは立派な新記録。

    • 他人ではなく、自分の内側に基準を置く。

  3. 「自己新」を続けるメリット

    • モチベーションの安定

    • 自己肯定感の向上

    • 真の自立や自由を味わえる

  4. 実践ポイント

    • 小さな目標を立てる

    • 「できた」ことを書き出す

    • 自分なりの成功を定義する

    • 失敗を学びのチャンスと捉える

  5. 疲れているときこそ、自分をいたわりながら無理なく進める

    • 昨日より少しでも前に進めたら上出来

    • 自分のペース、自分のゴールを尊重する


最後に

忙しい現代社会では、周囲の速度や周囲の成果に振り回されてしまうことが多いかもしれません。とくに、企業の業績や数字にシビアなビジネスの世界では、「どれだけ稼いだか」「どれだけ実績を上げたか」という指標で測られがちです。それはそれで大切なことですが、その「外側から与えられる数値」でしか物事を判断できなくなると、私たちは常に何かを追いかけ続け、心が休まることがなくなってしまいます。

「自己新」という考え方は、そんな忙しさの中でも、あなたがあなたの人生のハンドルをしっかり握るための道しるべのようなものです。誰かを打ち負かす必要も、他の誰かの物差しに自分を合わせる必要もない。あなたの物差しで、あなたの大切にしているものを少しずつ磨き上げていく。そのプロセスこそが、長い人生を豊かにし、結果として大きなやりがいや成果につながるのではないでしょうか。

どうか、今日の自分をほんの少しだけ、昨日の自分より前に進ませてあげてください。もし昨日は帰宅後にヘトヘトで何もできなかったら、今日は帰ったら5分だけストレッチをしてみる。もし昨日は上司からの頼み事を断れなくて残業を引き受けてしまったら、今日は「自分の体力を大切にするために、無理なお願いは丁寧に断ってみる」。そんな小さな変化で十分です。それを「昨日よりも成長できた、これが私の新記録だ」と素直に喜んでみる。最初はちょっと恥ずかしいかもしれませんが、そんな些細な前進を繰り返していくうちに、自分の心に少しずつゆとりが生まれてくるはずです。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。私も、こうして文章を書きながら「自己新」を続けたいと思っています。お互いに疲れた日々の中でも、小さな一歩を大切に積み重ねていきましょう。あなたの努力や思いやりは、きっとどこかで誰かの支えになっているはずですし、何よりも自分自身の人生をより良い方向に進める大きな力になってくれるはずですよ。

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藤川忠彦
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