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読み解きジャーナル 2020年9月23日号

「シャーロック・ホームズ」も読み解きの時代

黒井マダラ氏による2つの読み解きが発表されている。

もはや推理小説といえども構成読み解きから逃れることはできない、そういう時代になったのである。他のホームズ作品はどうか、他のミステリーはどうか、実はSF作品でも構成読み解きが可能ではないか、、、、

可能性は一気に広がる。既に児童文学は我々構成読み解き家の射程距離内にある。人手不足さえ解消されれば、構成読み解きの爆発的発展は約束されたようなものである。

ちなみに、「本当にワーグナーを参照したか」という疑念を持たれる方が居ると思うが、当時のイギリスの作家たちの内で、

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青色のジョージ・バーナード・ショウ(「ピグマリオン」、すなわち、オードリー・ヘップバーン主演の映画「マイ・フェア・レディー」の原作を書いた人)は非常に熱心なワーグナー崇拝者である。その名も「完全なるワーグナー主義者」という本を書いている。その中で「ニーベルングの指環の主題は社会問題である」と喝破しており、彼の情熱をもってすればコンラッド、ドイルが洗脳されてしまってもなんら不思議ではない。むしろワーグナーの影響を受けないと考えるほうが不自然と思える。

ではウェルズは?あるいはクリスティーは?あるいはルブランは? 広がる妄想が抑えがたい研究といえる。

「暗夜行路」完結

「暗夜行路」の読み解きが7話完結となった。筆者によれば「竜岡=謙作の父」と、「時任・登喜子の時間物語」の2点さえ抑えておけば、「暗夜行路」は十分鑑賞できるそうである。しかし戦前の作品にもかかわらず、今日までその2点を指摘した批評家は居ない。つまり今までまともに読まれていなかった作品なのである。筆者にその点を問いただしてみた。

編集子:「大変素晴らしい読み解きでして、つまりようやくこの名作を十分鑑賞できる環境が整ったということですね、いや素晴らしい、素晴らしい。この作品は私達日本人の重要な文化資源ですので、これから多くの人に暗夜行路の素晴らしさを味わっていただきたいとおもいますが、いかがでしょうか」

筆者:「たしかに俺は読み解いたが、今更多くの人が読む必要がある作品とも思わない。読む読まないは読者が自分で判断するがいいだろう。それより馴れ馴れしくされるのが不愉快だ」

筆者は悪い意味で志賀直哉のテイストに感染してしまったようである。拡散防止のためにインタビューを打ち切った。

編集後記

今号は記事が豊富にあった。編集子としては大変喜ばしい。構成読み解き家たちは大変寂しがり屋で、お友達がたくさん欲しいらしい。読者の皆様に是非ご参加いただきたいそうである。

前回のジャーナルはこちら。




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