何処までもやせたくて(14)骨との再会


「まだダイエットしてるの?
骨が出てきちゃってるじゃない、胸とか、腰とか」

スポーツクラブで、また、やせすぎを指摘された。

前に、私のことを「ガリガリ」って言ったオバサン。
会うたびに言われてる気もするけど、正直、めんどくさい。
心配してくれてるにしても、ありがた迷惑だし、
もしかしたら、嫉妬なのかもしれないし。

でも、そのときはピクッと反応してしまった。

そして、即チェック。
本当に、骨が出てきてるかどうか、
鏡を見たり、自分で体を触ってみたり。
鏡を見た感じでは、そうでもない気がしたけど、
触ってみると、たしかに少し出てきてるのがわかる。

これは正直、嬉しい!!

三月に二度目のダイエットを始めてから、骨と再会することが、
ひとつの夢であり、目標だったから。

変に思われるかもしれないけど、私は自分の骨が好き。
肋骨とか、腰骨とか、くっきりしてくればくるほど、
やせたことを実感できるし、安心できる。

そう、骨はダイエットの成果を示すバロメーターであり、
精神安定剤のようなものなのだ。

二年前、ダイエットしたときも、
それまで肉に埋もれてた骨が出てくるのが、嬉しくて嬉しくて。

夏休み明け、35キロ台になって登校したとき、
椅子に座るのがちょっと痛くて驚いたけど、それすらも嬉しかった。
友達に肩や背中を触られ、
「骨だけじゃん、大丈夫?」
なんて言われるのも、自分が特別な存在になれたみたいで、
そこまで頑張れてる自分が、少し誇らしかった。

服を着たときの、鎖骨や腰骨にひっかかってる感触も懐かしいな。

だけど、その後の入院で、無理やり太らされた私。
大好きな骨が、どんどん肉に埋もれていくのが、悲しくて悲しくて。
いっそ、鏡を壊したり、ナイフで肉を削れたら、とさえ思った。

そして、もう、二度と会えないのかなぁ、って。

あれから一年半、また会えたんだね。

でも、まだまだ満足できるレベルではない。
35キロ台までは、あと3キロ近くあるし、
最近は、それでも足りなくて、
32キロぐらいにならなきゃいけない気がしてきている。

そのためには、脂肪はもちろんだけど、筋肉だってそんなに欲しくはない。
骨を見たり、触ったりするのに、邪魔になるから。
さすがに「骨と皮」だけになるのはよくないとしても、
それに近い体が、理想だから。

もう一度、骨を確かめたくて、裸になり、鏡の前に立ってみた。

やっぱり、ダメだ。
この程度で、喜んでちゃいけない。
アバラとか、骨盤とか、形が全部わかるくらいじゃないと。
落とせる肉は、全部落としてしまわないと。

じつは、ダイエットのモチベーションを高めてくれるイベント(?)も、
二日後に控えていて・・・
のんびりしては、いられない。

骨との再会は、ほんの兆しにすぎない段階。
本当に出会えるまで、もっともっと頑張らなくちゃ。


#小説 #痩せ姫 #拒食 #ダイエット



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