手もとに一冊の詩集がある。
入沢康夫さんの『死者たちの群がる風景 新装版』
河出書房新社 昭和58年2月25日発行
紙は周囲から黄ばんでいる。
人生で一度きり。初めての体験である死。
それをどう受け止めるか。
詩人は、故郷の風景と死者たちの言葉の中に、死が帰っていく場所をもとめた。
これらの詩を書き、ある会場でやさしくサインをしてくれた詩人も、すでにない。死者の一人となった。
「死者たちが、私の目を通して
湖の夕映えを眺めてゐる。
涙してゐる。」82頁
宍道湖に日が沈む。
photo/Keitaro Kitagaki
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