認知症の人の転倒予防とチーム連携
引用・参考文献:武藤芳照・鈴木みずえ編著「認知症者の転倒予防とリスクマネジメント 第2版」日本医事新報社
認知症の人の転倒予防について、転倒者の特徴をチーム員で5日間検討したところ、その後の転倒率が低下し、高い予防効果を示しており、チームで転倒予防に取り組むことがリスクマネジメントにつながることが明らかになっている。
〇転倒予防のための組織的対策
転倒予防体制の整備、環境調整、スタッフへの転倒予防教育が重要である。
転倒予防体制の整備:リスクアセスメント、介入の立案、予防の実践、情報共有、ヒアリアット・自己の分析・見直し
環境調整:患者の生活環境の見直し
スタッフへの転倒予防教育:実践力向上、動機を引き出す、困ったときのコンサルテーション
〇チーム員の役割
医師:疾患や認知機能にかかわる診療・治療
看護師:BPSDのアセスメント、トリガーの除去、起立性低血圧等のアセスメント・ケア、移動・生活動作の支援、心理・スピリチュアルケア
PT:移動能力、高次脳機能障害のアセスメント、PT
OT:ADLや生活環境のアセスメント、OT、環境調整
ST:言語にかかわる能力のアセスメント、ST
薬剤師:転倒リスクを高める薬剤に服用等の点検、医師への情報提供
栄養士:嚥下障害のある人への食事形態の工夫
〇転倒予防連携にかかわる全職種の共通理解を必要とする概念
共通の目標設定
効果的コミュニケーション:連携を円滑にできる
専門職の役割と責任の明確化:重複を減らしつなぎのある連携をめざす
協働についての共通理解:互いの対等性を認め合う
効果的チームワーク:互いに肯定しあえる関係を保つ
行動計画の調整:目標にむけて多職種が一致してアプローチできる調整をする