『法善厳一郎 拾うは生者の反響』 第六話 本題
それから二週間後の六月上旬。梅雨前線が日本列島の南で猛威を奮っている頃。厳一郎の呼び掛けにより、関係者一同が時田家のリビングに集められていた。紺色のパーカーに黒のジーンズを履いた霧野文和と、可愛いクマのキャラクターが描かれたピンク色のTシャツに白いデニムを合わせた和田優希の二人は、顔を見合わせそわそわと身体を動かし、黒いスーツに身を包んだ東署の郷田刑事とその相棒の女性刑事──山田五月は、威風堂々とした佇まいで、花柄のワンピースの上に水色のカーディガンを羽織ったこの家の主、時