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オレンジジュース

中学の頃、いじめを受けていた。

何もかもが敵で、この世から消えればよくて、正しさなんてただの綺麗事で、大人は汚くて、教室は偽善者で溢れていて、分かってほしくて、分かってほしくなくて、寄り添ってほしくて、突き放してほしくて、ぐちゃぐちゃになっていた。

そんな、全てを信じることができなくなった当時の自分が唯一、なぜか信じた先生の言葉がある。


「嫌なことがあったらオレンジジュースを飲め」


ビタミンCがストレスにいいだの言っていたけど忘れた。とりあえず果汁100%のオレンジジュースを飲めと言われた。


飲んだ。

なんだよ、全然変わらないじゃん。

何言ってんだよ先生。


一瞬、笑えた気がした。

一瞬、重力がなくなった気がした。

一瞬、もうどうでもいい気がした。


あくまで「気がした」だけど、なんか分からないけど、とりあえずその「気がした」を信じてみることにした。

オレンジジュースを飲むと、なんて世界はどうでもいいのだろう、と笑えてくるその力に委ねてみることにした。

そうやって今も生きている。

ストローを挿して、一口。




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