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好きなものをあげてみる。Vol.4音楽(後編)

前編 と 中編 も読んでね。

長い冬休みもいよいよ最終日。
結局、最後まで痛み止めがいらなくなることはなく、痛みと療養の冬休みになってしまった……悲しい……。

気を取り直して、音楽の話、ラスト行きましょう。

4.ライブハウスに通った、20代。

前回の続き。
大阪での研修中に野外ライブで出会ったfirmというバンドを見るため、東京に戻ったあとに初めて「ライブハウス」というところに足を踏み入れることになった僕。

それまでの人生でもいわゆるライブに行ったことはあった。aikoとかJanne Da Arcとか友人に連れられていった福山雅治とか。
でもそれは、いわゆるメジャーアーティストのライブで、会場は横浜アリーナとか神奈川県民ホールとか武道館とかそういう巨大なやつ。

東京の下町とかにある「ライブハウス」っていうのはそれとは全然違う、「ハコ」とかよばれている小さな空間で、人気も技術も様々なインディーズのバンドたちが競うように音を鳴らす空間。

僕が初めて行ったライブハウスは代々木にある「Live Labo代々木」というところで、比較的新しめのこぎれいなところだった。
そこでお目当てのfirmの演奏を見に行ったのだけど……「ハコ」でのライブには、僕の知らない「対バン」というシステムがあった。

「対バン」というのはライブをひとつのバンドだけで行うのではなく、複数のバンドで競演する、というしくみ。
メジャーアーティストのように、ライブを1バンドで2時間とかぶっ通しで行うんじゃなく、30分ずつ4バンドとかで、順番にライブをするのだ。

これが僕にとってはとてもよかった。目当てのバンドを見るためにライブに行くと、3つくらいの知らないバンドに出会える。もちろん好みのバンドもあればそうでないのもあるが、大抵、3つの中で1つはもう一度見たい、というバンドがある。そんな風にして、僕のお気に入りの音楽はみるみる増えていった。

そんなわけで僕が初めて行ったライブで、firmの対バンとして出会ったのが、その後長い付き合いになる「NANAIRO」。
僕とほぼ同年代の女の子の3ピースバンド。3人しかいないのに、ギターボーカルとベースボーカルのツインボーカル。
僕がこれまで聞いたことのないジャンルで、そのころ歌や演奏は他のバンドと比べるとやや未熟な感じがしたが、これまでに聞いたことがないような曲のつくりとアレンジ、そして物語のような歌詞に強く惹かれた。

歌詞のメッセージ性が強いLOST IN TIME、ポップでスタンダードなロックバンドfirm、そしてこれからつくられていく曲が楽しみで仕方ないNANAIRO。
これらのバンドとの出会いと、その後のライブハウス通い(LOST IN TIMEも下北沢のライブハウスでよく演奏していて、そちらも程なくして見に行くようになった)で、僕の聴く音楽はほとんど全部、塗り変わったのだった。

5.音楽の再発見をした、30代

さて、これでようやく現在、35歳の僕につながる。

仕事が忙しくなったことや、同棲・結婚したこと、それから最近では長野県に引っ越したことから、ライブハウスに行くことは格段に少なくなった。

新しい音楽との出会いは減ってしまったけれど、20代で身についた音楽の聴き方のようなものは、今でも僕の音楽生活を楽しくしてくれている。

いつの間にか世の中では音楽のストリーミングサービスが当たり前になっていて、僕もGoogle Playミュージックの有料会員になっている。聴くことができる音楽の数は、一瞬で何千倍にも増えた。
そうなると意外にも「昔よく聴いていたアーティストの曲」を聴く機会が増えた。僕が10代の頃に聴いていたのは「人気のアーティスト」が多かったし、ストリーミングサービスの方も、30代に対して「青春の頃の音楽を聴きなよ」と狙い撃ちしてくるから、その頃のラインナップがすごく多い。

当時人気だった音楽を改めて聴いてみると、僕の「聴き方」が変わっているから、たくさんの新しい発見がある。
おもしろいことに、当時と今とでは、気に入る音楽がかなり違う。当時は特に好きでもなく聞き流していたアーティストが急にお気に入りになったりする。

最近のお気に入りは、当時は「さくら(独唱)」くらいしか知らなかった森山直太朗と、最近、解散から復活したばかりのsurface、それに楽器がめちゃくちゃかっこいいSIAM SHADE。

もちろん、ストリーミングサービスで新しい音楽に出会う経験もしたいなぁと思っている。10代のころにはきっと聴かなかったであろう、インストバンド(ヴォーカルのないバンド)も楽しめるようになったしね。

これからの人生、どんな音楽に出会えるかな。

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文月 煉
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