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庭から始まる食糧自給率アップ

畳3畳ほどの庭の菜園でナス、トマト、キュウリ、インゲン、エダマメを栽培している。夏の強い日差しで成長が早く、毎日少しずつではあるが収穫できる。今年はトマトが良い。朝食に自分の畑でとれたミニトマトを添えると、すごく幸せな気持ちになる。あなたにとって平和は何? と聞かれたら自分で栽培した野菜で食事することと答える。

食糧危機が言われている。円安で輸入価格が上昇したことにくわえ、ロシアによるウクライナ侵略戦争で小麦などの輸出が止まっているそうで、食品価格はどんどん上がっている。参議院選挙では物価対策が大きな争点になり、危機のときは、とりあえずは今の与党に任せようという有権者心理が働いたのか、自民党が勝利したが、食糧自給対策を本気で考えないと、国民は冗談でなく飢えを経験するかもしれない。岸田政権にこの危機が乗り切れるだろうか。

食糧危機を解消するには、自給率を高めるしかない。私は、耕作放棄地を国が没収して希望する国民に無償で貸し出し、農業を義務付けることを提案したい。広い農地でなく、市民農園のような気軽に農業体験できる土地を貸すのである。

ドイツにはクラインガルテンという市民農園が大都市ベルリンの街中にも点在していた。第一次大戦後に飢える子を救うために始まった運動だそうだが、いまや市民のリフレッシュ空間になっている。ソ連が崩壊したとき、国民が飢えずにすんだのは、社会主義の政策により国民にはダーチャという小屋付き農地が貸し出されており、自給自足で乗り切ったという話を聞いたことがある。

日本の土地は肥沃である。最近は気温上昇が問題になっているが、植物にとってはこのくらいの高温がいいのかもしれない。我が家では日差しを遮るグリーンカーテン用にヘチマも栽培しているが、すごい生長スピードである。
私のような素人でも作物が簡単に収穫できるのだから、多くの国民は土地さえあれば自給自足の真似事はできる。

多くの人が自分の食べる野菜は自家栽培するようになれば、食糧自給率は一気に上がるだろう。子どもと一緒に自分の「農園」で休日を過ごし、収穫した野菜で食事を楽しむ。なんと贅沢な時間ではないか。お金もかからない。それで耕作放棄地が解消できれば一石二鳥だろう。

息苦しく貧しい都会暮らしをやめて、地方へ移住する人たちが増えるかもしれない。いや、増えるように政策をきちんと立てなければならない。岸田首相が言っている「デジタル田園都市国家構想」とやらは、地に足がついていないように感じる。

食糧自給率を上げるために都会から若者を地方に移住させる。そのためには地方がいいねという価値を持たせ、若者が行きたがるような地域を作らねばならない。「地方で楽しく自給自足しよう」なんて、最近のアウトドア志向にもマッチするし、人気政策になるのではないか。ついでに今や獣害の象徴になっているイノシシは貴重なタンパク資源として猟をすれば、これまた都会にはない地方の価値になるではないか。

エネルギー自給にも取り組みたい。ロシアから天然ガスや石炭の輸入が途絶えて電気代が高騰している。食糧と並び日本の危機である。

地方に移住して農業を少しずつ始めた人たちが、自分の用水路を利用して小さな水力発電をする。畑に太陽光のパネルを取り付ける。自然破壊の被害がないようなところに風力発電を立てる。温泉地では地熱発電に挑戦する。大きな電力会社がやるのではなく、極端に言えば市民一人一人、あるいは市民の共同体が小さな発電所を作っていく。地域ごとにエネルギーを自給していく。

そうすれば巨大な発電所はいらないし、原発など必要なくなる。巨大な発電所や原発は僻地に造られるので、都会へ長い距離を送電線で運ばれる。そのロスは大きいし、送電線を立てる費用やそれを維持する費用はバカにならない。身近なところで電気をつくって住民が使うようにすれば、それだけ経費が浮くわけだ。

電力会社など巨大な独占企業はいらなくなるし、雇用問題も出てくるけれど、地方に小さな電力会社が無数にできれば新しい働き場所になる。何より地域で生活できる。エネルギーと食糧を自分でつくっているから安定した暮らしができる。

新聞を読んでいたら、いまはやりの出前運搬の若者が夜まで必死に働いて年収は200万円。結婚もできない、子どもも持てない、毎日くたくた、デートする気力もないとこぼしていた。こういう社会は間違っている。日本の未来は政治を変えないと、本当に危うい。

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