皇妃エリザベートの詩

(初出「痩せ姫の光と影」2011年1月)

痩身美にこだわり、のめりこむことで、賞賛され、同時に孤独を味わった、皇妃エリザベート。先日の番組では、彼女のこんな詩が紹介されていた。

「私は カモメ どこかの陸地から 来たものでもなく どの浜辺にも 私の故郷はない いかなる土地への絆もなく ただ 波から波へと 私は飛び続ける」

よく言われるように、彼女が史上最初の摂食障害の有名人なのかは、はっきりと断定できないけど、この詩に漂う喪失感は、摂食障害の痩せ姫が持つ特徴的な心性に通じるものだと思う。「飛び続ける」力を信じられた分、彼女は幸せだった気もするけど。
ちなみに、彼女が中年となり、美への自信を失いつつある時期、カメラが急速に進歩して、今でいうパパラッチが出現。彼女は史上最初の、パパラッチの被害者になったという。国や追いかけられる状況は違うものの、百年後の痩せ姫・ダイアナ妃の姿と、少し重なるようでもある。

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この記事には当時、こんなコメントも寄せられた。

王室きっての美貌と言われた彼女も、手足の太さや鼻の格好、歯列などを気にしていたようですね… どれだけ国民からの税金を美容の為に費やしても老いからは逃れられず、晩年はベールや扇で顔を隠すようになり、刺殺という思いがけない最期を迎えた彼女の生涯の悲しみが、その詩からよく感じとれました。"故郷がない"という表現から、当時のヨーロッパ王室には結婚の際に国境を越えるにあたり、今後極力自国への郷愁がわかないように、と祖国の持ち物をそのとき身につけている服から下着に至るまで何もかも、手放す当時の慣習が思い浮かびました。

エリザベートに心を寄せる人は少なくない。記事を書くことで、そういう人からコメントが来て、交流できるのもブログのよさだし、その交流が「痩せ姫本」にもつながっていったことを、改めて実感させられる。

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