私にしか穿けないジーンズを~かすみ嬢の居場所(5)


 受験勉強の気分転換を兼ねて、本屋さんに行った帰り、ふくらはぎの幅が、履いているブーツの半分くらいの子を見た。幅で半分だから、断面積(なんて言い方はおかしいけれど)にしたら、4分の1くらいかしら。ぶっかぶかのブーツを履いてると、か細さが際立って綺麗。膝の骨がぷかっと出てたからなおのことね。

 でも、こんな真冬の、雪でも降るんじゃないかって日に、寒くなかったか、お尻が痛くならなかったか心配もしてしまう。

 彼女は服のサイズも合ってないみたいで。本物の痩せ姫さんはたとえ可愛らしい子供服でもぶかぶかだから、見るたびにドキドキする。だけど、靴とかどうしてるのかな。体重と足の大きさに相関性はないものかしら。

 じつは私、足が小さいんです。子供用の売り場にしかサイズがないくらい。スニーカーなんかは買えるけど、パンプスとか、ローファーでも綺麗めのはあまりないし、仕方ないから少し大きい靴を買うんだけど、靴擦れがすぐにできちゃったり、何より走ったりしたらすぐ脱げちゃうんだよね。フォーマルな式とかではいつも、靴が場にそぐわないかとか脱げないかなど、気にしながら参加してる。

 この足の小ささと、身体の幅というか厚みが相関してくれていたらよかったのに。

 そんなことを考えたせいか、いつにもまして脚の太さが気になって、帰宅後、あのジーンズを穿いてみた。どれだけ痩せたか確認するために、もしくは不本意だけど太ったときには自分に喝を入れるために、使っているやや細身のジーンズ。でも、それが知らぬ間に、妹に穿かれていました。太腿のあたりをつまんで、その幅を確認する用だったのに、妹の脚の筋肉に押し広げられてぶかぶかになっちゃってる。

 なんか、悔しい。何が悔しいって、標準体型の妹にも同じジーンズを穿けてしまうことが。だから今度は、無理矢理穿くのも難しいと思われるようなもっと細身のジーンズを買おう。私しか穿けないようなジーンズにしよう。

 ふと、さっき見た子のふくらはぎが脳内をよぎる。あれだけ細い脚なら、どんなに細身のジーンズだってぶかぶかになるはず。悔しいけど、いい勉強になりました。ダイエットも、日々、勉強だね。


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