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【社会課題解決先進国スウェーデン、デンマーク視察訪問レポート】 第2部 みんなで創る、より良い公共とウェルビーイング

1 リビング・ラボとは

リビング・ラボとは、現実の生活環境におけるオープンイノベーションのエコシステムであり、反復的なフィードバックプロセスを通じて、イノベーティブ且つ、持続可能な仕組みや事業、価値を生み出す取り組みのことである。欧州を中心に世界的に普及しつつある概念で、日本でも各所で実験的なエコシステムが作られつつある。
 
第1部で「デモクラシー・ガレージ」はデモクラシーのリビング・ラボだと書いた。つまり、そこに集う多様な人たちがそこで行われるディスカッションやイベント、アクションに参加することにより、デモクラシーという抽象的な事柄に関して、現実の環境とつなぎ合わせて、より良い社会を作ろうとする実験工場だと捉えられる。

ロスキレ大学の安岡先生は、「デモクラシーは壊れやすい、デンマークのデモクラシーは薄れつつある」と述べられる。日本から来た私にはそのようなことは感じられなかったが、その場所がデモクラシーのリビング・ラボであるならば、そこに多くの人が参加することで、壊れやすいデモクラシーを再構築していくことになっていくのだといえる。
 
話が逸れたが、リビング・ラボは、現実の生活環境の中で行われるもので、現在、まちづくりや企業の事業開発などに使われているスキームだ。ある意味、デザイン思考におけるプロトタイピングを連続していく過程ともいえる。もしくは最近よく聞くようになってきた「アジャイル」というものもリビング・ラボが反復的なフィードバックプロセスを繰り返すという性質であるので相性がよい概念かもしれない。実際に住民や顧客、ユーザーの声を取り組みの中で取り入れて、より良いまち、より良いサービスづくりにつなげていく取り組みである。


2 スウェーデン国立デザインセンター「ArkDes」の「ストリート・ムーブ」

ArkDesスタッフのデザイナー・Olleさんと共に。

リビング・ラボに積極的に取り組む事例を取り上げたい。北欧視察2日目に訪問したスウェーデン国ストックホルム市にある「ArkDes」である。「ArkDes」はスウェーデンの国立建築・デザインセンターである。博物館でもあり、研究センターでもあり、建築やデザイン、市民社会の未来に向けた議論や討論の場でもある。
 
今回お話を伺ったのは、ArkDesでまちづくりに携わるOlleさん。片言の英語でコミュニケーションもままならない視察者(西田さんはバリバリの英語の使い手)に対して親切丁寧にご対応いただいた。VINNOVA出身で、チームを率いるDanさんという方にアポイントを取ろうとしたが、ちょうどDanさんが来日するタイミングであり、Danさんからご紹介をいただいた。

Olleさんは、デザイン思考における重要な概念の一つ「ダブル・ダイヤモンド」をどのように、まちづくりに生かしているかを事例を交えて説明をしてくださった。「ダブル・ダイヤモンド」はデザイン思考における「問い」と「解決策」の2つのフェーズにおける拡散と収束の動きをダイヤモンドに例えたものである。

「ArkDes」は、デザイン思考に基づいて、リビング・ラボでまちづくりを担っているのである。彼は自らをデザイナーだと述べる。

ArkDes内部を案内して頂いた。最後はまちづくりに関するデザインアイデアを大学生がプレゼンテーションする会場を特別に見る機会を頂いた。

ここで改めて説明するまでもなく、デザインの概念は大きく変わってきている。従来の製品デザイン、サービスデザインなどのデザインだけではなく、社会の仕組み、あらゆるシステムに対してもデザインすることができるし、組織やキャリアといったものもデザインの対象である。デザインは目に見えるものだけではなく、万物に対して当てはめることができる考え方となっている。

「ArkDes」では、「ストリート・ムーブ(STREET MOVES)」という取り組みを進めている。Olleさんが述べるには、公共空間の実に90%が「道路」だという。確かに日本でもそうかもしれない。公共施設といっても学校や役所、公民館などは思い浮かぶが、敷地面積でいえばそんなに大きくはない。それよりも道路を並べたらどれくらいの面積になるのだろう。「ArkDes」は、持続可能な生活環境を作るためには、多様な視点が混じり合った共創が重要だと考え、公共施設の多くを占める「道路」に着目し、「道路」をアップデートする取り組みを始めたのだ。

公共空間のほとんどを占める”Street”には多様な可能性がある。

この「ストリート・ムーブ」を進める上で重視されているのが、政策形成に多様なステークホルダーが関わっていることである。建築、デザイン、イノベーションの各分野の専門家だけではなく、市民や住民も参画している。いわゆる公募委員のような参画の仕方ではなく、「ユーザー」として参加しているのである。しかも実際の生活環境の中で参加。Olleさんが言うには、住民は「生活のプロ」であり、歩行者は「歩行のプロ」である。自転車や車などの運転をする人も言れば、そもそも道路をほとんど使わない人もいる。そうした人も住民なのである。彼ら彼女らの視点を道路のアップデートにつなげることで、「サステナブル」なデザインとなっていく。

そうした中で、中核となってプロジェクトを推進するのがデザイナーの仕事であると言う。デザイナーはデザインを主導すると言うよりも、ファシリテートすることが重要な役割だと述べる。多様なステークホルダーが様々な意見を述べる中で、もちろん行政の考えやメインストリームの方針に反対の姿勢の人もいるだろう。そうした人たちをも巻き込んで、公共をアップデートしていくことを彼らデザイナーは担っている。コミュニケーションを図り、より良いデザインを創造していくことである。現在、スウェーデンの多くの自治体で始められた「ストリート・ムーブ」の取り組みは国境を超えて、米国などで進められつつある。シリコンバレーにほど近い、カリフォルニア州サンノゼなどの取り組みをOlleさんは紹介してくれた。


3 デンマークの自転車中心な交通

訪問した時期が11月下旬ということもあり、ストックホルムは最高気温が1度で最低気温がマイナス5度という感じだった。慣れというのは怖いものでストックホルムの空港に着いてすぐはさすがに寒く感じたが、その日の午後には寒さをそれほど感じなくなっていた。「ArkDes」を出たのは夕方4時くらいだったと思うが、すでに外は真っ暗で「夜」となっていた。対岸にはストックホルムの伝統的なきれいな街並みを見ることができた。北欧は払暁も遅いが、日が暮れるのも早い。日中が本当に短い。

ArkDesを出たのは16時くらい。ストックホルムの夜景は美しい。

ホテルに帰ってから見たTVのニュース番組では、11月にしては雪の量がかなり多いと述べていた。(となんとなく感じた。英語でもなくスウェーデン語なのでほぼ理解不能であるが、なんとなく) 寒波が到来しているようである。だからというわけではないが、北欧特有の公共空間である道路もどのような状況なのかがよく分からない。やたら石畳が多く、人が歩くところはアスファルト舗装されていないところも多く、スーツケースを引いて歩くには結構大変だった。視察3日目にスウェーデンからデンマークに移動し、ようやく雪道から解放された。

デンマークに到着したのは夜だった。当初は18時くらいに到着するはずであったが、途中で電車が遅延し結局到着したのは1時間以上遅れた19時過ぎだった。コペンハーゲン中央駅に到着して最初に驚いたのは、国旗が至る所に掲揚されていることである。いや、日本ではあまり考えられない。日の丸が東京駅の至る所に掲揚されているとしたら、色々とうるさどころからの声が多く物議を醸しかねない。きっとデンマークは愛国心がすごく強いんだろうと思う。自国に対する誇りを強く感じることができた。

コペンハーゲン中央駅

コペンハーゲン中央駅からほど近いところで、デンマーク料理の食事をし(これがめちゃくちゃ美味しかった→まあまあ高かった)、ホテルへと向かう。その途中、とあることに気づく。「歩行者よりも自転車のほうが優遇されている」のだ。歩道がめちゃくちゃ狭いのに、自転車道は結構広い。これはたまたまこの場所だけがそうなのかな思ったが、後から振り帰ってみても、自転車道がしっかりと整備されている。自転車専用道路はすごく移動に適しているのだが、歩道は逆に階段を登り下りしないといけなかったりと、これは明らかに自転車優先の社会である。

チボリ公園の近くにあるデンマーク料理レストランにて。

デンマークが自転車天国なのは、有名である。こういう街並みを真似しようと、日本でも自転車道を整備しようとする動きがあるが、現実的にはなかなか難しいのではないだろうか。それは予算がないからとかそういう問題ではなく、思想やまちづくりの根幹の部分に関わるのではないだろうか。

コペンハーゲンはコンパクトな町である。中央駅やチボリ公園がある中心部から2キロほどのエリアに主要な施設が集積しているような感じである。電車ももちろん充実しているが、わざわざ電車に乗らずとも、もっと小回りが利くのが自転車なんだろう。それとやはり、自転車ユーザーの声を道路作りに生かしているのではないだろうか。デンマークは言わずと知れた「デザインの国」である。街中を歩いてもきれいな風景が続いているし、コペンハーゲンの市役所もまるで城のようだ。実際にすぐ近くにいくつ下の本物の城も建っている。童話の世界にいるような錯覚さえしてしまう。

コペンハーゲン中心部。積雪にもかかわらず自転車で移動する人は多い。

スウェーデンの「ArkDes」はストリート・ムーブの活動で、道路をアップデートする取り組みをしているが、デンマークにおいては独自にユーザー視点も取り入れた道路のアップデートを進めてきたのだ。自転車が乗り心地がいい、自転車で移動するのがスマートでリーズナブルでファッショナブルであれば、みんな自転車で移動するだろう。自然と近距離移動には車は必要なくなる。確かに、中央駅付近の大きな道路には車は日本と変わらず走っているが、一つ路地に入ると、車の存在はほとんどない。自転車と歩行者だけである。時折、配達車が脇を通りすぎる。脱炭素とかという視点とは異なり、生活者や町のユーザーである住民の声を反映したら、このような街になったと考えるほうが分かりやすい。

コペンハーゲン中心部の路地
コペンハーゲン中心部の路地



4 ロスキレ大学・安岡美佳先生とのディスカッション

ロスキレ大学の安岡先生を囲んで。

視察4日目。ロスキレ大学の安岡美佳先生にお時間をいただいて、コペンハーゲン中心部のレストランで待ち合わせをした。11時のランチタイム開始とともにお店に入り予約席に案内された。まもなく安岡先生も到着された。

安岡先生のことは、駐日デンマーク大使館の方に教えていただいたのがキッカケだった。デンマークや北欧のことなら、まずは安岡先生とコンタクトされて現地で会うのをお勧めされた。2022年に「北欧のスマートシティ」という御本も出版されている。今回の北欧視察において、事前にこの本を何度も読み直し、訪問すべきところをリストアップした。この本は現時点では日本語で書かれた書籍の中では最も「北欧のスマートシティ」、「北欧のリビング・ラボ」に関して情報が豊富だと言える。視察訪問者には必見のバイブルじゃないだろうか。それほど事例と分析に優れている。私からも北欧について学びたい方におすすめしたい一冊である。

安岡美佳先生とユリアン森江 原ニールセンさんの共著「北欧のスマートシティ」。必読の一冊。

渡欧前に一度オンラインでお時間を頂戴し、自己紹介などはしていたこともあり、ストックホルムでお会いした際には、少し突っ込んだ話もさせていただけたと思う。安岡先生は、デンマークに2000年代から在住され滞在歴ももうかなり長くなっておられるが、日本社会がもっと良くなってほしいと何度も述べておられた。私たち3名(佐々木さん、西田さん、藤井)は、視察報告を兼ねて、日本において北欧の社会課題解決の取り組みに学ぶコミュニティを立ち上げようと企画しているのだが、そこに安岡先生もアドバイザーとして参画していただける話となっている。安岡先生のお力もお借りして、日本社会にとってより良い取り組みを進めていければと考えている。

安岡先生はもともと大学時代は情報学を専攻されておられたが、大学院やコペンハーゲン工科大学で研究をされていた際に、スマートシティやリビングラボも研究対象として捉え、今や北欧のリビングラボの取り組みについての第一人者である。

先生とのディスカッションの中でも話題となっていたが、やはり北欧と言っても一括りできないのである。デンマークの人から見てスウェーデンの人は「とても優しい」ということだが、これは私の考えでは「お人好し」と裏表じゃないかと思う。スウェーデンはなんとなく日本と似ているような気がする。北欧最大の国であり工業化も進んでいる。国民性もなんとなく真面目で優しい。だからという訳ではないだろうけど、スウェーデンは2010年代にシリア難民などを受け入れた影響により、現在大きな社会問題となっている。

安岡先生が述べていた言葉でとりわけ印象的だったのが、「イノベーションは、オープンでなければならない」というものである。先生は先に取り上げた「デモクラシー・ガレージ」をデモクラシーのリビングラボとも述べておられるが、イノベーションの拠点であるとも述べておられる。私たちが行った時は、「デモクラシー・ガレージ」にはそういう一面は見えてこなかったが、あの場所はスタートアップのインキュベーション拠点でもあったのだ。(インキュベーション拠点のスタッフの方とも立ち話で意見交換をさせて頂いた)

イノベーションを生み出すためには、共創が必要なのは言うまでもない。社会課題を多様な視点から見て、レバレッジポイントを考える。そしてセオリー・オブ・チェンジ(ToC)を考える。セオリー・オブ・チェンジとは、現在の社会課題を分析して、「ここを変えれば、社会がシステムとしてうまく回り始める」というポイントをどのように変えるのか、ということである。

そして社会課題をステークホルダーを交えて分析した上で、それを実際に変えていく実践活動もまた一人では何もできない。従来、日本では行政が地域や社会課題解決のアクターとして中心的な役割を担ってきていたが、2000年代以降状況は変化し続け、特に2010年代後半からその動きは加速している。行政だけでは今の社会課題や地域課題を解決するのは荷が重すぎる。かといって民間企業や市民だけでは到底無理だ。だから関わる人みんなが共創して自分が出せるリソースを出し合い、社会課題にアプローチしていく必要性があるのである。「イノベーションはオープンでなければならない」、というのはまさにその通りで、デザイン思考の基本的な考え方であるダブル・ダイヤモンドにおける課題定義の段階(Discover/Define)にも、解決策を考え実行する段階(Development/Deliver)でも、オープンであることが重要なのだ。だから、北欧はステークホルダーとなるみんなが対等に、そして尊重しあって、課題に取り組む。行政と民間が受発注関係にあるという訳ではなく、また行政が主で、民間や市民が従ということでもない。それを実現できているのが、デモクラシーの力なのかもしれない。

デンマーク王立図書館(通称「ブラックダイヤモンド」)。学びとコミュニケーションの場、コミュニティとなっている。

人権や民主主義といういうと、とても崇高で議論し難いテーマである。だが、北欧においてはデモクラシー・ガレージや公共の図書館のように、誰もが身近な社会課題について議論しあえる雰囲気がある。学校教育でもそうだ。そして生涯学習においてもそうだ。市民が設立した教育機関がスウェーデンにはあった。同行した西田さんによると、そこは誰でも入っていい施設らしい。そしてそこでは生涯学習が行われているという。と同時にそこはコミュニティなのだという。ともに学び合いながらも、そのコミュニティに属することで、町や社会について語り合う場なのである。

スウェーデンもデンマークも日本と比べれば、人口が少ない国である。 だが、一人当たりの労働生産性は最新の2023年度調査によれば、先進国OECD38か国においてノルウェーが第2位、デンマークが第4位、スウエーデンが第10位である。日本は第30位。北欧はイノベーションに溢れているのだ。それはきっと、ここまで述べてきたように「オープン」であることが関係しているのではないだろうか。

みんなで作るからこそ、みんなに納得性が高い社会ができるのだろうし、それはサステナブルである。そしてみんなにとって、ウェルビーイングなんだろうと思う。その鍵を握るのが、「リビング・ラボ」というデザインの手法だろう。

北欧最古の図書館と言われるストックホルム市公共図書館。本を媒介として多くの人が集まる。



5 日本におけるリビング・ラボ

ストックホルムの市街地を一望できる丘から。

そういえば、私が日本で今やっている取り組みは、「リビング・ラボ」の一つじゃないだろか。そう感じたのは北欧滞在中のことだった。

「逆プロポ」という仕組みを運用し、民間と行政との対等な関係性の中での社会課題解決、イノベーションの創出を目指した事業を私はソーシャル・エックスという会社で運営している。

日本においては北欧のように官と民の間の垣根が低い訳ではない。官があり、民がある。歴史的にも官の力が大きい。その官がこれまでは何でも公共サービスを担ってきた。年貢や税を集めてそれを国力として分配する。だけどその方程式も平成の終わり頃から現在の令和の時代にかけて限界がきている。だから、私たちは「逆プロポ」というサービスを世に出して、行政だけでは解決できない社会課題をステークホルダーが総がかりとなってオープンイノベーションで解決できる仕組みづくりを進めようとしている。

安岡先生と専修大学の上平教授がまとめられた「リビングラボの10のパースペクティブ」(2014)には、リビング・ラボを進めるためのポイントが整理されている。次の10つである。
 1 利用文脈を考慮したテストベッド(仮説の検証)
 2 参加者が集まる必然性(マルチレイヤー化)
 3 デザインの過程を知る/デザインに参加する(参加者の学習)
 4 参加者と専門家の対話(リフレクション/学びあい/ストーリー化)
 5 活動・実験のデータ分析(定性的調査/定量的調査)
 6 インクルージョンのプロセスを通じた発想(新規の問題発見)
 7 長期的な運用(ヒト・モノ・カネの運営管理/知的資産)
 8 目的に応じた運用(場所を重視する/プロセスを重視する)
 9 エンパワーメント/権限移譲(上のフロアに導く)
 10 開かれた機会(アウトリーチ)

どこまでできてるかは別として、私たちは日本でも官民共創のオープンイノベーションとして、これらを実践しているのじゃないだろうかと考える。

今の日本の行政は、お金もないし人手も出せない。そうしたら何か社会課題解決に対して出せるリソースはあるのだろうか。それは「プラットフォームとしての機能」である。日本の行政は多くの人を接続できるハブ(HUB)であり、プラットフォームである。逆プロポでも行政が果たす役割は、住民や事業者、もしくは業界団体との折衝や調整などが多い。これは立派な社会課題解決のためのリソースであり、おそらく行政でしか果たし得ない役割である。だから日本における住民やユーザーを交えたオープンイノベーションを実現しようとするならば、自ずと行政が参画する必要がある。

ただし気をつけなければならないのは、行政主導でプロジェクトが組成されてしまう場合。そして思いや目標が共有されないままスタートしてしまう、“なんとなく共創”のプロジェクトである。前者の場合は、従来の仕様書に基づく受発注関係から抜け出せずに、課題解決には結果的には結びつきづらい。後者の場合は、なんとなく共創して、もしかしたら包括連携協定を結んで終わり、もしくは実証実験をやって終わりとなる可能性が高い。日本におけるイノベーションの創出には、北欧などの事例を参考にしつつも日本的なリビング・ラボの進め方があるのではないだろうか。


◇筆者プロフィール
藤井哲也(ふじい・てつや)
株式会社パブリックX 代表取締役/SOCIALX.inc 共同創業者
1978年10月生まれ、滋賀県出身の45歳。2003年に若年者就業支援に取り組む会社を設立。2011年に政治行政領域に活動の幅を広げ、地方議員として地域課題・社会課題に取り組む。3期目は立候補せず2020年に京都で第二創業。2021年からSOCIALXの事業に共同創業者として参画。
京都大学公共政策大学院修了(MPP)。日本労務学会所属。議会マニフェスト大賞グランプリ受賞。グッドデザイン賞受賞。著書いくつか。
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