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【定期購読版】肩峰下インピンジメント-評価と介入-



どうも肩関節機能研究会の郷間です。
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今回は初心に立ち返り、『肩峰下インピンジメントの評価と介入』という内容でまとめていきたいと思います。

2023年上半期は、自分なりに整理した評価と介入のルーティンを行ってみて、非常に手ごたえを感じましたので皆さんにも共有させていただければと思います。

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早速ですが、肩峰下インピンジメントを評価する検査方法として単一で信頼性の高い検査はありません。

Michener らは"5つの検査で3つ以上陽性の場合は肩峰下インピンジメントの確定診断としても有効であり、3つ未満の場合除外診断として使用できる"と報告しています。
こちらは、外科的所見に基づいて陽性または陰性を判定していますので、信頼性も高い検査です。

私自身も、臨床ではこちらの5つの検査をルーティンで行っていて、現在勤めている病院でも肩峰下インピンジメントの評価スコアとしてこちらの5つの検査を導入しております。

では、ここからは5つの検査の方法と陽性の場合の治療方法について一つ一つ紹介していきます。

Hawkin's impingement test

肩関節痛を訴えて来院される症例のほとんどが初回評価ではこの検査で痛みが生じます。
むしろ陰性の症例は稀ではないでしょうか?
感度がまずまず高いので陰性のものを陰性と判断するときに活用していますが、やはり単一の検査としては信頼性が低いです。

では、多くの症例で痛みを訴えやすいHawkins testは関節内でどのような骨頭運動が生じているのでしょうか?


まず、肩甲骨面挙上90°に挙上することにより、骨頭の転がり運動滑り運動が生じます。
その後の内旋運動により、肩峰から烏口肩峰靭帯、烏口突起にかけて骨頭が回転します。
この時、後下方軟部組織のタイトネスにより骨頭が前上方に偏位し、その繰り返しのストレスが肩峰下滑液包に炎症を招き、閾値が低下し痛みが生じるケースが多いと考えます。

では後下方にはどのような軟部組織が存在するのでしょうか?

上の図は、後方から下方にかけての軟部組織をまとめています。

では、これらの後下方軟部組織に対してどのような治療を行えばHawkins testは陰性化するのでしょうか?

私自身、様々な介入を行ってきましたが、Hawkins testに関しては”マッサージ”でも十分即時効果があることを実感しております。

今回は後下方軟部組織の中で、棘下筋小円筋上腕三頭筋長頭大円筋のマッサージをご紹介します。


マッサージは、関節運動を伴わずに行えるため、動作時痛が強い人にも対応可能であり、疼痛軽減機能改善といった効果も報告されています。
一方で、効果が短期的であり持続が乏しいという欠点もあります。

これらのマッサージの特徴を踏まえ、私が行っている臨床での活用方法をご紹介します。

Hawkins testが陽性の患者に対し、実際に4つの筋肉を3~5分程マッサージした後、改めてHawkins testを実施しその変化を確認します。
すると・・・
陽性だったHawkins testが完全に陰性化することは少ないですが、『内旋0°で生じていた痛みが20°までは痛みなく行えるようになった』など、明らかな変化は生じやすいです。

このように、介入前後の変化を直接感じることができれば、マッサージをセルフケアとしてお伝えしやすく、患者自身も積極的に実施して頂けるかもしれません。

"マッサージは、患者自身がセルフケアとしても行いやすい"という点が最大の強みだと考えています。

是非、参考にしてみてください。


しかし・・・
後下方タイトネスに対するマッサージにより、Hawkins test時の一時的な疼痛軽減ばかりに気を取られてはいけません。

なぜかというと・・・
Hawkins test陽性ということは、根底に肩峰下滑液包の炎症があるため、
肩峰下滑液包の炎症の鎮静化”が一番大切です。

そのため、マッサージで骨頭偏位を軽減させることと合わせて、"疼痛誘発動作自体を回避させること"も重要です。
着患脱健利き手交換重量物を持たないなどの基本指導もしっかり行いましょう。


Neer test

-適応-
腱板筋と烏口肩峰靭帯の衝突を確認する
-方法-
・被験者は立位で上肢をやや内旋位で挙上し、検者は次の手順で行う被験者の肩後上方面に手を置き固定しておく
・被験者の前腕を把持し挙上する
-陽性判断基準-
挙上時に肩峰下領域に痛みが再現されるとテスト陽性となる
検査精度:感度72% 特異度60%


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