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備忘録7:鎮咳去痰薬

【登録販売者資格の勉強備忘録:呼吸器官に作用する薬】

1⃣咳や痰が生じるしくみ

咳→気管や気管支に異常が生じた刺激が中枢神経系に伝わり、延髄にある咳嗽中枢(がいそうちゅうすう)の働きによって引き起こされた反応
痰→気道粘膜から分泌された粘液に入り込んだ異物や粘膜上皮細胞の残骸などが混じったもの。呼吸器官に感染を起こしたときやたばこなど空気が汚れた環境で過ごすと気道粘膜からの粘液分泌が増え呼吸の妨げとなり咳が出て痰を排除しようとする。

気道粘膜に炎症を生じたときにも咳が誘発される。炎症に伴って気管や気管支が収縮してぜんそくを起こす。

2⃣鎮咳去痰薬の働き

≪鎮咳去痰薬≫
咳を鎮める、痰の切れをよくする、喘息の症状を和らげることを目的とする医薬品の総称
*現在こちらが全国的に欠品状態らしい
*錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、内用液薬、シロップ剤のほか口腔院投薬の目的を兼ねたトローチ剤やドロップ剤がある。

3⃣主な配合成分

  • 鎮咳成分
    延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑える。
    *麻薬性鎮咳成分:コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩
    *非麻薬性鎮咳成分:ノスカピン、ノスカピン塩酸塩水和物、
      デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、
      デキストロメトルファンフェノールフタリン塩
      チペピジンヒベンズ酸塩、チペピジンクエン酸塩
      ジメモルファンリン酸塩、クロペラスチン塩酸塩
      クロフェラスチンフェンジゾ酸塩、ペントキシペリンクエン酸塩
    *鎮咳成分と同様の作用の生薬成分:ハンゲ(半夏)

    ≪コデイン類の適正使用情報≫
    *長期連用や大量摂取によって倦怠感や虚脱感、多幸感が現れ、薬物依存につながる恐れ(特に内服液剤)
    *12歳未満の小児には使用禁忌
    *妊娠中に服用した場合成分の一部が血液ー胎盤関門を通過して胎児に移行する(コデインリン酸塩水和物ではマウスで催奇形性が報告されてる)
    *分娩時の服用により申請時に呼吸抑制が現れたとの報告あり
    *胃腸の運動を低下させ便秘を生じる

    ≪コデイン類による小児の呼吸抑制発生リスク≫
    海外でコデイン類を含む医薬品の12歳未満への使用を禁忌とする措置が取られたことを踏まえ、薬事・食品衛生審議会において本罪の安全対策について検討された。
    その結果小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、一般用医薬品、医療用医薬品とも以下のような措置を行うこととされた。
    *速やかに添付文書を改訂し、原則、本罪を12歳未満の小児などに使用しないよう注意喚起を行う
    *1年6ヶ月経過措置期間を設けたうえでコデイン類を含まない代替製品や12歳未満のしょにを適応外とする製品への切り替えを行う
    *12歳未満の小児への使用を禁忌とする使用上の注意の改定を再度実施する事。

  • 気管支拡張成分
    呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めることを目的とした成分
    アドレナリン作動成分:交感神経系を刺激して気管支を拡張
     メチルフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩
     トリメトキノール塩酸塩水和物、メトキシフェナミン塩酸塩
     アドレナリン作動成分と同様作用の生薬:マオウ
    キサンチン系成分:自律神経系を介さず気管支の経過継禁に直接作用
     ジプロフィリン
    ≪アドレナリン作動成分・マオウの適正使用情報≫
    *交感神経系の刺激作用によって心臓血管系やカンゾウでのエネルギー代謝などにも影響を生じる
    *心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症の診断を受けた人では使用前に治療を行っている医師や薬剤師に相談する
    *高齢者は基礎疾患がある場合が多いので使用前にその適否を十分考慮する
    *メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、マオウは中枢神経に対する作用がほかの成分に比べ強く依存性がある
    *メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩は吸収された成分の一部が乳汁中に移行する(乳児への影響は不明)

    ≪ジプロフィリンの適正使用情報≫
    *甲状腺機能障害またはてんかんの診断を受けた人は担当医、または薬剤師に使用を相談する
    *動悸の副作用が現れることがある

  • 去痰成分
    痰のキレをよくする成分
    *気道粘膜からの粘液の分泌促進作用
     グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム
    *痰のなかの粘性タンパク質を溶かし粘性を減少する作用
     エチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、カルボシステイン
    *粘液成分の含量比を調節して痰のキレをよくする作用
     カルボシステイン
    *分泌促進、溶解低分子化、線毛運動促進作用
     プロムヘキシン塩酸塩

  • 抗炎症成分:気道の炎症を和らげる成分
     トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム
     グリチルリチン酸と同様作用の生薬:カンゾウ
     構成生薬がカンゾウのみからなる漢方処方製剤:甘草湯
    ≪カンゾウの適正使用情報≫
    カンゾウを大量に摂取すると偽アルドステロン症を生じる恐れ
    *むくみ、心臓病、腎臓病、高血圧のある人、高齢者では偽アルドステロン症を生じるリスクが高い>使用前に医師・薬剤師に相談すること
    *どのような人でも一日最大服用量がカンゾウ1g以上となる製品の長期連用指定はいけない

  • *グリチルリチン酸の総摂取量が継続して過剰にならないよう注意
    (甘味料として一般医食品や医薬部外品にも用いられている)

  • 抗ヒスタミン成分
    アレルギーに起因する咳やぜんそく、気道の炎症を和らげ、鎮咳成分や気管支拡張成分、抗炎症成分の働きを助ける
     クロルフェニラミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、カルピノキサミンマレイン酸塩
    ≪抗ヒスタミン成分の適正使用情報≫
    *気道粘膜での粘膜分泌を抑えて痰が出にくくなることがあるため、痰のキレをよくしたい場合は注意が必要

  • 殺菌消毒成分
    口腔咽頭薬の効果をかねたトローチ剤やドロップ罪に配合されている場合がある
    セチルピリジニウム塩化物
    *殺菌消毒成分は口腔内、咽頭部において局所的に作用する

  • 生薬成分
    *キョウニン(杏仁):バラ科の種子>咳嗽中枢を鎮静
    *ナンテンジツ(南天実):メギ科ナンテンの果実>咳止め
    *ゴミシ(五味子):マツブサ科の果実>鎮咳・強壮
    *シャゼンソウ(車前草):オオバコ科の全草>去痰
    *オウヒ(桜皮):バラ科ヤマザクラの樹皮>去痰
    *キキョウ(桔梗):キキョウ科の根>痰をともなう咳
    *セネガ:ヒメハギ科のセネガの根>去痰
    *オンジ(遠志):ヒメハギ科の根、および根皮>去痰
    *セキサン(石蒜):ヒガンバナ科の鱗茎>去痰
    *バクモンドウ(麦門冬):ユリ科の根の膨大部>鎮咳・去痰・滋養強壮

  • 漢方処方製剤
    *柴朴湯(咳・痰)カンゾウ
     【重副】間質性肺炎・肝機能障害
    *五虎湯(咳・痰)カンゾウ・マオウ
    *麻杏甘石湯(咳・痰)カンゾウ・マオウ
    *神秘湯(咳・痰)カンゾウ・マオウ
    *甘草湯
    *半夏厚朴湯
    *麦門冬湯

4⃣相互作用と受診勧奨

  • 相互作用
    *複数の有効成分が配合されていることが多いので他の鎮咳去痰薬、かぜ薬、抗ヒスタミン成分やアドレナリン作動成分を含有する医薬品の併用で同種の作用を有する成分が重複接種となり副作用が起こりやすくなる恐れ
    *咳止めと鼻炎の薬は影響しあわないという認識は間違い

  • 受診勧奨
    *鎮咳去痰薬に解熱成分は配合されてない>発熱を鎮める効果はない
    *痰を伴わない乾いた咳が続く場合は間質性肺炎などを疑う>副作用
    *咳がひどく単に線状の血が混じる。黄色や緑の膿性の痰
    *咳や痰、息切れが長期間にわたる(喫煙に伴う痰のために鎮咳去痰薬を長期間にわたっての使用は適当ではない)
    *喘息の場合
    *ジヒドロコデインリン酸塩水和物、メチルエフェドリン塩酸塩など繰り返し摂取し依存を生じている場合

+++++今日のひとこと+++++
勉強内容、ちょっと覚えるのは無理かと思い始めている

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