旧司法試験 刑訴法 平成22年度 第2問
問 題
警察官は、Aを被害者とする殺人被疑事件につき、捜索差押許可状を得て、被疑者甲の居宅を捜索したところ、「①Aにレンタカーを借りさせる、②Aに睡眠薬を飲ませる、③Aを絞め殺す、④車で死体を運び、Ⅹ橋の下に穴を掘って埋める、⑤明日、決行」と記載された甲の手書きのメモを発見したので、これを差し押さえた。
その後の捜査の結果、Ⅹ橋の下の土中からAの絞殺死体が発見され、その死体から睡眠薬の成分が検出された。また、行方不明になる直前にAがレンタカーを借りたことも判明した。
甲が殺人罪及び死体遺棄罪で起訴された場合、上記メモを証拠として用いることができるか。
関連条文
刑訴法
320条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
伝聞証拠と証拠能力の制限
322条1項(2編 第一審 3章 公判 2節 争点及び証拠の整理手続):
被告人の供述書・供述録取書の証拠能力
刑法
190条(2編 罪 24章 礼拝所及び墳墓の罪):死体損壊等
199条(2編 罪 26章 殺人の罪):殺人
一言で何の問題か
犯行計画メモの証拠能力
つまづき、見落としポイント
複数の要証事実を自ら検討
答案の筋
本件メモにより証明すべき要証事実を、②殺意の存在とした場合は精神状態供述となり非伝聞となる。また、③犯人性とした場合も、記載内容と客観的事実には多くの一致があり、記載の存在自体から、関与していることが推認でき、記載内容の真実性は問題にならず非伝聞となる。最後に、殺害行為の存在(構成要件該当性)とした場合は、内容の真実性が問題となり伝聞証拠となるも、322条1項の伝聞例外にあたり証拠として用いることができる
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