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いんたーみっしょん : 積ん読対策

〝私の収納術〟

 このキャッチコピーを目にした時、穏やかに微笑みを浮かべつつ、内心「ああん?!」とメンチを切ってしまう私がいます。(まだ席を立たないでくださいね。)

 ミニマリスト、流行ですが、一度物の整頓と格闘した人間は誰しも同じ結論に辿り着くはず。それは、

〝収納用品を買わないのが最上の収納術!〟

(この箱、綺麗だから取って置こうかな~。何かに使うかも知れないし)
 と、よく思うそこのあなた、その「何か」ってナニ?!

 言い方がキツくなりましたね。熱くなってすみません。私もそうでした。
 綺麗な箱を取って置いて、ちょっとした工夫をしてキット・ボックスにしたりすると、その整頓とマイ・ボックスな感じの達成感・充足感・幸福感……。しかし、一度完成されたモノは解体し辛く、また、成功体験の為、取って置こうと空き箱・空き缶が増え、これを整理するために入れ子細工のようにまた箱に箱を詰めて悦に入る……。(あ、ヘンタイじゃないですよ。整理魔あるあるです。)

 人生にこういう時代があってもいいとは思います。物を大切にしたり、リサイクルして別の価値を見つけたり。

 で・も、この物の溢れる現代社会、ちょっとした油断で箱や袋は景品やオマケとして家の中に忍び込んで来ます。最悪、いざ家になんっっにも無くても、百均などに変わりの物は備蓄されているのです。「何か」に使うかもしれない箱を、家に何年も取って置いてダメにしてしまうより、資源ゴミに出してしまう方が家も社会もスッキリして無駄が無くなります。滅多に訪れない「何か」を待つ心も消えて、頭もまたスッキリするのです。

 収納用品を使うと、確かに達成感やスペースをうまく使えているな、と言う満足感はあります。しかし、一方で、空きスペースがあるが故に要らない物を買ったり増やしたりして詰め込んでしまいます。いつしか入れ子細工は家中に波及し、その高密度からブラック・ホールが発生するのです(本当)。
 引っ越しや掃除の時に、「えっ? 狭い我が家にこんなに物があったの?」「物が出て来てキリがない!」という経験があるのではないでしょうか? これが、入れ子ブラック・ホールの逆式、リバース・ホワイト・ホール現象です。
 ものの本によると、人間は直感的に判る数が3、までだそうです。単数・複数・いっぱいある、までしか判らないのです。意外とアホですよね。把握できない程の物は、持たない方が空間的にも意識的にも良い様です。

 前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
 本読み最大の敵、積ん読本。特にこの記事をここまで読んでしまっている人は、QOLやライフハックの積ん読が少なからず散乱しているのではないでしょうか。

〝物はともかく、知識はいいでしょう〟

 甘いッ!(積ん読者の論理の砦にも容赦なく延髄切りです。あ、まだ帰らないで下さいね。)

(でも、いつか読むんだし……)

 その「いつか」って、イツ? そこにある五木寛之の『生きるヒント』はいつからそこにあるの? いついつきを読むの? いつまでいつきを放っとくの? 林先生は「いつやるの⁈」「いつかでしょ!」って言った?(五木先生すみません。語呂がいいので使わせて貰いました。)

 さっき言いましたよね。人間は三つまでしか判らないんです。

 ライフハックの本は特に、習慣付けや、今すぐこれやれ、と言うのが多いので、買って持ち帰って汚部屋のアスピリンにするより、立ち読みして一番気になった事だけ、家に帰ったらやるのがいいです。それすら、時間も気力もなくできないなら、本買ってもできません。却って散らかるだけです。アスピリンが無くて不安なら、また本屋で方法論を一コだけ仕入れてくればいいのです。


 では、本屋にないとか、どうしてもそそられて内容が気になったら?

 私はアマゾンのレビューを見ています。自己啓発・健康・金融に関する本なら、大抵こんな感じです。

例 (※特定の本を指す目的ではないので、書名は不記載にしています)

 評価平均が4以上と高いのに、この棒グラフの空白部が中年の腹の出っ張りをベルトで締めたみたいになる本は、ダメです。
 妙に多い評価1のコメントにあたってみましょう。熱が冷めます。
 目新しさがない、根拠や実例に乏しい、虚偽・捏造、著者のサロンへの誘導など、時間とカネを無駄にした先達の悔しさが切々と綴られています。ここに実録があるのです。納得行き辛い場合は、☆を1コずつ上げて感触を見ると、今自分が必要としている知識か測れます。☆3の中立的意見を見てまだ迷う人は、その分野の知識が徹底的に欠如しているので、考慮したらいいと思います。☆5がテンション高過ぎと感じたら、刺さらないので止めた方が無難です。

 これは、ディスりではなく、こう言う方法を取ると、より深い学びや自問自答が生まれ、世間の現在の常識や著者を上回る識者の知見も得られるので、書籍を徒らに増やすより有益だと言うことです。ヘンテコな本でも、テーマに意識を向けさせてくれたことには感謝しています。レビューでは同系で良質な本の紹介がある場合もあります。

 限られた時間・お金・エネルギーを、有効に使うには「知識の圧縮収納された本」を〝買わない〟のも、身軽に動く一法なのです。

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三辻匡(みつつじたすく)
チップは天下のまわりもの。 note 内のどこかで使いたい。