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作品4 『淋しい別荘』1909



上記  映画史の特設ページです。
3-3 「ハリウッドの父」D・W・グリフィス(1875-1948)
でこの作品を紹介してます。

13分程の映画。主人の留守中にブルジョア家族の家に強盗が押し入って最後に救出される単純な物語だが、グリフィスはより洗練されたクロスカッティングで視覚的にスリリングな場面を作り出した。

日本では『淋しい別荘』で浸透してますが、これは誤訳で正しい意味は『郊外の邸宅』みたいな意味になります。

①海賊版防止のロゴ
画面中央下の柱にマークみたいなものがある。これはアメリカンバイオグラフ社のロゴです。この時代の映画は偽物も流通するので、海賊版防止のために舞台装置の中に自分の会社のロゴを入れたりします。

中央の柱の根本にロゴマーク

②スター女優 メアリー・ピックフォード(1892-1979)
当時15歳の女優のピックフォードは後にアメリカの大スターになる。4章で説明しますが、アメリカでスターシステムが誕生する最初の中心人物。

サイレント映画時代の大スター


③洗練されたクロスカッティング
電話で助けを求める妻とそれを受けて自宅に救出に向かう夫の場面が交互に描かれる。夫が救出しようと家に向かう場面は、さまざまなショットのサイズや多様なアクションで構成され、それが母子と強盗のショットに挿入されることでいっそうサスペンスを生み出しているのだ。

ちなみにエドウィン・S・ポーター『大列車強盗』1903から6年経過して、書割りみたいな舞台からより立体的な舞台へと変化してることがわかる

電話を軸に交互にカットが移る
緊迫した音楽とクロスカッティングを繰り返す


④ラスト・ミニッツ・レスキュー

エドウィン・S・ポーター『アメリカ消防夫の生活』(1903年)でも用いらているが、最後の数分の救出する(ラスト・ミニッツ・レスキュー)を好んで使います。

間一髪で助かる


1910年頃から映画の文法は飛躍的な発展が起きる。さまざまなサイズやフレーミングのショットが連続的にダイナミックな映画的空間を構成し、一のシーンが形づくられるようになってきたのだ。


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