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時系列倒置の研究 3・「ゴッドファーザーⅡ」
実は倒置は少なめ
作品の解説はこちらです。
前々回の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 は、
あからさまに本作の影響下です。本作の昔のニューヨーク
![](https://assets.st-note.com/img/1667117235055-h0vZzRDUzP.png?width=1200)
「ワンス」の昔のニューヨーク
![](https://assets.st-note.com/img/1667117260813-oW7n7c2xfW.png?width=1200)
本作の出来を基準にワンスが作られているのがよくわかります。日本人的にはだからどうなんだという感じですが、アメリカ人にはたいそう興味をそそられる絵なのかもしれません。
このシーリズは時系列倒置の研究なのですがこの作品は、時系列はあんまり倒置していません。
![](https://assets.st-note.com/img/1667117395745-c5DN9gxJlp.png)
を時系列通りに並べ直すと
![](https://assets.st-note.com/img/1667117417301-vnfo5AxNS5.png)
となります。元の表から中間過去を除くと、
![](https://assets.st-note.com/img/1667117488811-6VFasBUr1o.png)
過去と現在が交互に出現しているだけです。当初私は、時系列のグチャグチャした作品の形式を研究しようとはじめたのですが、ここにきてようやく、時系列グチャグチャと時系列倒置は少々違うことに気が付きました。手探りで進んでいて極めて効率悪いのですが、研究というのはこういうもんでして、グネグネするのが宿命なのです。
話戻して本作も時系列はグチャグチャです。でも倒置は非常に少ない。前回の「市民ケーン」もさのみ倒置はしていませんでした。時系列が乱れているからといって、倒置ものと単純に考えてはいけないようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1667117752975-ld6hPRXmPR.png)
本作は過去と現在が交互に出現します。この時間交互は、空間交互に置き換えることも可能です。実際本作でも、時間も違いますが空間も別の場所になっています。こういう物語技法もあるということですね。それと時系列倒置はまた別です。時間交互でもある程度時系列グチャグチャ感は出ます。でも本作の場合、
![](https://assets.st-note.com/img/1667117832164-oQAWb5v8fY.png)
過去も現在も、時系列倒置はしていない。交互に、しかしながら順序通りに並んでいます。倒置と言えるのはただ一点、中間過去の真珠湾奇襲の日のみです。中間過去が本作の最大の主張ですから、最も強調したい部分を倒置していると言えます。「ワンス」と同じく強調のための倒置です。一応倒置回数数えると6回になりまして、「ワンス」より少し少ないくらいなのですが、うち5回はただの時間交互です。
仮に
![](https://assets.st-note.com/img/1667117895758-PcUlc7ts0h.png)
という構成にしても、やはり映画の主張としてはかわりません。じゃあ交互構成にしたのはなぜなのか。私には過去と現在は、さほど上手く行っていない反復構成に思えます。反復構成、つまり過去と現在を対比させたい。それを強調したくて時間交互にした。
![](https://assets.st-note.com/img/1667117985141-wniIRPfUkO.png?width=1200)
と考えると、後継作品である「ワンス」の原案が反復構成だったと思えることと、整合します。
次回は「パルプ・フィクション」の予定です。