ぽす研「オンライン・フェミニズムの限界と可能性」の感想文です
はじめまして。私は笛美という名前で政治や女性の生き辛さを発信するアカウントです。広告業界で働く中で女性の生き辛さを感じるようになり、周りに話せる人もいないためTwitterでフェミニズムの発信をするようになりました。ぽす研のウェブセミナーの感想を、取り止めもない文章ではありますが書いてみました。
Twitterの権威主義について
5月8日に#検察庁法改正案に抗議します オンラインデモの最初の投稿をしたことがメディアに取り上げられ、フォロワーさんが5倍に増えたことで、自分がある種の権威になりかけてるのに気がつきました。フォロワーさんが増え、フェミニズムについて知ってもらう機会が増えたのはよかったです。でも私がフェミニズムや政治に詳しくなったわけじゃありません。ビギナーとして学びの過程を共有したり、ぼやいたりしかできません。フォロワー数やいいねやRTで影響力も変わるし、間違えた情報が広まっちゃったりするリスクをこれまで以上に感じていて、迷いながらやっています。とはいえ、考えすぎるとTwitterは楽しくないし難しいです。専門知識の部分は私ではなく、報道機関や運動をされている方や研究者さんや資料に頼ってほしいなと思っています。でもそこまでたどりつける人が多くはないことも分かっています。
Twitterでのやりとりは井戸端会議というかブレストにはなるけど、結論を出す場にするのは難しいかもと思っています。ゴールのないゆるゆるとしたお喋りでいいから、政治やフェミニズムを身近にできたらいいなと。いつかは忘れられていくのかもしれないけど、みんなの心に少しでも体験が残ればいいかなというスタンスです。
日本にフェミニズムの基礎がないこと
フェミニズムは、人口の半分である女性と、もう半分の男性にもまつわる身近な学問。なのに最も身近なメディアであるテレビにもラジオにもあまり情報がないですよね。小中の義務教育でも習わないですし、学べたとしても大学でフェミニズム関係の授業を取るという選択を自分でしなければいけないです。
先日の検察庁法改正案デモで、多くの方が「三権分立がなくなる」と言っていたのですが、それは義務教育で習った基礎知識があったからです。ところがフェミニズムにはこれがないのです。政治のニュースならメディア各社がネットでニュースを発信してくれたり、短く切り取った解説動画とかも出してくれますけど、フェミニズムにはそれすらも少ないですもんね・・
たとえば「女性差別をなくしたい」と思ってる男性とかに、なにを見せれば基礎的なフェミニズムを知ってもらえるか、とか。「女性差別はない」と言っちゃうような人にも基礎から説明しなきゃいけないとか。次々にやってくる女性差別モンスターに説明しようとして、何度も同じことを繰り返してグルグルしちゃうのかなと少し思いました・・どこかにアクセスしやすい基礎的な情報がまとめてあるといいんですけどね・・
フェミニズムを知りたい時、本を読むのがいちばんなんだろうけど、本を読むのが苦手な人もいるし、「フェミニズムの本を買う」という行為そのものが強い意志を伴うもので、ハードルが高い人もいるのかもしれません。これは私だけかもしれませんが、疲れたり弱っている時はフェミニズムの本が読めないんです。人生の「答え合わせ」は時に辛いこともあるので・・。元気なときや時間がたくさんある時は本、日常生活や元気がないときはTwitter、と言うふうに使い分けているのが実態です。
「カスタマージャーニー」という考え方があるのですが、フェミニズムを知り、さらに興味を持って学んでいくには、どんなジャーニーがあるんだろう?なんてことをぼんやり考えています。今はソーシャルメディアが身近なんだろうけど他に方法があるんでしょうかね・・
フェミニスト怖い現象について
いまの若い人たちに「フェミニストの人たちが怖い」と思われていると聞いて、残念でもあり、納得もしました。私もフェミニズムに興味を持つ前は、「フェミニストはよく分からないことで騒いでいる遠い世界の人たち」だと思っていましたし。「もう女性としても労働者としても自分に価値はない。死んだ方がまし。」とまで追い詰められた時に、リアルで外国人フェミニストの友達ができて、やっとフェミニズムは自分に必要な学問だと知ることができました。140文字では見えない人となりや、声のトンマナが分かる現実世界で、普通の日本人の人たちがフェミニズムを語れるようになると、状況は変わるのかも知れませんね。
リアルの壁
リアルにも壁があります。私は実名を明かさない隠れフェミニスト をやっています。その理由としては、同僚や取引先に白い目で見られるかも知れないこと、職場にいづらくなるかもしれないこと、友達を失うかもしれないこと、家族に影響が及ぶことです。リアルアカウントでもフェミニズムを言ってみたいのですが、なかなか共感してもらえないんですよね。Twitterならどれだけフェミニズムの話をしても誰にも引かれない。今回のスピーカーの皆さんは大学の先生だそうですが、大学のフェミニズムのゼミとかだと周りに興味のある学生さんたちがいて、良い環境だなとちょっと羨ましく思いました。
#検察庁法改正案に抗議しますオンラインデモや 、フラワーデモなどでも気づいたのですが、本当は声を出したくても、敷居が高くて出なせい人っていっぱいいるんですよね。その人たちの居場所がどうにか作れないものでしょうかね・・研究者の方々の課題ではないのかもしれませんが、そんなことを考えました。
フェミニズムの研究者の方々の耕してきた豊かな土壌から、Twitterの人たちや、活動家さん、タレントさん、市民の言葉も生まれていると思います。こんな大変な世の中で名前と顔を出して発信している研究者さんには、本当に頭が下がります。今後のみなさんの活動を応援しております。私もカタツムリのようにゆっくりではありますが学んでいきたいです。