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自分のことだけを考えた行動はあなたを孤立させます。誰かのことを考えた行動は、他の人を惹きつけます。[チーム編 #26]

従業員の目に企業の目的が利益の追求と映るかぎり、自らの利益と企業の利益の間に対立を確信せざるをえない。また、生産が利益を生み、自分が利益を生むとの迷信を信じざるをえない。 

現代の経営(下)』第Ⅳ部 人と仕事のマネジメント
第24章 経済的次元の問題 p181より


引用部分から、どんなすれ違いが起きていると思いますか?
なぜこんなことが起きるのでしょう?

日本の企業が100年以上続いてきたのには、利他の精神があるからだそうです。

同じ産業の別の組織であっても、ともに産業を盛り立てていく仲間です。
自らの組織が独り勝ちすることを望むのではなく、産業全体の底上げをともに目指す、ということを目指した組織が残っています。

その産業を盛り立ててきたのは、組織という単体ではなく、その産業に関わる人全員です。
社会全体が不況にあえぎ、緊急時に必要とされないようなし好品産業では、その組織だけではなく、その産業に関わる職人さんなどの食い扶持を確保するために、売れないときも売り続けてきました。
だからこそ、人の心に余裕ができてくると、商品も売れるようになり、職人さんの生活を守り、技術をも守り継承されてきました。

組織そのものの存続も目指しますが、組織を存続させるためには、職人さんは資材を提供してくれる業者さんなど関わる人が存続してくれなければ事業は成り立ちません。
売り手側が良い状態でいられるからこそ、買い手側が満足できるもの・サービスを提供することができます。
モノ・サービスを提供することによって、世の中も良い影響を受けられる状態であるかどうかが、組織の存続を占います。


管理しない会社がうまくいくワケ-自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇』(アービンジャー・インスティチュート 著 / 中西真雄美 訳 大和書房) から事例を引用してみましょう。 

コンサル業務を委託されたので、相手方の会社で打合せを行うため、エレベーターで幹部専用の最上階フロアに向かうとき、同乗した社員から「へえ、最上階か」と言われてしまいました。
彼の目には、特別フロアを占拠し、運転手付きの社用車で接待だ、ゴルフだ、と出かけていき、上層部のみに利用が制限されているカフェでコーヒーが飲める上層部は、自分が大物だと勘違いしており、私腹を肥やすことしか考えておらず、組織のメンバーを大切にする気のない人物である、と映っていたのでしょう。
組織の上層部は利益を上げること(私腹を肥やすこと)ばかり考えており、そもそもスタッフを大切に思ってもいなければ、顧客のことを大切に思ってもいなかった、理想とは程遠かった、といった状況が見えてしまえば、入社当時に抱えていた「社会のため、顧客のためにより良いことをしたい」という強い想いもぺしゃんこです。
自分たちが提供するモノ・サービスに対して、顧客が対価を支払っても良いと思える状態だからこそ、利益を得られるのです。
自らが利益を生み出しているということはありません。
目の前の顧客のために何ができるか、ということにどれだけ集中しているかどうか、ということが、顧客から対価を支払ってもらえるかどうかを左右します。
自らのことだけを考える上層部のもとで働きたいと思う人はいるでしょうか。
利益追求などの「自らだけが良ければいい」という行動は、あなたの言動よりも雄弁に、あなたの独りよがりな思いを広く多くの人に伝えます。


顧客のために何ができるかを真剣に考えます。
顧客のために、より良いモノ・サービスを提供するために、組織のメンバーのために何ができるかを真剣に考えます。
社会に対し悪いインパクトを与えていないか常に注意し、より良いインパクトを与えるために何ができるかを真剣に考えます。

そうでなければ、組織と顧客は、組織と組織メンバー、組織と社会は良い関係を結ぶことができません。

人は、ひとりで多くのことをできません。
だからこそ、組織として人が集まることで、より多くの貢献をもって社会に対してより良い成果をあげることを目指します。
組織として成果が出ているならば、自らが有能だからではないのです。
組織として社会のために、何ができるかを考えた結果です。


あなたの組織の目的は何ですか?
あなたが関わる事業の目的は何ですか?
利益はどのようにして生まれていると思いますか?
利益はなぜあなたの組織に集まってきたのでしょう?


実践するドラッカー【チーム編】』 
chapter3 目標を掲げるー組織と個人のベクトルを合わせる p76
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【チーム編】は、チームをあずかるすべてのマネジャーに向けて書かれており、ドラッカー教授のチームマネジメントの極意が1冊に凝縮されています。

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