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「作業行動研究」という雑誌で認知症を扱った論文(事例報告のみ,アブストラクトあり)のリスト

1. 慢性疼痛を持つ認知症者の生活への動機づけに着目した事例 人間作業モデルと認知神経リハビリテーションモデルを用いた作業療法
Author:渡部 雄太(高陽会介護老人保健施設さくらの丘), 井口 知也, 山田 孝
Source:作業行動研究(0919-5300)23巻3-4号 Page100-108(2020.03)
論文種類:原著論文/症例報告
シソーラス用語:*運動療法; *作業療法; *認知症(合併症,診断,リハビリテーション); *動機付け; 日常生活活動; 社会的役割; 抑うつ(合併症,診断,リハビリテーション); 園芸; *慢性疼痛(合併症,リハビリテーション); 神経学的リハビリテーション; 長谷川式簡易知能評価スケール
医中誌フリーキーワード:機能的自立度評価法; 自己評価式抑うつ尺度; *認知運動療法
チェックタグ:ヒト; 高齢者(80~); 女
Abstract:慢性疼痛の発症からひ孫との作業の共有ができなくなった認知症高齢者に、人間作業モデル(MOHO)と認知神経リハビリテーション(CTA)の2つのモデルを用いた作業療法(OT)を実施した。MOHOでは、ひ孫と作業の共有ができなくなったことがうつ症状を併発させ、Aさんの作業参加と慢性疼痛の治療を困難にしていると考えて、生活再建の動機づけとなる庭の手入れをOTで実施した。結果、慢性の痛みはあるが、庭の手入れをすることでうつ症状が改善した。MOHOは作業適応障害の全体論の解釈はできるが、運動能力を直接的に改善するアプローチは持たない。運動能力の改善をCTAで補完したことで慢性疼痛が改善し、自宅で疼痛の管理とひ孫との作業が共有できた。MOHOは、慢性疼痛を抱えながらも生活全体の作業の変化を促進することでうつ症状と慢性疼痛の情動的側面の変化に加えて日常生活活動と認知症の行動・心理症状の改善に寄与する可能性が高いと考えられた。また、作業適応障害の問題の中核がどの側面になるのかを見極め、その点で効果的な強い理論を選択することが重要であることもわかった。(著者抄録)

2. 作業に対する想いを共有したことで役割の獲得につながった事例 中等度認知症者にOSAIIを使用して
Author:渡部 雄太(高陽会介護老人保健施設さくらの丘), 井口 知也, 山田 孝
Source:作業行動研究(0919-5300)22巻1号 Page38-46(2018.06)
論文種類:原著論文/症例報告
シソーラス用語:*Alzheimer病(診断,治療,合併症); 行動症状(診断,治療,病因); *作業療法; 人間関係; 社会的役割; 精神症状(診断,治療,病因); 友人
医中誌フリーキーワード:行動心理学的症候(診断,治療,病因)
チェックタグ:ヒト; 高齢者(80~); 女
Abstract:認知症を持つ高齢者に、作業に関する自己評価改訂版を用いて、役割を果たすことを共有して支援を行ったことで、認知症の行動心理症状が改善した。この実践から、認知症者が役割を獲得できる作業療法戦略を検討した。結果、認知症高齢者の役割獲得には、内的期待と外的期待の両方が偏りなく機能し、役割の葛藤を生じさせないことが重要である。また、中等度の認知症があっても作業に関する自己評価改訂版を使用できる条件として、各項目が理解できる読み書きの能力が残存していること、質問にすみやかに回答できて矛盾が生じないこと、疲労感なく集中して取り組めること、他の評価法も併用して作業療法士と意味のある作業を共有できることという4つが挙げられた。そして、これらの条件を満たせば認知症者に対して作業に関する自己評価改訂版を使用しても、効果的な作業療法を促進できる可能性が高いと考えられた。(著者抄録)

3. 観察を主とした人間作業モデル評価法の活用により、馴染みのある作業への従事が行動・心理症状の軽減をもたらした認知症の事例
Author:廣野 新(農協共済中伊豆リハビリテーションセンターデイサービス伊東の丘きらめき), 鹿田 将隆, 篠原 和也, 野藤 弘幸
Source:作業行動研究(0919-5300)21巻3号 Page110-117(2017.12)
論文種類:原著論文/症例報告
シソーラス用語:*行動症状(治療,病因); *作業療法; *認知症(治療,合併症); 日常生活活動; *精神症状(治療,病因); デイサービス
医中誌フリーキーワード:*行動心理学的症候(治療,病因)
チェックタグ:ヒト; 高齢者(80~); 男
Abstract:通所介護を利用する認知症の男性、A氏の報告である。A氏は自分の能力にみあった興味がなく、作業参加が制限されており、不穏や徘徊が見られ、行動・心理症状が出現していた。そこで、人間作業モデルスクリーニングツールと意志質問紙を用いて、生活史を反映した作業従事を支援した。その結果、作業への動機づけを強め、役割の獲得、行動・心理症状の軽減につながった。また、通所介護のみならず自宅生活も好転した。通所サービスを利用する認知症高齢者の行動・心理症状に対して、人間作業モデルを用いた作業療法介入の有効性が示唆された。(著者抄録)

4. 介護老人保健施設での軽度認知症高齢者に対する人間作業モデルを用いた9ヵ月間の作業療法の効果
Author:篠原 和也(介護老人保健施設回生の里), 山田 孝
Source:作業行動研究(0919-5300)19巻1号 Page15-24(2015.06)
論文種類:原著論文/症例報告
シソーラス用語:行動症状(病因,リハビリテーション); *作業療法; *認知症(リハビリテーション,合併症,診断); 社会的役割; 精神症状(病因,リハビリテーション); チェックリスト; *介護老人保健施設; 長谷川式簡易知能評価スケール
医中誌フリーキーワード:行動心理学的症候(病因,リハビリテーション)
チェックタグ:ヒト; 高齢者(65~79); 女
Abstract:本研究は、認知機能や認知症の行動・心理症状の改善を目的に、介護老人保健施設に入所中の軽度認知症高齢者Aさんに、人間作業モデルに基づく作業療法を9ヵ月間行った効果を検討した。評価は改訂長谷川式簡易知能スケール、認知症行動障害尺度、人間作業モデルスクリーニングツール、認知症高齢者の絵カード評価法、役割チェックリストを、介入前、介入開始から3ヵ月後、および、9ヵ月後に実施した。Aさんが価値を置く編物を3ヵ月行い、再評価を実施した。その後、かご編みや編物を6ヵ月間行って、介入開始から9ヵ月後に再々評価を実施した。その結果、9ヵ月後の改訂長谷川式簡易知能スケールと認知症行動障害尺度の得点は大幅に改善し、人間作業モデルに基づく作業療法が認知機能や認知症の行動・心理症状の改善に効果があることが示された。(著者抄録)

5. 介護老人保健施設に入所中の認知症高齢者に対する人間作業モデルを用いた作業療法の3事例の報告
Author:二村 元気(首都大学東京 大学院人間健康科学研究科作業療法学系博士前期課程), 篠原 和也, 山田 孝
Source:作業行動研究(0919-5300)18巻4号 Page217-227(2015.03)
論文種類:原著論文/症例報告
シソーラス用語:*作業療法; 診療拒否(患者側); *認知症(診断,リハビリテーション); 動機付け; 目標; 社会的役割; *介護老人保健施設; 認知機能低下(診断,リハビリテーション); 患者重症度; 長谷川式簡易知能評価スケール
医中誌フリーキーワード:役割チェックリスト
チェックタグ:ヒト; 高齢者(65~79); 高齢者(80~); 女
Abstract:本研究は、認知機能や認知症の行動障害の改善を目的に、認知症高齢者3名への人間作業モデルに基づく作業療法(MOHO-OT)の効果を検証した。対象者は介護老人保健施設の入所者で、改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)の重症度平均得点を基に軽度、中等度、重度の認知症と判定された3名である。評価はHDS-R、認知症行動障害尺度、人間作業モデルスクリーニングツール、意志質問紙、コミュニケーションと交流技能評価、認知症高齢者の絵カード評価法、役割チェックリストを組み合わせ、介入前と介入後に実施した。軽度認知症のAさんには編物を、中等度認知症のBさんには折り紙や歩行練習を、重度認知症のCさんには書道や散歩などを行った結果、介入後のHDS-Rの得点は3名とも増加し、AさんとBさんは臥床時間の減少などに、Cさんは興味や能力の認識に変化が見られた。この事から、MOHO-OTは認知機能や行動障害の改善に効果があることが示唆された。(著者抄録)


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