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墓じまい~分骨から海外遺骨の埋葬まで、行政書士が解説~

「実家のお墓が遠くて、なかなかお参りに行けない…」「お墓の継承者がいなくて、将来が不安…」

近年、少子高齢問題やライフスタイルの変化により、墓じまい・改葬を検討する方が増えています。
「墓じまい」という言葉は知っていても具体的にどうすればいいのか、費用はどれくらいかかるのか、手続きはどうすればいいのかなど、分からないことだらけで不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな墓じまい・改葬に関する疑問を解説します。
分骨の手続きや、海外遺骨の日本への埋葬、さらには複数のお墓をまとめる方法まで、事例を交えながら、分かりやすくお伝えします。

この記事を読めば、あなたも墓じまい・改葬の基礎知識をマスターし、安心して手続きを進めることができるでしょう。
さらに、専門家である行政書士への相談のメリットなど紹介します。

*参考文献:「行政書士が教える墓じまい・改葬の進め方」(行政書士 大塚博幸氏))

1 墓じまい・改葬とは?~新しい供養の形~
1-1. 墓じまいとは?
墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、遺骨を別の場所に移すことを指します。単にお墓をなくすだけでなく、遺骨の新たな供養方法を考えることまでを含みます。

1-2. 改葬とは?
改葬とは、遺骨を現在のお墓から別のお墓や納骨堂などに移すことを指します。
墓じまいの一つの方法であり、法律上の手続きが必要です。

1-3. なぜ墓じまい・改葬を選ぶのか?~現代社会のニーズ~
墓じまい・改葬を選ぶ理由は様々ですが、主な理由としては以下のようなものが挙げられます。

・お墓の継承者がいない:
少子化や核家族化により、お墓を継ぐ人がいないケースが増えています。
・遠方でお墓参りが難しい:
地方から都市部へ移住した人が増え、実家のお墓が遠方になり、お参りが困難になるケースが増えています。
・経済的な負担が大きい:
お墓の維持管理費や、遠方へのお墓参りの交通費などが負担になるケースがあります。
・宗教観の変化:
宗教観の多様化により、従来のお墓の形にこだわらない人が増えています。

これらの理由から、墓じまい・改葬は、現代社会のニーズに合った新しい供養の形として注目されています。

2 分骨とは?~遺骨を分けるという選択肢~
2-1. 分骨の意味と目的
分骨とは、故人の遺骨を複数に分けて、それぞれ異なる場所に埋葬または保管することを指します。
分骨は、以下のような目的で行われることがあります。

・故人の希望:生前に故人が分骨を希望していた場合。
・家族の希望:家族がそれぞれ故人の遺骨を手元に置いておきたい場合。
・遠方のお墓との両立:実家のお墓と、自宅近くのお墓の両方に遺骨を納めたい場合。
・宗教上の理由:宗派によっては、分骨が一般的な場合もあります。

2-2. 分骨の種類と手続き
分骨には、大きく分けて以下の2つの種類があります。

・火葬後の分骨:
火葬場で遺骨を分ける方法です。事前に火葬場に分骨の希望を伝え、分骨証明書を発行してもらう必要があります。
また、分骨用の骨壺も用意する必要があります。
・埋葬されている遺骨の分骨:
既にお墓に埋葬されている遺骨を分ける方法です。
お墓の管理者(寺院や霊園など)に分骨の相談をし、分骨証明書を発行してもらう必要があります。
また、石材店に依頼して遺骨を取り出し、分骨作業を行う必要があります。

2-3. 分骨の注意点
・親族の同意:
分骨は、親族間のトラブルの原因となることもあります。
事前に親族間でよく話し合い、同意を得ておくことが重要です。
・分骨証明書:
分骨証明書は、分骨した遺骨を新たに埋葬する際に必要となる書類です。
紛失しないように大切に保管しましょう。
・費用:
石材店への依頼費用、分骨用の骨壺の購入費用などがかかります。事前に費用を確認しておきましょう。

3 海外の遺骨を日本に埋葬するには?~国際的な手続きの解説~
3-1. 海外で亡くなった方の遺骨を日本に埋葬する場合

海外で亡くなった方の遺骨を日本に埋葬する場合、通常の手続きとは異なる手続きが必要となります。

・必要書類:
現地の死亡診断書(死亡証明書)、火葬証明書、遺骨と申請者の関係を証明する書類、申請者のパスポートのコピー、これらの書類の日本語訳などが必要となります。
・申請先:
遺骨が現在ある場所を管轄する自治体、または日本の自治体に改葬許可申請を行います。
・注意点:
国や地域によって、必要な書類や手続きが異なる場合があります。事前に日本の自治体や、現地の日本大使館・領事館に確認することをおすすめします。

3-2. 日本で亡くなった外国籍の方の遺骨を日本に埋葬する場合
日本で亡くなった外国籍の方の遺骨を日本に埋葬する場合も、同様に許可申請が必要となります。

・必要書類:
死亡届の記載事項証明書、火葬許可証、遺骨と申請者の関係を証明する書類、申請者のパスポート関係、これらの書類の日本語訳などが必要となります。
・申請先:
亡くなった方の住所地、または埋葬予定の墓地を管轄する自治体に許可申請を行います。
・注意点:
国籍によって、必要な書類や手続きが異なる場合があります。事前に自治体に確認することをおすすめします。

4 複数のお墓をまとめるには?~墓じまい・改葬の応用編~
4-1. 2つのお墓を1つにまとめる

「先祖代々のお墓と、最近亡くなった親のお墓を1つにまとめたい」というケースは少なくありません。この場合、以下のような方法が考えられます。

・一方のお墓を墓じまいし、もう一方のお墓に改葬する:
費用や手間はかかりますが、お墓参りが1か所で済むようになります。
・2つのお墓を墓じまいし、新たに永代供養墓などに合祀する:
お墓の継承者がいない場合や、経済的な負担を軽減したい場合に選ばれることが多い方法です。

4-2. 複数のお墓をまとめる際の注意点
・親族の同意:
複数のお墓をまとめる場合、関係する親族が多くなるため、事前に十分な話し合いを行い、全員の同意を得ることが重要です。
・改葬許可申請:
複数のお墓をまとめる場合、それぞれのお墓がある自治体で改葬許可申請を行う必要があります。
・費用:
複数のお墓をまとめる場合、墓じまいや改葬の費用が2倍以上になることがあります。
事前に費用を確認し、予算を立てておくことが大切です。

5 公営墓地の両家墓について~並列表記の問題点~
5-1. 公営墓地における両家墓

公営墓地では、一般的に、配偶者側の親族の遺骨も埋葬することができます。
しかし、墓石に両家の名前を並列して表記することは、禁止されている場合があるので、事前に確認する必要があります。

5-2. 両家墓を希望する場合
両家の名前を墓石に彫刻したい場合は、事前に墓地の管理者に相談してみましょう。
個別の事情によっては、許可される場合もあります。

6 自然災害とお墓~地震や台風による被害への備え~
6-1. 自然災害によるお墓の被害
近年、地震や台風などの自然災害により、お墓が損傷・倒壊するケースが増えています。

6-2. お墓の修復責任
・原則:お墓の修復責任は、原則としてお墓の所有者(使用者)にあります。
・例外:ただし、墓地の管理者に過失(管理体制の不備など)があった場合は、管理者に損害賠償責任が生じる可能性があります。
・不可抗力:予測不可能な大規模な自然災害(天災)の場合は、管理者・所有者ともに責任を免れることがあります。

6-3. お墓の保険
近年、自然災害によるお墓の被害に備えるための「お墓の保険」が登場しています。
地震、土砂崩れなどによる損壊・倒壊が補償の対象となることが多いです。
石材店と提携している保険会社もありますので、興味のある方は相談してみましょう。

〇 まとめ
墓じまい・改葬は、人生の大きな決断の一つです。
しかし、決して後ろ向きな選択ではありません。
むしろ、故人やご先祖様を大切に思う気持ちから、より良い供養の形を模索する前向きな行動と言えるでしょう。

この記事では、墓じまい・改葬に関する様々な情報を網羅的に解説しました。
しかし、個々のケースによって、必要な手続きや注意点は異なります。

「自分に合った墓じまい・改葬の方法を知りたい」「複雑な手続きを代行してほしい」「専門家のアドバイスが欲しい」

そんな方は、ぜひ当事務所にご相談ください。
行政書士は、法律と手続きの専門家です。
お客様の状況を詳しくお伺いし、最適な墓じまい・改葬プランをご提案いたします。

当事務所では、無料相談も実施しております。
まずはお気軽にお問い合わせください。

〇お問い合わせ
行政書士藤井等事務所
(1) お問い合わせフォーム
(2) 事務所ホームページ<墓じまいのページ>


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