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ジョージ・オーウェル「一九八四年」と、村田沙耶香「世界消滅」を読んで。

もう1か月ほど前ですが、2冊の小説を読んでいましたので、備忘録として記録に残しておきたいと思います。
2冊とも有名な小説です。アート思考、デザイン思考を学ぶために、お勧めされていた本でした。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」はよく名前は聞いていたものの、これまで読む機会がありませんでした。良書とも大変面白い本だったと思います。

▮「一九八四年」の読後感

初版は1949年に発刊。よく書名は耳にしてきたものの、これまで目に触れることはなし。アートシンキング絡みで最近本著が取り上げられていたことから手に取りました。

“ビッグブラザー”は果たして存在するのか。否、もはやいてもいなくても同じなのかもしれない。作中で二重思考と呼ばれる概念の恐ろしさ。なにか似たような既視感を覚える。反抗者は“いた”のではなく、“いなかった”ということになる世界観。

アートには意味がある。逆に言うと意味がないものはアートではないのかもしれない。どうなんだろう。その文脈でいえば優れた小説はアートなんだろうな。

自分の仕事にも最大限意味を持たせたい。課題として社会に提起する事柄が本当に意味がある課題なのだろうかと。解決策として提示する案が根本的に社会のために役に立つアイデアなのか。

▮「世界消滅」の読後感

芥川賞作家の村田沙耶香氏の本書。人工授精がスタンダードとなった世界観。夫婦の性行為は近親相姦として忌まれる。千葉では男性の人工子宮による出産の実証実験が進み、男でも女でも出産できる社会づくりに取り組まれる。家族や夫婦、男女などの概念がなくなり、全ての子供は全ての大人の「子供ちゃん」となる。大人はみんな「おかあさん」となる。それが正常となる。

この本も「一九八四年」同様に後味が悪い。
でも、未来の社会はこうなっていてもおかしくないと思えた。
未来社会を構想したり、そのための社会課題解決に取り組む先にどのような社会が来るのか、知るすべはないけど、頭の片隅にいれておきたいなと感じた。アート思考やSFプロトタイピングを学ぶ過程で久しぶりに読んだ小説。

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◇プロフィール
藤井哲也(ふじい・てつや)
株式会社パブリックX 代表取締役/SOCIALX.inc 共同創業者
1978年10月生まれ、滋賀県出身の43歳。2003年に若年者就業支援に取り組む会社を設立。2011年に政治行政領域に活動の幅を広げ、地方議員として地域課題・社会課題に取り組む。3期目は立候補せず2020年に京都で第二創業。2021年からSOCIALXの事業に共同創業者として参画。現在、社会課題解決のために官民共創の橋渡しをしています。
京都大学公共政策大学院修了(MPP)。京都芸術大学大学院学際デザイン領域に在籍中。日本労務学会所属。議会マニフェスト大賞グランプリ受賞。グッドデザイン賞受賞。著書いくつか。



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