くつ底に隠されたストーリー
お休みの日晴れていると、くつを洗いたくなる。
履き始めてもうすぐ3年を迎える真っ白なジャックパーセル。
大切に履いているくつだ。
私が定期的に洗って大切にするようになったくつはこのジャックパーセルが初めてだった。
当時の私が初めて購入した少しイイくつだったからだ。
大学生だった私は、アルバイト代のほとんどが語学研修や長期海外旅行、車校のための貯金に消え、くつや服にお金をかけれなかった。
残ったお金では1,000円代や2,000円代の安い服やくつしか買えず、安くてかわいいものを探すことで満足していたのだった。
しかし1,000円代や2,000円代のくつは値段相応の質であり、1年やそこらでボロボロに。足も痛くなった。
もう少しイイくつを買わないと足がもたないと思った私が当時がんばって買った少しイイくつ。
それが先述のジャックパーセルだったのだ。
ジャックパーセルといえば、つま先の青いにこちゃんマークがチャームポイントのスニーカーだ。
私が買ったのは白いにこちゃんがついたジャックパーセルで、偶然この年の限定デザインだった。
真っ白なスニーカーがほしかった私はすぐに気に入った。
底がふかふかしていて、1,000円代や2,000円代のくつとは全然違うなとびっくりしたことを覚えている。
今までだったら絶対に買わなかった値段のジャックパーセル。
がんばって買ったからこそ、とても大切に履いた。
ずっと履き続けたい。
そう思い、始めたのがくつ洗いだ。
真っ白だからこそ、汚れがつきやすかったので、くつ洗いはマストだったのだ。
ジャックパーセルは中敷のような形のクッション材を外すことができ、くつの中までブラシでシャカシャカと洗うことができた。
そのときに偶然見つけたのが、クッション材の下に隠された作り手の証だった。
クッション材に隠れていたくつの中には、靴底をかたどった赤い線や、なんの意味かはわからない印としてのアルファベット、一定の間隔で縦横交わる交差線、キャンバス地と靴底を縫い付けた縫い目があった。
たしかに作り手が作った証がそこにはあった。
誰かがこの生地に印を付け、綺麗にカットし、縫い付けて、1つのくつができあがり、私のところまでやってきたのか。
そんなストーリーを思い浮かべると、なんだか背筋がすっと伸びた。
そうか。大切にしなきゃ。
くつを洗うたびそう思った。
庭にしゃがんでブラシでシャカシャカするこの時間。
スニーカーが綺麗になるだけでなく、もっと大切にしようと思える時間。
それを味わうために私は定期的にくつを洗う。
特に今日みたいな天気のいい日には。
くつを洗った次の日の朝、いつもの道を私は歩いていた。
足下には少しばかり白くなったお気に入りのスニーカー。
いつもの道がぱっと明るく見えて、駅まで歩く道のりが楽しくなった。
今日のくつ洗いキット
「ジェイソンマークプレミアムキット」
コンバースのスニーカーが大好きなお友達がおすすめしていて、いつか買いたいなぁと思っているくつ洗いキット。
くつ洗い専用の洗剤、ブラシ。
ますますくつを大切にできそうですね。