男子学生も男尊女卑の被害者~「東大祝辞」に関連して~

女性学の上野千鶴子教授の東大入学式での祝辞が話題だ。

この祝辞、各方面から絶賛されているみたいなんだけど、全文を読んでみて、僕はどうにも居心地の悪さを感じてしまったので、思ったことをつぶやいてみた。以下、Twitterの引用。

東大の新入生祝辞の話、内容はとてもいいと思うけどあれが「新入生祝辞」であるという点で、やはり聞いていた男子学生にとってはパワハラに他ならないし、評価できないなぁと思う。
不正に優遇されている側も「被害者」なんだよ。

社会をつくるのに携わっていない若い人は、男性も男尊女卑の「被害者」であり、社会のシステムに洗脳されて「加害者」になる前に、システムを変えていかなければならない、というのが正確なのだと思う。
この場合、古い世代である教授の方がシステムを変えられずに維持してきた加害者側。

僕が大卒で最初に入った会社は、管理職には男性しかいないところだった。新卒の同期は男女半々だったけど、新人のときに上司に「(同僚の女子と違って)お前は男なんだから、将来妻子を養わねばならない。昇進できるようにいっぱい働け」と言われた。同じ営業でも残業が多いのは男、と決まっていた。

僕は男だから「優遇」されていたし、出世も目前だったけど、プレッシャーで病んで辞めた。出世はしないけど楽に働いているように見えた女性社員をうらやんだこともあった。
「お前は男なんだから、優遇されていることを自覚しろ」なんて言われたら、きっとカッとなって反論したくなっただろう。

今回の東大祝辞の件で僕がいちばん気になっているのは、祝辞に反発して批判を書き込んだりした男子学生がいること、そして批判した学生を嘲笑う大人たちが多くいることだ。学生たちが正しいと言うつもりはないけど、これはあまりにもひどい。

もちろん上野氏の問題意識はとても重要だと思うし、それを考えるきっかけとして世の中に与えたインパクトは大きい。
そして実際には、少なくとも数十年前に比べて、日本社会での男尊女卑への意識が劇的に改善されてきているのは間違いない。
そこには、男女問わず、若者たちの言動による貢献は間違いなくあるはずだ。(もちろんその背景には、女性学の研究の蓄積などによる教育の成果がある)

男性 VS 女性 の構図ではなく、
旧来の差別的価値観 VS 誰もが生きやすい新たな価値観
というのが世の中に浸透して、力を合わせてよりよい社会にしていけたらと思う。

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文月 煉
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