見出し画像

足し算は、なぜ0+1から教えないのか


はじめに

下の娘がはじめてのたしざんをはじめました。
最初は悪戦苦闘していましたが、数字の表を見ながら理解したらしく、取り急ぎ、$${n + 1  (n \in \mathbb{N})}$$の計算はできているみたいです。

「たす1」を教えるんだったら何もないところに足していくのが実態に即してない?

教材を見ていて思うのですが、足し算のカリキュラムの中で、0+1 をはじめの方に扱わないのはなぜなのでしょうか?
生活の中でも、「なにもない箱の中にボールを一つ入れます」という方が、「一つボールが入っている箱の中にボールをもう一つ入れます」よりも自然な気がするのですが。。

グー・チョキ・パーで0は理解できる!?

たしかに何もないことをあらわすのに 0 という数字を用いるというプロセスは必要かもしれませんが、空の箱を示せば分かってくれるような気もしないでもないです。

もっとわかりやすい例は、グーチョキパーで立てている指の本数 だと思います。

グー: 0本
チョキ: 2本
パー: 5本

「パーは、いーち, にー, さーん, しー, ごー。5本。じゃあグーは?何もないねー。これは0といいます。何もないのが0だよー。」
でいけないかなぁ?

たしざんワークブックに0を加えるべき理由

その1:ペアノの公理では0を集合の起点とした上で自然数を定義しているから

足し算の理解というとみなさんペアノの公理を思い浮かべるかと思います。
その中でも、はじめに定数0を定めた上で($${0 \in \mathbb{N}}$$)、自然数が定義され、自然数の加法について議論されています。


その2: 整数の和に関する群の単位元は0だから(加法単位元)

自然数集合全体の足し算のあとに、引き算を勉強しますが、このふたつを組み合わせると、整数の和に関する群について考えることができます。
この場合の単位元は0であり、逆元を考える上でも、重要な定数であることは明らかではないかと思います。

「箱は空っぽでした。お菓子を2つ買ってきて、箱に入れました。($${0 + 2 = 2}$$)」
「おやつの時間に2つ取り出して、二人でわけわけして食べました。($${2 - 2 = 0}$$)」
というストーリーは子供にも馴染みがあって、イメージもしやすいと思います。
その上、足し算、引き算、そして0の概念も学べるので、お話が理解できていれば元の演算についても、分かってくれるんじゃないかなと思います。

その3: 十進法表記において0記号の説明が明確でなくなるから

$${1,2,3,4,5,6,7,8,9,10}$$
…10!? なぜ1がまた出てくるの?1と0は離れているのに一つの数なの!!??

みたいな疑問をお子さんが持たれたこともあるかと思います。
(ウチの子は10を01と書いたりしています)

これも、
$${0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}$$  

と教えておけば、「記号がこの10個しかないから、10を表すには2つの数字を並べるんだよー」と説明しやすいと思います。

おわりに

小学校に入った後、そんなに遅くないタイミングで0の概念は習うと記憶していますが、そんなに引っ張らなくてもいいんじゃないかなというお話でした。

きっと、0が発明されたのは〜みたいなところから、0の概念は後回しになったのかと思いますが、代数の理解を深めようとすると、0ははじめに教えてあげた方が良いんじゃないかなーという個人の感想です。はい。

もし 教え方を変更するとなると、小学1,2年生のカリキュラムを大幅に見直す必要がありそうですね。九九にも影響がありそうですね…!

個人的には、すごろくで例えたり(進む, 戻る)とかで、子どもたちは理解できそうかなぁとか思ったりするのですが、いかがでしょうか??


追記: 0はともかく、次は「足す2」が理解できるか…!?

教材の進め方的に、次は$${n + 2  (n \in \mathbb{N})}$$にチャレンジします。公文式らしいカリキュラムですね…!
2つ数を増やす(表をシフトする)という操作がきちんと理解できるか、引き続き生温かく見守りたいと思います。



いいなと思ったら応援しよう!