見出し画像

筆の選び方 毛の種類から選ぶ編その1 尖毛

皆さんは筆を選ぶ時に何を基準に選んでいますか?
表現の種類や画材との相性など、色々と考えることが多くて、筆選びにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、筆選びのためのざっくりとした解説記事を書いていきたいと思います。
今回は毛の種類から選ぶ編その1として、尖毛をご紹介します。


 尖毛とは


質の良いコリンスキーやイタチの毛の入手が困難なため、新たなラインナップとして最近追加された尖毛筆。

先よし、まとまりよし、コントロールよし!と、もはやコリンスキーの毛を超えているのでは!?というぐらい描きやすい万能の毛です。

尖毛は、毛先はとても細いのですが、先端から2〜3ミリのあたりで毛が太くなるため、ほどよい弾力のある筆に仕上がります。

鉛筆など硬めの画材を使い慣れている方でも線描がしやすく、様々な絵の具との相性もよいため、画材を選ばず使用できる筆です。

水を吸うのに少し時間がかかるので、尖毛筆は毎回使用する前に一分ほど水につけていただくと、より描きやすくなりますよ。

尖毛の特徴

・毛の太さ:細  太

毛は細ければ塗りムラが少なく、水の含みがよりよくなります。太いと筆のスジをつけるような表現に適しています。

・水や絵の具の含みの量:多 普通 少

水や絵の具の含みは、一筆でどれぐらいの範囲、長さを描けるかに影響します。

・絵の具の降り:良 普通 不均一

絵の具は均一に降りる方がコントロールがしやすいです。

・先の鋭さ: 普通 柔

先が鋭い毛はシャープな線に適しており、柔らかいものはぼかしなどの表現に適しています。

・まとまり: 普通 ばらける

鋭くまとまる筆は細かいコントロールが必要な表現に、ばらけるものは大胆な表現に適しています。

・コシの強さ: 普通 弱

コシは筆の根元のしなりの強さとお考えください。コシが強いと筆の根元がへたらないのでコントロールがしやすいです。コシが弱いとふわふわとした描き味になります。

・バネ: 普通 弱

バネはコシとも似ていますが、毛全体や先端のしなりの強さと思ってください。バネが強いと、筆のしなりが使いやすいため、力強い描写がしやすいです。

画材との相性

水彩絵の具:○
アクリル絵の具:○
墨:○
岩絵具:○
胡粉:○
漆:○
金泥:○

※○△✕の三段階評価

基本的に粘度がそう高くない水彩絵の具と墨は筆を選びません。
粘度が高く、比重が重い絵の具は、毛のスジがついてしまったり、毛が絵の具の重さに負けてしまったりと言うことがあります。
尖毛はほぼ全ての絵の具に負けることなく、またスジをつけることも少なくご使用いただけます。

尖毛筆一覧

  • 尖 点付け

細かい描写に特化した筆です。穂が短いので初心者さんにも扱いやすい筆です。まつ毛など、細かく短い毛の描写におすすめです。

  • 尖 ごじっく筆 1号

私が一番愛用している筆です。ごじっくタイプのため穂先に力があり、線描にも塗りにも使いやすいです。

  • 尖 黒蘭

短穂面相筆の定番筆です。水彩画や書道のかな書きによく使われています。筆の初心者さんには必ずと言っていいほどおすすめしています。

  • 尖 面相 極小

長く滑らかな線描がしやすい筆です。

  • 尖 面相 長峰 極小

上の面相よりも更に穂が長いため、絵の具の含みがより良く、長く線が描けます。

  • 尖 月彩 長鋒 特小

芯の部分に尖毛を使い、上毛に羊毛を使って絵の具の含みをよりよくした削用筆です。細かい描写もある程度大きな範囲の塗りにも大活躍の万能筆です。

尖毛筆まとめ

世界中どこを探しても尖毛筆は丸山雄進堂でしか取り扱いがありません。
コリンスキーやイタチ毛の筆に慣れておられる方も、違和感なくお使いいただける、本当におすすめの毛です。
特に、細かい描写にはうってつけの筆です。是非一度お試しくださいね!

丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2-6-23
06-6211-6226

いいなと思ったら応援しよう!