スモールハウス
「スモールハウス 3坪で手に入るシンプルで自由な生き方」
著者:高村友也
2018年4月初版
6つのスモールハウス
作中では6つのスモールハウスが紹介される。作者自身もスモールハウスでの生活を日本で行っていて、作者の物以外の海外の事例が本書では紹介されている。それぞれ特徴があるが、もちろんどれも小さい。そしてその大半はオフグリッドである。建築物とならないようにした結果がオフグリッドになったのかもしれないが、小さいからこそオフグリッドであることは自然に思えるから不思議だ。大きな家へのアンチテーゼというより必要十分な生き方
大きな家へのアンチテーゼというより必要十分な生き方
「これで十分ではないか」作者は自身のスモールハウスや紹介するスモールハウスを通じてそう言っている。スモールハウスに住もうとした動機はそれぞれなのだろうけれど、作中から感じるのは大きな家へのアンチテーゼというよりも、この広さでも十分生活できるよ、という意識である。紹介される建物をみるとさすがに狭いんじゃないかな、と思ってしまうのだけれど、それは見てみないとわからない。
スモールハウスとひとくくりにしても、紹介される家にはそれぞれ個性がある。趣味の本がしっかりと収納されていたり、人を呼んで話をする場所が最低限準備されていたり、気持ちい場所に窓があったり、外観にこだわっていたりする。小さな住まいでもその人の好みが個性として表れている。
住まいをゼロから考えるといきつくところは人によって本当に多種多様であるということが大切だと思う。住むための場所を考えるときに大半の人がいわゆる「家」というものに固定観念を持ってしまっている。
エコロジーと経済
小さな家は環境負荷が小さい、当然のことだがとても大切なことだ。これは必要最低限の生活を考えることが最もエコにつながるということを示している。地球環境負荷を考えて設備や性能を考えることはとても大切だ、だがそれよりもまず必要以上の住まいを想定しないことが重要だ。
これは住む人にも経済的にメリットがある。もちろん小さい家は費用が小さくなるからだ。作者は大きな家を手に入れるために働いたり自分な好きなことにお金を使えないことを避けることを「経済から自由になる」と表現する。
小さな家はエコロジー効果と経済効果がついてくる。
みんなが住む場所を考える
作中で登場するスモールハウスにみんなが住むべきだ、とは思わない。だがこれで十分だろうかと考えるきっかけは与えてくれると思う。
この本にでてくるものは小ささという部分に振り切っていると言えると思うが、このように住宅はもっと極端に考えられてもいいのではないか。新築住宅があふれることで「みんながイメージするような住宅に住まなければいけない」という観点がどこかで根付いてしまっているのではないか。それは見直してもいいと思う、暮らし方は人によって個性があるし、それに伴って住宅は変わってもいいと思う。
リビングは小さくてもいいから脱衣所はとても広くしたいとか、お風呂は小さくてもいいからキッチンは大きくしたい、玄関を大きくしたい、細長い家がいい、オフグリッドの家にしたい、眺めのいいトイレにしたい、などなど。極端なことを書いたけれど、一般的な家から一度離れてみて、自分がどんな家に住みたいかを考えてもいいのかもしれない。そんなきっかけを与えてくれる本かもしれない。
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