まちの風土を見る
街にはそれぞれ個性がある。歴史ある街であればあるほど、時代時代の秩序が残り、受け継がれる、かつての秩序は使われていなくても残っている。
洲本の背割り
事務所がある洲本は城下町であったという歴史がある。城下町は城主が決めた秩序に沿って計画的に作られている。400年の歴史があると言われている洲本の城下町について、僕はまだまだよく知らない、知りたい。
事務所がある商店街の裏側にはこんな水路がある。城下町の背割り下水と呼ばれ、人が通る表の通りと合わせて、裏側に下水を流すための場所として整備された(はず)のだ。
風土を見る
もちろん、今の時代でいう下水とは汚水や雑排水といった生活排水を流す場所のことを言うので、今でいう下水として使えるわけではない。雨水だけが流れる場所である。今はもう使われていないけどそこには確かに水路があり、建物の裏側という秩序を作っている、建物の隙間になるのでそこを風が流れる。建物同士が裏でくっついてしまわないことにもなっている。
風土から今を考える
城下町として盛えた時代は建物がひしめき合い、隙間なく建っていた。今、そしてこれからは建物の間にも隙間が必要になってくるのかもしれない。人口減少の時代に必要な建物の数が減ることは間違いない。建物を減らす時代が来たとして、人々はどのようなまちの構造を引き継ぐのだろうか。そのヒントが背割り下水などのかつての秩序が生んだまちの構造にあるのかもしれない。そうした秩序は今の時代には決して生まれないものである、それが実質的に意味が無いとしても「もう生まれない何か」という価値を持っている。無理にでもその構造を引き継ぎ、次代につなげる。そこから今の時代の何かを生み出していくことも今を生きる我々の生きる道なのではないかと思う。
風土から未来を考える
もちろん、過去に蓋をして、未来を作ることもできる。でも、過去に蓋をすることは、未来の過去つまり自分たちの今に蓋をすることに等しいのかもしれないと思えてくる。自分たちの行いが未来につながることを信じて、今残っていることに目を向けるのもいいかもしれない。