no rain no snow no rainbow
1
私は突如
最上階にある狭い部屋の中に入れられた
目の前には机と直方体の電子機器が置いてある
ネイビーカラーの机の上に、一枚の紙
「キボウとは何か」
そして末尾にはこう記されている
「この問を解くまでこの部屋を出るな」
突如翼をもがれた気分であった
2
部屋の中には1枚の天井窓
降りしきる雨はやがて雪へと変わる
果てしなく続く鉛色の空
「キボウ?」
平易な言葉で回答を綴ってみる
ドアは開かない
「基準」を満たす「解」が出るまで閉じたままか・・・・
3
それにしても
「鉛色の現実」というのは確かに存在する
目をそむけたくなる
逃げ出したくなる
私は相も変わらず
壁にぶつかりながらも「解」を探す
ドアは開きかけるが
また閉まる
花火の音がする
だが私は部屋の中にいる
時は流れた
髪の毛に白いものも交じり始めた
-
4
それにしても
この直方体の電子機器は便利だ
あらゆる情報が入り
音楽も聴ける
映画も観れる
そして
どうやら世界中の人とも繋がれるらしい
「言葉」を投げ込む「スペース」がある
もっと若い時にこんなものに
巡り会えていたら
なんて
思ったりもする
おや
Radioも聞けるのか・・・・
5
Radio・・・・
昔はよく聴いた
ふとした言葉に胸が暖かくなる
言葉が聴こえた
no rain
no snow
no rainbow
雨や雪があるから
虹が出るという意味か
これをここに投げ込んでみようか
自分のものとするだけでなく 世界中に
6
なぜ心臓は一刹那も休むことなく鼓動を続けるのか
それは誰かが待っているからかもしれない
そして
「その声」
「The Voice」は
たとえかすれていようともとも
時空を超えて必ず誰かの心に届くのだ
人は孤独を感じる時
どんなに微かでも一燈の光を無意識に求め、
そして時空や空間を越えた繋がりを渇望する
一斤のパンが人の心を満たすこともあれば、
ふと耳にしたメロディーに心癒されることもある
24時間365日一刹那も休むことなく働き、
生命の火を灯し続ける臓器の如く
家族のために不平不満の一言も口にせず、
毎日黙々と家事をこなす母の如く
真夜中の大海原でも煌々と光を照らし続ける
灯台のような存在
そして
魂を一体化されてくれる媒体
「キボウ」とはそういうものなのかもしれない
ふと天井窓を見上げる
それまでの鉛色がうそのようにオレンジの光がさしてきた
そして虹がかかった
空はこんなにも神々しいものだったのか
そしてどこまでも突き抜けるものだったのか
ドアが開く音がした
<解説>
この物語は、15年前父である前社長急逝後、
突如重責を背負うことになった私を主人公としており、この間様々な壁にぶつかりながら「ONE SPIRIT」という言葉に出会い、「在庫共有システムONESPIRIT」を開発し、そして「OneSpiritブランド」を生み出したストーリーを比喩的に表現しております。
在庫共有システムONESPIRITを軸とした当社のデジタル化の取組がNST「ショクバタイケン」にて放送されました!
<STORYのなかの言葉の意味>
・ネイビー=当社のコーポレートカラー
・オレンジ=アルビレックスカラー→「希望の象徴」
・直方体の電子機器=スマートフォン
・言葉=当社の在庫及びOneSpiritブランド
・スペース=SNS
・キボウ=24時間365日お客様と当社の在庫を共有し、未来へ一体となって進む「在庫共有システムONESPIRIT」と、当社が創立75周年の歴史のなかで無数にある工具の中から厳選して選んだ「OneSpiritブランド」