【書評】『Product-Led Growth』(ウェス・ブッシュ著/UBventures監訳、2021)を読んで。
▮ 読むきっかけ
SaaSビジネスの展開について少し知識を得たく、たまたま本屋で見つけた本です。
▮ 気になったところ
●なぜ自分は、営業資料をばらまくのに30万ドルも費やしているのだろう、と。
もちろん、理由を説明するのは簡単だ。それは契約に飢えたセールスチームを満足させるため、リードを獲得するためだ。だが、そもそも、その目的を果たすのに営業資料を使う必要があるのだろうか?(p2-3)
●1.料金ページを複雑にしない 2.有料プランにアップグレードする必要性を感じないような無料プランはつくらない 3.ダウングレードしやすい設計にしない(p137-139)
●SaaSビジネスの場合、有効な戦略はバリュー・ベース型だけだ。SaaSビジネスはユーザーに価値を提供するためだけに存在している。ユーザーがプロダクトにいくらなら支払う意思があるかを調査し、どんな機能を開発して欲しいかを知ることで、ユーザーこら求められるサービスを提供できるだけでなく、ユーザーをより魅了し、より長く使い続けてもらえるようになる。それも売上を得ながら、である。(p145)
●新規獲得ファーストからリテンション・ファーストのマインドセットに移すと、ビジネスを著しく成長させることができる。(p329)
●もしグーグルで検索する前に、利用料を支払わなければならないとしたら?もしウーバーをはじめて利用する前に、デモを申請するようにと言われたら?もしスラックに登録する前に、営業担当者と話す必要があるとしたら?
日々使うサービスが、その価値を体験する前にいちいちひと手間かかるとしたら、いずれの企業も今ほどの成功は収めていなかったことだろう。(p359)
▮ 読後感
SaaSのマーケについて少しは学べたかなと思います。マーケ担当者向けの本なので、関係なさそうな部分は流し読みでした。UBベンチャーの方が監訳してる本なので、間違いはないのかなとも思います。
ただ、全体を通じて、文章が読みにくい印象。翻訳が悪いのか、もともとの文章が悪いのかはよく分かりません。体系化がなされていないのかもしれません。思っていることをつらつらと書いている感じ。
とはいえ、Product-Led growthは、近年、注目されている概念です。著者も書いているようにすべてのケースに当てはめることができるものではないと思いますが、知っていて損はないと思います。定価の価値があるのかといえば、これは微妙。買う人を選ぶのかもしれません。
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◇藤井 哲也(ふじい・てつや)
株式会社パブリックX 代表取締役/一般社団法人官民共創未来コンソーシアム事務局長/SOCIALX.inc ボードメンバー
1978年10月生まれ、滋賀県大津市出身の43歳。2003年に雇用労政問題に取り組むべく会社設立。職業訓練校運営、人事組織コンサルティングや官公庁の就労支援事業の受託等に取り組む。2011年に政治行政領域に活動の幅を広げ、地方議員として地方の産業・労働政策の企画立案などに取り組む。東京での政策ロビイング活動や地方自治体の政策立案コンサルティングを経て、2020年に京都で第二創業。京都大学公共政策大学院修了(MPP)。日本労務学会所属。議会マニフェスト大賞グランプリ受賞。グッドデザイン賞受賞。
◇問い合わせ先 tetsuyafujii@public-x.jp