2020年を振り返る。「予想外」で良い年だった。
すっかり年末。僕は毎年、仕事を納めたあとにその一年を振り返るのが好きなんだけど、今年もちょっと振り返ってみようと思う。
2020年はどんな年かと言ったら、世界中で「コロナで大変だった年」っていう答えが返ってくるのだろうけど、僕としては「予想外のことだらけの年」だったな。それも、予想外のいいことばかりだった気がして、振り返ってみればすごくいい年だった。
年明けは心も体も本当に調子が悪くて大変だったんだけど、そのおかげでこれまでにない決断ができた。つまり「週4勤務で働く」という僕なりの働き方改革。フルタイムで働かないというのは、30代の日本の男性としてはおそらくかなり珍しい生き方で、それを選択するのはとても勇気が要ることだった(僕自身が「30代の日本の男性」なんていうカテゴリを気にしてしまっていることがショックではあるけど……ずっとずっと社会の中でさらされてきた先入観やジェンダー観は簡単には抜けてくれないね)。
でも、4月から飛び込んでみたこの働き方は僕にはやっぱりとても合っていて、みるみる心も体も良くなった。一世一代の勇気を出してみてよかったな。
それからコロナの波が来て、仕事はガラリと変わってしまったし、なかなか長野から出られなくなってしまった。首都圏から引っ越してくるときにたくさんの友人や好きな人と離れてしまって、「でも、2時間ちょっとで東京に戻れるから」なんて言っていたのに、全然会えなくなってすごく寂しくなるかと思ったけど、逆に世の中では「会わなくても繋がっていられるための技術」が一気に進んだ。僕自身もオンラインのオフ会を何度も開催したり、実際には会わないのに新しく人と知り合ったり仲良くなったりして、物理的には全然動かないままたくさんの人と交流することができた年だった。むしろ「自分とは全然環境が違う人と繋がれる可能性」を、改めてはっきりと感じた年でもあった。
何より、週4勤務になって時間と心と体力に余裕ができたことで、もともと僕がもっていた好奇心が息を吹き返して、新しいことにたくさん挑戦できたことがとてもよかったんだろうな。ずっとやってみたかった「星の王子さまの翻訳を、電子書籍にして出版」という夢が叶えられたし、それをきっかけに今後もきっと好きでいられると思える人と出会えたりもした。
それから、これは本当に予想もしていなかったことなんだけど、編集プロダクションを退社してから半ばあきらめかけていたこども向けの本の執筆の仕事が、急に飛び込んできたりもしたんだよね。しかも、ずっとずっとやりたかったジャンルの仕事。もしこの話が来たのが去年だったら、僕は泣く泣く断っていただろう。たまたま余裕ができたこの時期に、ずっとやりたかったことが飛び込んでくるという幸運。勇気を出した僕の決断を祝福されているみたいな気持ちになる。
僕は昔から先のことを計画するのが苦手で、ずっとそれがコンプレックスでもあったんだけど(老後を視野に入れたキャリアプラン、とかめまいがしちゃう)、逆に言うと、予想外の流れに乗って生きるのが得意で、そんな生き方が好きだっていうことなのかもしれない。そう考えたらこれはコンプレックスじゃなくて長所だな。
たった一年でこんなにも見えているものや考え方が変わってしまったのだから、来年も、何があるかなんてさっぱりわからない。またきっと、大きな決断が必要な年じゃないかな、と思ってる。だけどまた年末に「振り返ってみれば今年はいい年だったな」なんて、言えるといいな。