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【CDレポ】What's New /Bill Evans with Jeremy Steig

今月CDレポ2枚目は、名盤のこちら!!
私がはじめて聴いたジャズ系のCDだと思います。

"What's New"
Bill Evans with Jeremy Steig

フルート奏者のジェレミー・スタイグと、ジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスによる傑作共演盤と言われているCDで、演奏の録音自体は1969年に行われています。


中学生のとき、ありとあらゆるフルートの録音を聴き漁ることに夢中になっていた私。
当時はサブスクやYouTubeなんてありませんでしたので、CDは買うか借りるものでした。
ところが、ある日自宅のCDラックを漁っていたらフルートのCDがあるじゃん!!なんでやーー!もっと早く教えてよーー!!という感じで意気揚々とCDをプレイヤーにセットしたわけです。


そこで中学生のワタクシが受けた衝撃。


え…なにこのフルートの音…😰😰😰😰😰😰
(悪いほうの意味ですwww)

予め謝っておきましょう…全国のジェレミー・スタイグファンの皆様、以下はもうウン十年前のお話なので何卒何卒、ご容赦ください😂😂!!!


ジャズなんてこれっぽっちも知らない中坊のワタクシ。

このCDはですね…
フルートを始めたばかりのひとが、唇を強く締めすぎることによって起きる、ブスーーーーッとかピキョーーッとか、ツバがブブブッと飛んじゃうような時の音ばっかりなんです!!!

挙げ句の果てには、ちゃんとブックレットとかを読まずにいたので、ビル・エヴァンスのほうがフルート吹きだと勘違いする始末…😇笑

お世辞にも当時の私には上手いとは思えず、なんじゃこのCDは!!となってしまって、以後長らく敬遠しておりました。


ご存知ない方のために紹介しておきますと、
ビル・エヴァンスBill Evansは1929年アメリカ生まれのピアニスト。ジャズ好きな人ならば知らない方はいないでしょう。。1980年に51歳で亡くなっていて、音楽活動をしていたのは大体30年くらいと短いのですが、その間にグラミー賞に殿堂入りしてしまうほどの凄い方です。

ジェレミー・スタイグJeremy Steigは1942年アメリカ生まれ、後に日本人の奥様を持ち、2016年に横浜で亡くなっています。ビル・エヴァンスとは一回り以上も歳が離れているわけですが、このアルバムは当時新進気鋭の「奇才」を特集しようと作られたようです。




いやもう、奇才すぎるでしょ。笑


今なら、この吹き方はわざとやっているのね!ここはこうやって吹いているのかな?というのがなんとなく想像できるのでこのエキセントリックな演奏を楽しむ余裕がありますが、フルートにハマって間もない私には刺激が強すぎました😂😂

YouTubeで聴けるのでどんな演奏なのか気になった方は一曲だけでもぜひ。超スタンダードナンバーの「枯葉」も、彼らの手にかかるとめちゃくちゃ刺激的です!
私はSo Whatという曲が最高に暴れ散らかしてて好きです!(褒めてます!)


少し話は逸れますが、何も演奏せず、ただただ4分33秒もの間沈黙を貫くこととしたジョン・ケージという有名な作曲家がいますが、
果たしてこれは「作曲」なのか?という疑問はさておき、「沈黙している最中に聞こえる全ての音が音楽そのものである」ということがジョン・ケージの意図です。部屋の外を走る車の音、椅子や建物が軋む音、空気が静かにうごめくような音から、隣の人の鼻息、お腹がグゥ、と鳴ってしまうことまでもが「音楽」だと言うのです。

音楽はこんな風に自由に捉えてよくて、
それを演奏する奏者もとことん解放されていていいんだよなあ!と。。
このCDを聴いていて、ジョン・ケージの自由さを思い出した次第です。


ジェレミー・スタイグの演奏は、「フルートのお手本演奏」を探す中学生の私には刺さらなかったけど、
今ならば、フルートはこんな音も出せるのか、いや、出していいのか!アドリブ演奏ってこんなことまでしていいんだ!という感情に尽きます。
例えるなら、オトナになった今、クレヨンを渡されて、「これで、家の壁に好きなだけラクガキしていいよ😝」と言われたような気分。


きっと私はそこで「えー、やってみたいけど、でもゆーて家の壁だし…」と描くことを躊躇ってしまうのでしょうが、
音楽においては盛大にラクガキしてやりたい気持ちでいっぱいです。できるかな。やりたいな。


音楽の自由度の高さを思い出させてくれる、名盤レポでした。

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