「男らしさ」は卒業したよ。
30代も半ばになってやっと、だけど。
自分が男らしくあることを少しずつ脱ぎ捨てていって、ふと気づいたら周囲の誰ひとり僕に男らしさを求めなくなった。
むしろ最近では、なんだか中性的な扱いをしてもらえるようになった気がして、とても居心地がいい。
僕は生まれつき極端に痩せていて、体重は女性の平均にも遠く及ばない。
「一般的に男性は女性より腕力があるから、女性にとって男性は恐怖の対象」だとよく言われるし、それは真実だけど、何事にも例外はある。しかも「か弱い女性」とちがって「か弱い男性」は守るべき存在とは見なされない。むしろ嘲笑される。
そんななかで、僕もそれなりに自分が男らしくないことに劣等感を覚えていたこともあった。男性社会のマウンティングに巻き込まれると僕は間違いなくいつでも「最下位」なので、そこには加わらないように細心の注意を払って生きていたら、いつの間にか友人は女性ばかりになっていた。
僕は自分の性自認が男性であることに疑いを持たずに生きてきたし、今でも性自認に揺らぎがあるとは思っていないけど、ジェンダーの意識というのは先天性のものとは別に社会的に、環境につくられるものもあるのだと思う。そういう意味では、僕は、幼い頃から社会からの「男性規範」を拒否し続けて生きてきたのだと思う。
だから僕は先天的には男性で、社会的には男性ではない。かといって女性なわけでもないので、なるほど、中性的な感覚がいちばんしっくりくるのだろう。そのことを、最近になってようやく受け入れられた。
受け入れて安心したら、無理して「男性のように」振る舞うことを、自然にやめていたらしい。職場でもインターネット上でも、「煉さんはあまり男性という気がしない」と言われることが増えた。そして、自分でも驚くほどにそれが心地よいことにも気づいた。
長く時間はかかったけど、やっと僕は、「男らしさ」の呪縛から卒業できたんだな。ささやかだけど、意味のある変化。だんだんと生きやすいあり方に、近づいているのかもね。
君も、よかったらこっちにおいでよ。
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