雪国の世界(ウェブの文章編)

エッセイとも言い切れないけど、「バカエッセイ」のセクションに上げていたもの(1999年10月13日公開)


 こういうのがエッセイにあたるのかどうか深く考えたわけではないが、入れる場所がないのでバカエッセイに入れておく。ちなみに、『雪国』をモチーフにパスティーシュを試みるという遊びは、和田誠の『倫敦巴里』のまんまパクリである。(この本は私にとってもっとも大切な本のひとつ。元版は話の特集社。) そのあたりの筆者の独創性のなさは御了承いただきたい。

 よく知られる「日記猿人」や「Read Me! Japan」などを手がかりに、いろんな日記サイトやエッセイサイトをめぐり歩いていると、どうも個人のホームページなるものに出されている文章には何種類かの典型的なスタイルがあるように見える。そこで、昔読んだ本をヒントにちょっとした遊びを思いついた。どんな遊びかといっても、「いろんなスタイルで川端康成の『雪国』を書いてみれば」というだけのことなので、読めばわかると思う。
 私自身は、それがどんなスタイルであれ特に好き嫌いがあるわけではないので、以下の遊びはただの遊びであって他意はない(などというのは偽善者であって、こんな文章に出くわすたびに百万発くらいメールボムを食らわせたくなるというのが本当のところ)。


オリジナル(川端康成さん)

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
 向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れ込んだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、
「駅長さあん、駅長さあん」
 明かりをさげてゆっくり雪を踏んで来た男は襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。
 もうそんな寒さかと島村は外を眺めると、鉄道の官舎らしいバラックが山裾に寒々と散らばっているだけで、雪の色はそこまで行かぬうちに闇に呑まれていた。
「駅長さん、私です、御機嫌よろしゅうございます」
「ああ、葉子さんじゃないか。お帰りかい。また寒くなったよ」
(後略)


本人は鋭いつもりの悪口雑言系

 日本国内で汽車に乗ってトンネルくぐるってだけなのに、なにが「こっきょう」だよ。ただの「くにざかい」じゃねーかそんなの。田舎もんがど田舎行くってだけなのに、何をそんなに気張ってやがんだか(笑)。
 おまけに向かいの座席の小娘も気にくわねぇ。あたり一面雪景色なんてのは見りゃあわかるだろ。夜も更けてるのに、そんなとこで窓開けられたら寒いってんだよ! このクソブス! 駅長に用事があんなら駅に着いてからしゃべれ。わざわざ大声で呼びつけてあいさつなんかしてんじゃねえ! 汽車は信号待ちしてるだけだ!
 だせえ格好の駅長も一言ぐらい注意しろ注意。なあにが「お帰りかい」だよ。安全第一が駅長の仕事だろ、職務怠慢だぜ。
 島村はぼーっとしすぎ。ちゃんとしろちゃんと。主人公なのに(爆)。


なんかコドモ女っていうかー系

 一人旅っていいよねー♪ ていうか、汽車に乗って国境の長いトンネルをこえたら雪国だったりして \(^▽^)/。キャハ☆ ロマンチックすぎ? 
 夜でまっくらなのに雪のトコだけ白くなってて、あー、ゆきぐにだーって感じ。温泉とかはいったりしてほっこりしたいなーなんてね♪ そんなこと思ってたら前に座ってたきれいなオネエさんが窓あけちゃった。さみーよー (T T)。
 で、オネエさんが「えきちょうさあん」って呼んだら、むこうの方からトコトコって子熊みたいなおじさんがくるの。オネエさんの知り合いなんだって。
 ジモピーだろから、あとでおいしいラーメン屋さんとか教えてもらおっと (^ ^)/~~~。


エリート意識丸出しの鬼畜系

 わざわざ汽車でこんな田舎まで来るなんて俺も落ちぶれたね。長いトンネルを越えなきゃ来られないって、人間の住むところとは思えないね。やっとトンネルを抜けたと思ったら、えらい雪でやんの。まったく、こんなとこで暮らす人間なんてまともな知性の持ち主じゃないね。きっと大半が中学出の百姓で、地元の農業高校しか行けない奴がインテリ気取りでえばってたりするんだろ。一流大学卒の人間なんて見るの、俺が初めてじゃないか(爆)。
 おっと、信号所に止まったら向かいの小娘が窓を開けやがった。
「駅長さあん」って、おいおい知り合いかよ。
 こりゃきっと歌舞伎町あたりの風俗あがりだね。高校中退で家出して、東京で風俗の味しめちゃって、プラダのバッグでもひけらかしに帰ってきやがったか。目撃ドキュンが取材に来るんじゃないの。
 あとで声かけて一発やっちゃおうかな。どうせ頭パーだろ(笑)。


大丈夫か君、系

 国境の長いトンネルを抜ける間も僕は死ぬことばかり考えてました。せっかくの旅行なのにどうも鬱の波がやってきたようです。相変わらず僕は最低だなんて考えてたら涙が出てきました。
 トンネルを抜けると雪がいっぱいつもっていました。手首の包帯で(昨夜もリストカットしてしまいました。軽くですけど)ガラスのくもりをぬぐうと、信号でとまっているようでした。
 僕の向かいに座っていた女の人が窓を開けて身を乗り出しました。とても屈託のなさそうな表情を見ていると、自分の卑屈さが嫌になります。長い間いっしょに揺られながら、僕は一言も口をきけませんでした。きっと気持ち悪いなどと思われていたのだと思います。そんなことを思うと、ますます落ち込んでしまいました。
 女の人が駅長さんを呼びました。明るい声であいさつをしていました。
 周りの人を傷つけ、愛する人に裏切られ、仲間に笑われてきた僕の居場所はここにもなさそうでした。僕は夜の雪景色を見ながら、あの雪に埋もれて眠ることでやっと安らかなところへ行けるような気がしていました。


エッチな話もOKよの人妻等系

 今回は一人で雪国にやってきたの。トンネルは長かったけど、旦那もいないし久しぶりにのんびりできたって感じ。
 出かける前に友達のみっちと話してたら、「一人でそんなとこ行ってなにすんの? また男漁り?」だって。失礼するわよね。どこの人妻が男漁りに一人で温泉行きますかっての。ここにいたか (^ ^;)。
 とはいっても、向かいに座ったのは女の子だしね。レズっけのないわたしにはつまりませんわん♪
 信号所に汽車が止まると、その子、窓開けちゃって。寒いってば。
 「駅長さあん」だって。すると駅長さんが雪の中を歩いて来たの。そりゃ期待するわよ。「鉄道員」見てきたとこだしさ、高倉健みたいだったらちょっとそそられるじゃない。そしたら、夜中に宿直してるとこへ押しかけて、「あの、泊まるところがないんです」とか言っちゃって。別室に布団引いてもらっても、駅長さんのとこへ忍び込んだりして。
 「寒いんですう」とか言ってもぐりこもうとしても、きっと「不器用ですから」とか言うんだ。きゃあー!!
 なにいってんだか。


自分で読んで恥ずかしくないかのダメ詩人系

暗いトンネルの向こうは雪国でした
そこは罪穢れのない白い世界です
私は夜の底を見つめました
<駅長さあん>
少女の叫びは夜の寒さに挑むように
駅長さんはやさしく少女を迎えます
ああ あなたを想いながら
私はこんなところまで来てしまいました
静かに雪が降っています
私の心がこの雪に乗って
あなたに届きますように


掲示板荒らしの方々系

Re:雪国  投稿者 川端殺す 投稿日:10月10日(日) 23時23分23秒

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Re:雪国  投稿者 川端殺す 投稿日:10月10日(日) 23時24分24秒

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Re:雪国  投稿者 川端殺す 投稿日:10月10日(日) 23時25分25秒

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