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彼女とどんな人生を過ごしたいか?

新しく、生徒さんになってくれるKさん。中学2年生の女子です。
私は彼女と、どんな人生を過ごしたいか?
どんな関わり方で彼女とこの先ずっと付き合っていきたいか?

Kさんは漫画を描くのがとても好きで、彼女が創り出したキャラクターは皆カラフルで、一人ひとりに独特な性格やくせ、人生が横たわっている。

放課後等デイサービスで初めて彼女に出会った日のことは、おそらくこの先、忘れないと思う。
その日、放デイの先生方は、よかったら使ってくださいと、私に問題集を渡してくださった。しかし、私は彼女と出会った瞬間に、問題集を完全に脇に追いやった。

彼女との時間を問題集に使いたくなかったのだ。
今日、私は彼女と何をすべきか?何がしたいのか?
彼女は何を求めているのだろう・・・?

私が彼女と会う目的が、学力の把握であれば、単元ごとの問題集はあまり意味がない。彼女の英語力の全体感を把握することができないからだ。
そして、彼女の学力を把握しようと思った場合、私は彼女に即席で問題を作って解いてもらい、少しずつ問題のレベル感を上げながら、大体ここまではOK、ここは混乱している、ここは頭に入っていない段階、などのアセスメントを行うことになるのだが、それも今日は何か違う。

だって今日、土曜日だし(笑)
彼女にとってはお休みの日だもんね。
1週間、学校を頑張ってきた週末だもん。お疲れ様✨

そんな理由で、私は彼女と絵を描いた。
好きなことが明確にあるって素晴らしい。

Kさん「先生、この絵に英語をつけたいので、教えてくれますか?」

おお〜✨
私が英語を教えなきゃいけない立場だから、彼女は気を遣ってくれたのかな?ご両親に、英語の勉強してきなさいって言われたから、何か英語に繋げなきゃと考えているのかな?

私:「それじゃ、まず漫画を完成させよ♪ 好きなだけ描いて!私、それが見たいわ。」

彼女は集中して漫画を描き続け、私にはその状態が、大人も手にしたい「フロー状態」であると感じた。最も生産性が高く、脳が活性化している、いわゆる「ゾーンに入る」というやつだ。私は現在MBAをしているが、この状態に自分を入れ込むのには苦労する。羨ましいぞ!笑
私も漫画を描くのが好きな小学生だったので、その気持ちはとてもよくわかる。

実際、彼女のキャラクターたちには、大食い娘がいたり、兄や妹がいたり、きつい性格の子がいたりと、彩り溢れていて、紹介を聞いているだけでこちらまでワクワクする。彼女の世界が詰まった裏紙になった。(裏紙でごめん!笑)

私:「この子の名前は何ていうの?」
Kさん:「カインです。」
私:「それって、Kain?それとも、Caine?この「K」と「C」で発音は〇〇とXXな感じで違うものになるんだけど、どっちがしっくりくる?」
Kさん:「う〜ん 、Kainかな。」
私:「いいね!じゃぁ、それで行こう!」

ついに、漫画が完成。ふむふむ、ツッコミが入っていたり、仲間との関係性やシチュエーションが伝わってくるストーリーだな。

Kさん:「先生、この子たちが言っている言葉を英語にしたい。」
私:「いいね!やろやろ〜♪」

日本語のセリフを英語に変換する。
英語に詳しい方は「?」となる翻訳が入っているかもしれないが、彼女がすでに習ってきたであろう文法と、現在学校で勉強中の「be going to~」を使って英語にする。最初なので、テストするような方法は取らず、すでに習っていても難しい文法は排除して、できるだけすでに学んでいるだろう単語を使い、とにかく楽しんでもらうことを第一にした。

そして最後に、せっかくなので現時点での学校英語の重要文法だけは覚えて帰ってもらおうと、キャラクターの一人である大食いのMaMiちゃんが、好きな甘いものを食べにいく設定で教えた

・前から食べにいく予定だったのか?(be going to:実現する可能性が高い)
・今食べにいくことに決めたのか?(will)

その流れで、ちょこっと、3人称単数の使い方を理解しているかもチェック。バッチリ書けてます!

好きなことを、味方にする。
これは、フロー状態に入れる興味関心ごとがないとできないことだ。彼女のフロー状態は、彼女が作品を生み出す過程で起こり、思い入れのある作品だからこそ、作品に関連した物事は記憶定着は加速されるだろうと推測している。

私は、英語の重要性を理解している。
彼女がこの先、英語を使うことになろうとならまいと、戦術の「形(基本)」を手に入れることは重要だ。
彼女の中に、英語の引き出しをたくさん作ってもらう。
そして、彼女が、本当に英語が必要になった時に、その「形」を引き出しから取り出し、使い、磨き、「武器」に昇華させてくれるだろう。

好きな作品を英語にしてこの世に出現させるワクワクは、どれほど興奮するだろう。だから、私は彼女の作品に、彼女の見方になってもらいたい。
彼女の作品たちに、彼女の未来に英語のパワーを授ける役を担ってもらおう。

日本語のセリフを単純に英語化してしまうと、英語の勉強としては、あちこちから全く違う文法が飛び出し、点と点が繋がりにくくなる。私とのレッスンは週に1回しかないし、学校の教科書と絡めるのが一番良いのではと現時点では感じている。課題は、教科書に出てくる熟語や単語になるのだが、その辺りは彼女と話し合いながら、そして私も様子を見ながら進めよう。

彼女は、どうなりたいのか?
彼女は、どんなレッスンを受けたいのか?

学びの目的を、彼女と話し合おう。

例えば、学校の授業時間が30分あったとする。

・寝てもいい。
・ボ〜っとしてもいい。
・動画を見てもいい。
・学んでもいい。

こういった時間の積み重ねが、人生を創るのだ。
その30分がいくつもいくつも重なって、1年となり、5年となる。
その人が選んだ行動が積み重なり、その人の能力を創る
この時間をどう使うかは本人次第だ。

今日、何を学びたいか?
今日、この30分が終わった後に、何ができるようになっていたいか?

私が彼女と行うレッスンは30分。30分って本当に短い。
それでもまずは30分のレッスンを彼女としよう。
そして、少しずつ、話をしよう。

「30分後にどんな自分になりたいか?」
短期的な目標と、長期的な目標設定

学ぶ本人が、何を学びたいかを自らが考え(どんな学びの選択肢があるかを認識する必要があるし、それをどう体系だてるのかもハードルがある。)、カリキュラムを組めるようにまでなれるかな?
限られた時間内で、彼女のクリエイティビティとその達成欲を満たし、かつそれを英語の学びに繋げられるかは、私にとっても挑戦だ。

2人で失敗しまくろう。
失敗にしか道がない。

学びの未来地図を二人で描けるようになりたい。
そして、2度とない彼女との今を楽しもう。



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