戦国時代の自動操縦~大将の死去が戦の引き際~
「この歯車を回すと動く……かな」
じじじと小さな音を立てて動き始めた。
小さく拳を握りしめた。
地図をなぞり覚えさせた道を進む仕組みだ。
戦に出て何ヶ月だろうか。
野営で少ない松明の明かりで少しずつカラクリを組み立てた。
元々、カラクリ職人を目指していたが、戦の召集がかかり、師匠の元を離れることになった。
若くて器用なのを買われていたのに、戦に駆り出されることになるとは。
いつ死んでもいいように、作品を残したい。
戦が早く終わるように。
死ななくていいように。
甲高い笛の音にさっと血の気が引いた。
「敵襲!」
ぼろほろの刀を手に震える。
地面に転がったカラクリにつけた刀の刃先がきらりと光る。
生唾を飲み込み、歯車を回す。
地図で覚えさせた道を進む。
暗闇で誰も気づいていない。
少しして背中からざわつきが大きくなっていく。
「この戦始めた大将が死んだぜ」
「撤退だー!」
副将の声が響いた。
逃げる時に見た大将の足元にはカラクリが転がっていた。
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