三重・桐林館作品展でCONNECT:したコトとヒト
2022年9月のもう一つの忘れられない出来事は三重の桐林館喫茶室での個展開催と、それに際して初めて この場所を訪れたことです。
この場所は私たちマルツナガルにとって特別な場所です。
コロナ禍をどっぷり挟んだこの2年間、桐林館喫茶室と私たちマルツナガルは、三重と佐賀という距離もものともせず、沢山の嬉しいシーンを一緒に喜び、事を少しずつ為してきた間柄でした。
いつかが今だと思って今回作品展という機会に初めてその場所を訪れることになりました。
オンラインでしか知らない人たちにもやっとリアルで会える、待ってるからねという場にどんな顔で行けばいいかそれはまたドキドキ。(私たちは初めての三重来訪でした)
出発前に見せた彼女へのスケジュールには何度か会って楽しい時間を過ごした人たちとの写真。しっかりとニヤリしました。
待望の桐林館を訪れて(マルツナガル的視点)
金子さんが迎えにきてくれて到着したその場所は、思ったよりこじんまりしながらも、古い木の温もりに 包まれたとっておきの宝箱のようなところでした。
全てがちょうどよく何一つ邪魔するものがなく、完璧にまとまっているのです。(中にいるひとたちもだった、同じ温かさで)
fuco:は一人でどんどん入っていき、辿り着いたところは自分の作品が10数点並んだ部屋。
こんなに一度に展示されたことはないので、丁寧に並べられたその風景は、私たち家族(母と妹)にとっても圧巻だと感じました。
一番最初に思ったのは作品の明るさが、びっくりするくらいこの建物と場所にピッタリあっているということ!
賑やかすぎず、鮮やかすぎず、心地よい暖かさに建物が調和させ引き立ててくれていました。
それは店主の金子さんが感じたこととも全く同じだったそうです。
初めての場所で、会ってみたかったとお互いに思う人たちに会って、なんとも言えないくつろいだ時間を私たちはたっぷりと過ごしました。
初めてと思えないような人たちと一週間前もあったように話したり、ずっと会ってみたいと思ってくださった方と写真を撮ったり、どうやったら仲良くなれるかなと思ってくれるシンガーの歌を皆んなで聴いたり、食べて飲んで笑って話してまた笑って。
fuco:は何をするわけでもなかったので、手持ち無沙汰だったかもしれませんが、それでも落ち着いて静かにゆったりと。
彼女がそのままでいることを当たり前に思ってくださる人たちの中で。
まるで「ただいま」というように入っていき、そして「またね」とさらりと後にしました。すぐ戻ってくるだろうという確信とともに。
作品展を行ってみての感想(桐林館的視点)
台風で休館の日も出たため、会期延長をしてくださいながら、作品は桐林館のスタッフさんへと託されました。
飾られていた原画やコーヒーパッケージを通して、fuco:のことを知っていてくれた多くの人たちが、作品展を楽しみに訪れ、原画を見れて良かったと言ってくださったそうです。
作品展に障害や自閉症の説明も特にしていなかったので(よく見ていくとあるのだけど)、その絵を通して福祉に触れたと言う文脈ではなく、素敵な「アート」に触れた、来てよかったとご感想いただけてたとか。
カフェスペースと展示している部屋は少し距離があるのですが、まず作品を見たお客様が飲食をし、「もう一回見てきますね!」と作品を見にいくと言うことも度々あったそうです。
印象的なシーンとしては作品を見た人が「お金はいくらですか?」とスタッフさんに尋ねられたこと。
そのくらいの見応えがあって思わず訊かれたのではと言われていました。
実は2年前にご購入いただいた水彩ペンの作品は日にあたり、今では随分退色しています。
飾られた日から沢山のお客様が入れ替わり立ち替わり、それぞれの文字で静かにうるさくお喋りするところに(音声オフの筆談カフェですから)、桐林館喫茶室が様々な企てや想いで変化していくところに、作品が一緒に存在していたのです。
だからこそ、新たな鮮やかな別の作品が来てもハッとするくらいその空間に馴染んだのだと金子さんは感じたそうです。
そしてアートがあったからこそ、これまで訪れてくれた人たちのことも思って、アートを関連づけたカフェにして良かったと。
これからの私たち(マルツナガル&桐林館)
帰ってきてからは今回のために作ったフォントや次の企画のための話を、オンラインで打ち合わせたりしながら、また日々が過ぎていっています。
私たちの間にはまだまだ新しい出来事が次々起こっていきます。
これからもお互いの幸せなことを喜ぶだろうし、何かあったら飛んでいくんだろうし、いろんな企みを企てていくんだと思います。
あの時一通のDMを受け取ってからずっと、私たちのそんな関係は続いています。それはメッセージを送ってくれた金子さんとだけではなく、絵が飾られ続けた桐林館を 訪れたお客様とも、アートコーヒーを知ってくださった方とも続いていたのだとあの場に行って感じました。
なんて幸せなことなんでしょう!
よく金子さんが彼女の作品がインスタレーションとなったと美術用語で言うのですが、これは作品が設置された空間そのものがアートになったと言う意味です。なんだか少しその感覚がわかったような気がしました。
作品展のタイトル「CONNECT:」も関係した瞬間を指すのではなく、自然と「to be continue...」となりました。
それは作品だけの関係性でなく、本人との関係性がしっかり作られていたことがあの場での沢山の親しみを込めた「ふうちゃん!」から感じられたのです。
センターにいる彼女をこれからも皆んなでみながら、グングンと新しいCONNECTを作っていくという力強い希望と確信を得て、思いっきりせーのでピースサインを!また会う日まで!
2022年10月 yasuco: