4/1付異動対象者に対して(2月26日現在)
前回は4月1日付異動対象者の人で、現年課税分の取組みについてお話ししました。今回は滞納繰越分について説明します。
取組みについては、2つの方法があります。一つは滞納事案を高額のものを上位として金額順にリスト化することです。効率的に処理できるメリットがあります。もう一つは滞納発生の年度毎にリスト化する方法です。この方法により一般時効の滞納事案を処理することができます。
最初の高額事案の定義ですが、80:20の法則(パレートの法則)では高額順に滞納事案を上から並べたとすると、上位2割の滞納事案で金額の8割を占めることになります。各自治体で取り組むのであれば、まず上位2割をターゲットに取組むというのはどうでしょうか。滞納事案の数が多くて手が回らないという自治体や職員の方がいますが上位2割の件数を処理目標にするのであればそんなに難しいことはありません。リスト化した事案を納付済み、納付予定、滞納処分、不明と分けた上で進めてください。
さらに不明の滞納事案について、財産も行方も不明であれば既存の住所を捜索する方法もあります。捜索しても財産も何も判明しなければ積極的に執行停止処分を図ることだと思います。いつまでも不良債権を抱えていることは自治体にとっても良いことではありません。さらには担当者にとっても負担だけでプラスになることはないのです。
自治体の中には執行停止をしないところもあります。これは自治体というよりは上司の滞納処分についての考え方です。まるで執行停止処分をすることは「敗北だ」と言わんばかりの人もいます。そういうところは不良債権が処理されず職員の人は悪戦苦闘しているのが実態です。地方税法の規定にあるのですからむしろ適切に利用することで不良債権処理を促進することが重要だと考えます。高額の滞納事案であれば必ず捜索を実施した上で、執行停止処分をするといったルールを設定することも大切です。
もう一つの滞納発生の年度毎リストです。これは一度担当者毎に作成されてはどうですか。一番古い年度の滞納事案は何年度のものなのか認識することです。令和の時代に入っているにも関わらず平成の一けた台の滞納事案はないですか。なければ平成10年代のものさらには20年代のものとターゲットを絞って方針を作成することです。また古い滞納事案の中には以前滞納処分をしたがその後放置されて手付かずというのもあると思います。不動産の差押処分だけ処理されているがその後の滞納発生分の処理がされていないというケースもあります。不動産の参加差押処分も並行してチェックする必要があります。
今預かっている滞納事案を改めてチェックすることで次の担当者の負担を少なくなることを考えていただきたい。