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文月 煉
2018年7月14日 23:38
雨が音もなく降る夜は、誰だってセンチメンタルな気分になる。私にとってもそれは例外じゃない。いつだって暗く沈みこんでいる私に、センチメンタルなんていう感情は似つかわしくないかもしれないけれど。 私は部屋のガラス窓を小さく開けて、暗闇に閉ざされた外の世界をのぞき見る。古ぼけた街灯が照らす小さな空間に、雨粒が線を描いていた。目をこらさないと見えない音のない雨は、確かに、この町をじっとりと包んでいた。