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[#64] Difyを活用しAI導入を成功させるポイント
企業がAIを導入して成功を収めるためには、いくつかの重要なステップとポイントがあると思います。これらを実践することで、効果的にAIを業務に組み込み、成果を上げることができます。私が本格的にAI開発にのめり込んだのは2023年4月、始めた頃はPythonとOpenAI を使った複雑なコード開発と環境構築との格闘でした、2024年春LLMを自由に扱えるDifyに出会い、98年にLinuxに出会った時以来の衝撃でした、以下に、私が約1年間Difyを活用し実務で実践した具体的な方法を紹介します。
課題設定
まずAIを導入する前に、どの業務でどの問題を解決したいのかを具体的に定義しましょう。漠然とした目標ではなく、具体的な課題を明確にすることが重要です、私の職場では以下のケースが日常化していました。
顧客からの他種多様な問い合わせ対応が多い → プリザンターで過去の問い合わせをデータ化、Difyにナレッジとして登録、DifyでRAGを構築してサポート業務を効率化しました。
ホームページに問い合わせが多い→ DifyでAIアシスタントを構築してホームページに組み込み問い合わせ業務を効率化しました。
お客さんからの質問→ 例えば「注文した商品はいつ届きますか?」を自然言語で理解して、システム内の情報(在庫状況や配送状況)を調べる、結果をもとに回答を返す。 LLMとPython とSqliteを使った仕組みを構築。
議事録作成→ 会議の音声から要約の議事録を作成しました。
情報収集→ Webサイトを巡回して必要なデータを集めてNotionにデータを格納する、集めたデータを今度はナレッジとして使う。
労務問い合わせ→ Difyで構築してWebやSlackに問い合わせ結果を送るなど。
課題を明確にすることで、導入後の効果が測定しやすくなり、結果を分析する際に活用しやすくなります、今回の事例の様な課題はどこの職場でもあるのではないでしょうか。
スモールスタートとアジャイル運用
AIの導入は、全社規模で一度に行うのではなく、まずは小規模なプロジェクトで試すことが重要です。小さな成功体験を積むことで、社員の信頼、上層部の理解を得て、AIの活用範囲を拡大することができます。
・まずは一部門や特定のプロセス(例えば、カスタマーサポートやデータ分析など)で導入を試み、効果を測定
・導入後、フィードバックを集めて改善点を洗い出し、次のステップに進む
・成功した部分を他の部門に展開し、徐々に運用範囲を広げる
この方法により、大規模な失敗を防ぎ、学びながら進めることができます。
運用面の体制づくり
AIはただ導入するだけでは効果が上がりません。社員が使いこなせるようにサポート体制を整えることが成功の鍵です。特に、AIが業務に組み込まれる過程で「教育」や「サポート」が欠かせません。
ガイドブックやマニュアルの作成:AIシステムの使用方法やトラブルシューティングについて、社員が簡単に参照できる資料を準備(プリザンターで構築)
定期的な研修:AIに対する理解を深め、社員がシステムを積極的に活用できるようにするための研修を実施
サポート体制の構築:AIの運用に関して質問があった場合に迅速に対応できるよう、サポートデスクを設ける
これらのサポート体制を整えることで、社員の抵抗を減らし、AIの活用率を高めることができます。
継続的なアップデート
AIは導入後も定期的に学習し、精度を向上させる必要があります。AIを長期間有効活用するためには、運用後のチューニングやデータの更新が不可欠です。
データ更新の仕組み:AIが使用するデータセットは定期的に更新し、過去のデータだけでなく、最新の情報を取り込む(DifyのAPIを使う)
フィードバックループの確立:AIの運用結果に対するフィードバックを集め、そのデータを使ってシステムの精度向上に役立てる(Difyの監視ログ、コンソール)
継続的な開発・改良:新しい技術やアルゴリズムを取り入れ、AIの性能向上を目指す
例えば、カスタマーサポートAIであれば、顧客の問い合わせ内容が変化するので、それに合わせて学習データを更新し、より精度の高い対応ができるようにします。DifyではAPIが準備されているので簡単に更新できます。
まとめ
これまでAIアプリの開発には、PythonやJavascriptなどのプログラミング言語のスキルが必要でした。プログラミングができても、設計から実装まで膨大な時間がかかっていました。でも、Difyがあれば、あなたのアイデアをすぐさまAIアプリとして具現化できるのです。
AIスキルはもはや「未来のスキル」ではなく、今すぐ必要なスキルです。これからの時代、AIを自由に使いこなす能力が求められます。特に、LLM(大規模言語モデル)を活用できることは、競争優位を築く上での重要なポイントです。
導入を成功させるためには、明確な課題の設定、スモールタスクから試して成功体験を積むことが重要です。
AIのスキルは今後必須となるため、小さな取り組みから始めてブレーク時に備える事が大事です、LLMを自由に扱えるDifyなどの活用を検討してみてください。
AIはあくまでも我々を助けてくれる道具、使いこなすための「考える力、対話力、感性」を磨くこと。
生成AIを活用したアプリケーション開発には、十人十色の課題があり、ユースケースはほぼ無限です。必要なのは「アイデアをどう実現するか」という視点だけです。最後に私の今までの経験から、AIアプリ開発においても派手な機能や成果を追い求める必要はありません。まずは小さな成功体験を積み重ね、それを地道に活かしていくことが、最終的な成功への道になると信じています。