全く似てない二人で冒険をしていたら、現地の人に「君たちは双子?」と聞かれた
●レアな経験「叩かれる」にやや感動
本屋の休みを取って、旅行の準備もいよいよ完了した私とラウラ。ついに、ヨルダン世界遺産ガールズツアー、出発の日だ。
前話:旅行計画編はこちら
出発の前夜、ラウラは早めに寝ていたが、私は服を考えたりカメラを充電したりネイルをしたり…で慌ただしく0時をまわり、準備が終わる頃には眠くて眠くてたまらなかった。明日五時に起きられるだろうか…
そんなことを考えてフラフラしながら歯を磨いていると、廊下でアリス(この旅行には行かない、フランス人スタッフ)とすれ違った。あれ、アリスがこんな遅い時間まで起きているなんて珍しすぎる。どうしたのかしら…。しかし気にせずに、私はついに寝た。
ちょっとウトウトしかけたと思ったら…。
バシ!バシ!バシ!!!
あれ…なんか私、めちゃくちゃ叩かれている…。
そう、五時になったが私が全く起きないので、「フウ!?フウ!?そろそろまずいって!本当に起きないとまずいって!」と、私のことを文字通り叩き起こしていた。
私はあまりに眠すぎて「お〜すごい!これは、文字通りに"叩かれて"いる!叩かれるなんて珍しい出来事ですなあ」とぼんやり考えることしかできず、なかなか起きられなかった。
しかし眠いながらも想像を働かせると、ラウラも最初は「揺すり起こす」程度だっただろうに、あまりにも私が起きないから最終手段で「叩き起こす」になったんだろう…と思うと申し訳なくなり、目を閉じたまま何とか立ち上がった。
早朝バスに乗り込む前、私たちには「ランチのサンドイッチを作る」という任務があった。遺跡ではあまり食べ物が売っていないらしいのだ。とにかく半目を開けてサンドイッチを作った。あまりに眠すぎて包丁を使うのが怖かった…。
そして本屋を出ようとすると、んん、ええ、なんだこれは!?
なんと、「ハビービーたち!いってらっしゃい!!」と書かれた、アリスのお手紙が残されていたのだ!なんという、、粋な計らい!!
昨日の夜中、アリスはきっとこれを描いてくれていたのだろう…。私の眠気は一瞬吹き飛び、この絵を旅行に携えることにして大切にリュックに入れた。
※ハビービーとは?という方はこちら
●遺跡に到着。「も、もしかして私たちっ…!?」
そしてもう、どうやって着いたのかは覚えていない…ということを考えるとラウラには大感謝しなければならないのだが、とにかく長距離バスで私たちは遺跡に到着した。
やっと遺跡に着いたら、入場チケットを買う場所まで向かった。
チケットはヨルダン人だと750円だが、われわれ外国人はその10倍近い8000円だ。
そして、ぷらぷらと遺跡チケットカウンターの辺りを歩きながら、ふと思ったことがあり、唐突にラウラに「ねえ…、ディズニーランドって行ったことある…?」と尋ねた。
するとラウラがバッとこちらを見て、「ちょっと待って!?今なんでその質問したの!?」と目を見開いてひどく動揺したので、私も釣られて慌てた。
もしかして私たち…
同じこと思ってる…ッッ!?!?
そう、この遺跡の入り口エリアって、な〜んか、な〜〜〜〜んか、ディズニーランドの入り口にめちゃくちゃ似ていた。
「あれ?なんかここ、"ディズニーランドみ"があるな。この子も同じこと思ってるかな?いやでも、今突然それを聞いたら変かな…」と、お互いが思っていたのだ。これはめちゃくちゃ面白かった。
なお、イタリアにディズニーランドは無いが、ラウラはフランスのディズニーランドに行ったことがあるとのことだった。
しかしよく考えてみたら「遺跡がディズニーランドに似ている」なんて、遺跡にとっては心外であろう。「こっちは何年前から存在してると思ってんだ」と、地球の古参である遺跡が機嫌を損ねてはたまらないので、すぐさま心の中で「いや、逆ですよね、わかります!ディズニー側が遺跡に似てるってことですよねー!」と訂正した。私は物分かりのいいところがある。
●着くまでの岩の道
チケットを購入すると、遺跡までの道を歩く。まるで、アメリカの観光地としてよくネットで見かける「アンテロープキャニヨン」の、超・巨大版のようなイメージだった。
遺跡の入り口から遺跡までは数キロ離れており、その道はひたすらに曲線と曲面によって成される広大な通路だった。通路というか岩の隙間をひたすらに練って歩くのはそれだけで楽しかった。それに、道が曲がりくねっているため、写真にあるように「先」が見通せず、「次カーブしたら遺跡が見えるかな!?」「あれ、次こそは!?」と、二人で楽しみながらくねくねと歩いた。
しばらく進むと…「わああああああ!」ついに、隙間から遺跡が見えた!!感動である。
「「うおおおおおおおお」」
私とラウラは、遺跡が見えたことというよりきっと、二人でなんとかここまで辿り着いたことが嬉しくって、文字通り手を取り合って喜んだ。
●遺跡に到着、見下ろせる崖へ
遺跡を見下ろせる崖まで登ると、現地の民族の皆さんが紅茶を振る舞ってくれた。「海外特有の押し売りか?!」と思いつつ、せっかくなのでありがたくいただくことに。いつものように甘すぎて飲めなかったので、民族の方に気づかれないようこっそりラウラにパスして全部飲んでもらった。
なお、おまけにフライドポテトも頂いたが、どこから持ってきたのかは謎に包まれているし、あまり考えない方がいいとされている。
帰り際に「いくら?」と聞くと、お金はいらないと言われて拍子抜けした。本当にただのおもてなしだったようだ。しかしこの大量の観光客みんなに紅茶を無料で毎日振る舞っているのだとしたら…。そりゃあ遺跡の水は枯渇し、雰囲気も砂っぽくなるよなと思う。
●ラクダに乗らせていただいてみた
遺跡に着いた記念に、ラクダに乗って写真を撮ってもらった。ラウラを誘ったが「ごめん、私はいいかな。ラクダが可哀想で..」と、乗ることはなかった。それを聞いて、1人でノリノリになっていた私は少し後ろめたく思っていると、「でも、あなたが乗る分には全然いいの、ほんとに!私のことは気にせず楽しんでね!」と気遣いのコメントを残し、その辺で売られているピアスを物色しにお土産コーナーに消えてしまった。
ラウラはベジタリアンなので動物を「食べない」ことは知っていたが「乗らない」でもあるんだなあ〜と、動物に対しての新たな優しい一面が見られたと同時に、私に対しても優しかった。
私は、「ラクダに乗っちゃうぞー!」という気持ちから「乗らせていただきます」という謙虚な心に切り替え、ラクダに乗らせていただいたのだった。
●遺跡を散策、呼び止められる
そして、遺跡の周辺をテクテクと散策していると、突然大きな声で呼び止められた。二人でキョロキョロしてみると、何の用があるんだか遺跡の壁によじ登っている現地の方?が、かなりの高さから私たちを見下ろしている。
「お〜い!君たち〜〜〜〜〜〜!!!」
「え?私たちかな?呼ばれてるのかな?」
「なんですか〜〜!」
すると、思いもよらなかったコメントが。
「君たち〜〜!双子かね〜〜〜〜!!??」
…ハイ?
私とラウラは、ギョッとして思わず顔を見合わせた。え!双子って、この私たちが…!?
唯一似ているといえば、身長ぐらいか。しかし、なんでいきなり双子か聞いてきたんだろう。壁に登るその手を止めて、聞くほどのことなのか…。
でも、なんだかそんなことは、どうでもよかった。似てないのは明らかすぎるけれど、「双子ですか」とわざわざ呼び止められたのは、なんだか私たちにとって、すごく気分がいいというか、嬉しいことだったのだ。
「えええ?双子だって!?私たち、そう見えるか!?笑」
「ね!?ほんと、変なの、ウフフフフ!!」
「「ウフフフフ!!!」」
そう言いながら、私たちは遺跡をスキップで散策した。なんだかとっても幸せな気分だ。
●次回、いよいよ遺跡を発つ…。
初めてのヒッチハイクで砂漠に行けるのか!?