3月末までの取組み④(3月4日現在)
今回は、自治体の滞納事案ですが既に他の自治体に転居している滞納事案についてお話ししましょう。このような滞納事案を管轄外滞納事案と呼ぶこととします。
ところで皆さんの自治体ではこの管轄外滞納事案についてどのような取組みをしていますか。中には全く対応をとっていない自治体もあると思います。なぜなら一般的には新規の滞納事案が発生しないということで、本気で取り組んでいるところが少ないように思います。
例えば、交通機関を使って1~2時間で往くことができるような管轄外の滞納事案であれば一度臨戸して見てはどうですか。この時期、花粉症で辛い人もいるかもしれませんが天気が良い日であればぜひ実施して見てください。管轄外の滞納事案の臨戸で滞納者と直接接触したときの反応は、忘れることができません。ほとんどの滞納者が「本当にここまで来たのか」といった表情で対応してくれました。突然現れた職員に対して、今後はキチンと納付しますというのが通常の滞納者です。
余談ですが、滞納者というのは中心部(都内であれば都心)から徐々に郊外に向けて転居します。県境の川を隔てた他の自治体に転居するともう安心と考えている節があります。
ただし、滞納金額の低い滞納事案を追求するのは費用対効果の観点でどうかと思いますので、少なくても皆さんの出張旅費を掛けるだけの滞納事案としてください。中には高額滞納事案であればまずは臨戸を実施してください。その上で、執行停止を検討しているのであれば捜索も視野に入れることも必要です。
最近は職員数が減少している関係で、この管轄外滞納事案を委託業務としてしている自治体も見受けられます。正直に申して裕福な自治体で予算が潤滑に設定されているのではと思います。場合によっては、職員数の減少と委託業務を予算の駆け引きにしている自治体があるのではないでしょうか。
小さな自治体では職員数の減少にも限界がある、また予算を設定するほど余裕はないという自治体では、職員一人で対応するのではなく組織として取組むことも必要です。以前在職していた事務所の担当課長は車で他の自治体まで何人も一度に職員を運んだ上で解散して職員に臨戸させていました。このようなときには必ず差置き文書を事前に準備して、不在時に備えた準備をすることも大切なことです。
取組みしない理由ではなく、実施して見た上でこの取組みが効果があったのかどうか振り返ることが得策です。実施することでいろいろなノウハウが発見できればそれも滞納整理の向上につながっていくと思います。