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シャーペンの話 その1
ぼちぼち文房具の話もしていこうということで、シャーペンの話をする。
シャープペンシル。英語ではメカニカル・ペンシル、メカニコーペンソーである。中高生には必須の筆記具であり、最近は各社より高機能をうたう製品がいろいろ出ているので、一部ではブーム視されている。
というところで、今回は初回にふさわしく、パイロットの大人気MP、S20とS30に話を絞る(オレンズやクルトガはまた今度)。
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上がS20(ダークブラウン)、下がS30(ディープレッド)である。どちらも木軸で、サイズ感もほぼ変わらない(S20が短く見えるのは向こうにあるため)。木軸はただでさえ手になじむ感があるが、首軸の微妙なカーブ(画像の通り少しだけくびれている)のおかげで、指が前に滑ることなく快適に書き続けられる。
また、木軸の魅力として、使い続けることによる経年変化というものがある。手の脂のせいもあるのだろうが、軸の色に深みが出たり、肌理につやが出てきたりで、それはそれで大切に使いたくなる。
じゃあ、同じようなのにどこが違うのかという話だが、最大の違いは先端部にある。
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見ての通り、S20は通常の製図用らしい長めのガイドパイプ、S30は円錐っぽい角度の付いたガイドパイプになっている。
これはS30の方に、ガイドパイプが上下して芯を出すという自動繰り出し機構がついているためである。
さて、ここからが書き味と使いやすさの話になるが、両者はほぼ同じに見えてまったく違うMPと考えた方がよい。
S20は製図用シャープである。芯ががっちりと安定して、ガイドパイプも長いので見切りがよい。定規も使いやすい。ステッドラーやぺんてるの製図用を使い慣れているならこれがいい。
S30は連続筆記用のシャープである。自動で芯が出るので、かすれやノックを気にせずにずっと書き続けられる。考え事をまとめるとき、長文を筆写するとき、会議や電話でずっとメモを取り続けるときなど、芯の減りを気にしなくていいというのは、かなりのストレス軽減になる。
この先どちらを選ぶかは、日常の使い方と好みの問題である。使い方が荒いなら長いガイドパイプは勧められないし、芯先の安定感をもとめるなら自動繰り出し機構は癖があると思った方がいい。
あと、見た目のちがいでいうと、ノック部がある。
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S20は製図用にふさわしく芯硬度の表示窓があり、S30は木軸の延長の仕上げになっている。これも使用方法と好みの問題である。製図用はいろんな硬度の芯を使い分けるために、表示があるとないとでは利便性に大きな差が出る(さすがに漫画描きや製図屋でないとそこまで必要ではないだろうけど)。
そのほか、クリップと軸中央のリングが、マットか鏡面かというのもあるが、それは気にするような違いではないと思う。
ちなみに、私はデスクのペン立てにはS20を置き、ペンケースにはS30を入れている。他にもいろいろシャーペンはあるが、やはりこの2本を使うことが多い。
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