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進むも地獄退くも地獄

これは、鉄道系不動産デベロッパーの話。サムネに貼ったオフピーク通勤の広告で昔取引のあった鉄道会社の話を思い出した。私は昔の会社で鉄道系不動産デベロッパーとよく取引をしていました。ご承知のとおり『電車賃』というインフラが主な収入源で人が乗れば乗るほど儲かる仕組み。

通常の不動産デベロッパーの考えかたは、駅が近い方がいい、もう少し駅に近い物件、を探す。家を買いたい人達、住宅を探している人たちは皆『駅近』というパワーワードに引っ張られる。駅が近ければ毎日の通勤だけでなく、駅の近くは商業店舗も多くなり毎日の買い物も楽になる。誰でも容易に想像できる当然の話。

ここで鉄道系不動産会社は
『駅がなければ造ればいい』
という考えをもっている。これはどんなに大きな不動産デベロッパーでもできない。考えたこともないのではないだろうか?やれるとしたら、再開発で駅ができるエリアを買い漁る、このくらいのことしかできない。
この言葉に私は不動産価値という概念を覆えされた。これは鉄道会社1社の話ではなく、すべての鉄道系不動産会社で同じ意識。すべての鉄道会社の存在意義や社会に対する価値の提供という創業から脈々と継がれてきたものなのだろうと思った。

駅があれば電車での人の往来が始まり、商店街ができ便利になり、住む人が増え、また人の往来が増える。駅というまさにプラットホームを中心に電車賃や駅直結のオフィスビルの家賃でランニングを稼ぎ、不動産デベロッパーとしてイニシャルを稼ぐ。これが鉄道会社のお家芸である。

そんな鉄道会社だか『オフピーク通勤』を推奨している。オフピーク通勤という言葉は東京スラングなのかもしれないので説明しておくと、大量の人間が同じ出社時間のため上り電車の7:30〜9:00は乗れないほど満員電車になる。東京で生活をすることになった時に一番最初に襲いかかるストレスだと思う。満員電車に乗ったことがない方は想像できないと思うが、押されに押され、足が浮いてしまい、次の駅で人が降りるまでそのままということも良く聞く話。そのくらい満員電車は辛い。会社勤めの方はそれを毎日毎日続けなくてはならない。健康にも良くないし、鉄道会社としても分散した方が遅延も少なくなるのでできるだけ通勤時間をずらして欲しい。そういって始まったのが『オフピーク通勤』。簡単に説明すると7:30〜9:00をずらして通勤してください!ということです。それに各会社が賛同して早出早上がりの制度を設けたり、会社近くでよ朝活などが推奨されてきました。

しかし、オフピークを推奨すればするほど増えるのがクレーム。
『お前らが住宅をたくさん作るせいで、人口が増えて満員電車になるんじゃないか!』
というクレームが入るらしい。

そもそも、満員電車ほ原因は都内近郊で住宅開発が進んだほか、各鉄道会社が協力して別の鉄道会社の線路と繋げて『乗り入れ』によって線路が伸びたため、移動距離も伸び、その分利用者数も増えたということです。これは、鉄道利用者の利便性を向上させようと鉄道会社が努力した賜物でもあります。その努力が満員電車をつくる原因だという。

駅がなければ作ればいい

という単純な話ではなくなっている。
各鉄道会社は今まで通りのビジネスモデルで作り続ければ、クレームはなくならない。だからといってつくるのをやめるわけにもいかない。相当頭痛いだろうなぁと想像はできるが、私の会社でそんな大きな話になることでもないので、結局は他人事なので、面白、おかしく話せる題材である。


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